【漫画】終末世界は死の概念も変わる? 不気味な難解さもクセになる『とある天才の平凡なエンディング』
読者が考える余白を残している作品には、考察の余地が多分にあり、より一層その作品の魅力に浸かることができる。1月中旬にXに投稿された『とある天才の平凡なエンディング』では、独特な薄気味悪さが表現されており、ついつい本作の世界観について考えを巡らせたくなる。
読了後には不思議な中毒性を残してくれる本作の作者・雉鳥ビューさん(@byuooo)に、描いている際に意識したことなど話を聞いた。(望月悠木)
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“死の擬人化”がテーマ?
――終末世界を舞台に2人の男性の物語でしたね。
雉鳥:設定は基本的にあまり練らずに描き始めるのですが、描いている時に“死の擬人化”がテーマなんだと気づきました。また、世界観は廃墟の写真集などを参考にしています。タイトルの通り、長いエンディングを描いているような感覚で描いていきました。
――説明を最低限にした印象ですが、本作における“説明”はどう捉えていましたか?
雉鳥:実は本作に関しては「やや説明過多になってしまったかな」と考えています。
――読者を置いてきぼりにする可能性も想定されそうですが、その辺りはどの程度意識されましたか?
雉鳥:常に意識しています。読者には読んでいて気持ちいい刺激を与え続けることが、結果的にストーリーを動かすことに繋がると考えています。
――2人の男性はどのようにして生まれたのですか?
雉鳥:音楽家の彼は自分の過去作のキャラを、やや等身を上げて描いた感じです。ロン毛の男は、やや人間離れしたビジュアルを意識しました。また、性格は割とわかりやすく正反対にしていて、「だからこそ惹かれ合う」という印象をつけたかったのだと思います。
――考え方の異なる2人の掛け合いには心地よさを感じました。
雉鳥:2人とも自分に正直なキャラクターなので、会話を描くことにはあまり苦労はしなかったです。大きな出来事がなく進んでいく物語なので、必要以上に説明的になりすぎないように意識しました。
――七面鳥の中から少女が姿を見せたり、巨大な顔だけになった男性が舌に乗せた手を出したりなど、背筋がゾワッとなるシーンも少なくなかったです。
雉鳥:死というものがテーマだったので、ある程度グロテスクな表現で作品全体の空気感を作っていきました。ゾワっとするシーンは一番読者の興味を引けるポイントでもあるので、緩急を意識して、できるだけ予想を裏切るようなタイミングで入れました。
――今後はどのように漫画制作を展開していく予定ですか?
雉鳥:しばらくは今まで通り「コミティア」に合わせて描いていく予定です。5月の「コミティア」で、本作の後に取り掛かっていた正方形に近い、少し特殊な判型で描いた漫画のまとめ本(短編集)を発行する予定なので、興味のある人は会場に足を運んでもらえたら嬉しいです。また、通販も予定しています。