【漫画】ヒグマに支配された山と無法で自由な山、キツネにとって幸福なのは? 過酷な野生を描く『山』

 動物たちの愛らしい姿、そして野生で生き残るためにさまざまな決断を行う姿を描いた漫画『山』がpixivにて公開されている。

 生き残るために、他の動物の獲物を盗むことが許されている山で暮らすキツネの群れ。トラブルを機に新たな世界を求め、2匹のキツネは、掟に縛られずみなが自給自足で暮らす山を目指す。自由とは弱肉強食でもあることに戸惑いを覚えるなか、2匹が見つけたそれぞれの生きる道とはーー。

 あたたかい友情と残酷な世界を、柔らかな描線と写実的な背景描写で表現した本作について、作者・はれふら・ほろにさんに話を聞いた。(あんどうまこと)

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『山』(はれふら・ほろに)

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

はれふら・ほろに:本作は今年11月に開催された「北海道COMITIA22」(一時創作物の同人誌即売会)に出展するために、8月から描き始めた作品でした。ただイベントまでに制作が間に合わず……。12月に完成し、インターネット上で公開しました。

 これまで獣を擬人化したキャラクターが登場する作品を描いてきました。本作ではこれまでと異なる挑戦として、動物の物語を描いてみようと思いました。

ーー作中では対照的な2匹のキツネ・ルドとニムが描かれました。

はれふら・ほろに:どこかで「わかり合えなくても人は仲良くなれる」という言葉を聞いて、すごくいいなと思ったんです。それは逆に「仲良くてもわかり合えないことがあるよね」という意味でもあるなと思いながらストーリーを考えました。ルドとニムも仲良しですが、結局はわかり合えなかったのだと思います。

ーーわかり合えなかったルドとニムを象徴するかのように、2つの山も対照的な世界として描かれていたと感じます。

はれふら・ほろに:私の考えですが、今の社会はちゃんとしている人が増えていると感じています。ちゃんとした人がちゃんと中心になって、社会はより良くなっている。その反面、社会にうまく馴染めない、ちゃんとできない人もたくさんいる。クギ山みたいに弱肉強食の世界で生き残れる人ばかりになったら良い社会になるかもしれないけれど、弱い人は困ってしまうーー。本作では人それぞれに合った社会があるということを描きたかったです。

ーールドとニムをそれぞれ描くなかで意識したことは?

はれふら・ほろに:容姿が似ている2人だからこそ、中身は対照的であるということを表現しました。

 本作の終盤、崖を挟んで2人が話すシーンも鏡合わせのような構図で描きました。山もキツネも見た目はほとんど同じだけど、崖を挟むとそれぞれ対照的な世界・キャラクターとなっていることを描きたかったんです。

ーー漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

はれふら・ほろに:こどもの頃から絵を描くことが好きで、漫画を読むのも大好きでしたが、無精者なので漫画は描くことができませんでした。ただ20代の頃に仕事をしない時期があり、暇だったときに「ちょっとやってみるか」と一念発起して漫画を描き始めました。

 また岡崎二郎先生のSF短編漫画集『アフター0』(小学館)を読んで「私もこういう短編を描いてみたい」と思ったことも漫画を描き始めたきっかけです。

ーー実際に描き始めて、漫画を描くことに対する印象は変わった?

はれふら・ほろに:漫画を描くことはこんなに大変なのかと思いました。でも自分で1つの作品、1つの世界を作れることは、まるで自分が神様になったような気分になれると言いますか。

 自分が想像したものを出力する、自分の脳みそにしかいなかったキャラクターたちが漫画の中にいる。初めて描いた漫画を紙に印刷したときにびっくりしましたし、嬉しかった。漫画を描き始めてそんな楽しさを知りました。

ーー漫画を描くことの楽しさを感じるのは執筆中、それとも作品を描き終えた後?

はれふら・ほろに:正直、漫画を描き終えた後ですね。描いている最中は本当に大変で「もう投げ出してしまいたい」と思うことがしょっちゅうあります……。その反面、漫画を描き終わった後に自分の作品を見返しているときは楽しくて、読者から評価をもらえたときには嬉しいですね。

ーー今後の活動について教えてください。

はれふら・ほろに:『アフター0』を読んだとき、数十ページの作品でこんなに感動できるのかと驚きました。自分も読者を感動させられるような漫画を描きたいです。また今後は描いたことのないジャンルにも挑戦したいと思っています。

 プロの漫画家になりたいという気持ちもありますが、まずは締め切りを守れるようにならないといけません。本作もイベントの出展に間に合わなかったわけですし……。締め切りを守れるようになるまでは、これまで通りインターネット上で漫画を公開したり、たまにイベントへ出展したりしながら創作活動を続けられたらいいなと思います。

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