【漫画】どんでん返しに胸ドキが止まらない 天然男子×奥手な女子の初々しいラブコメ『おさななじみがかり』

名刺代わりの作品

――なぜ『おさななじみがかり』を制作したのですか?

冬樹:本作は『ガンガンJOKER』の新人マンガ賞への投稿用に制作した作品です。また、担当編集者さんがついての初めての作品でもあり、「名刺代わりになるオリジナルの作品を作りましょう」と言われて制作しました。

――“ドジな幼馴染をフォローする女子生徒”という設定を選んだ理由は?

冬樹:「保健室を舞台にしたい」と思い、“保健室に通い詰める後輩の面倒を見る保健委員長”という設定から出発しました。そこから幼馴染という要素を足したり、主人公2人にそれぞれ秘密を抱えさせたりなど、変更や補足を加え、この形になりました。

——ちなみに「おさななじみがかり」というネーミングはどのように思いついたのですか?

冬樹:特に理由はなく、パッと浮かんだのがこの題名でそのまま採用しました。最初は漢字で「幼馴染係」だったのですが、ひらがなに変更したことにより、作品の柔らかいイメージが伝わるようになったと思っています。

腹黒さをただのギャップではなく人間らしさに

——丘野の“狙い”が発覚するラストはゾクッとしながらも微笑ましかったです。

冬樹:秘め事や表裏など“普段見せない一面”をテーマに作っていたこともあり、そこを踏まえてラストを組み立てました。当初はラストの丘野の独白はもっと腹黒い内容だったのですが、担当さんと相談する中でより“弱さ”を全面に出す方向に舵を切りました。丘野は特に表裏があるキャラではありますが、そこがただのギャップにとどまらずに人間らしさになればと思い、調整を重ねました。

——丘野のドジっぷりが過剰すぎると読者をイラっとさせる可能性があり、ほんわか過ぎてもドジっぷりが伝わりません。丘野のドジっぷりの調整についても教えてください。

冬樹:どちらかと言えば言動の内容というよりは、周囲の反応を調整しました。周りにツッコまれることでイライラを解消させつつドジっぷりを強調できるように、クラスメイトや先生の台詞や表情には気を遣っています。

——2人のいろいろな表情が見られる内容でした。表情を描くうえで意識したことは?

冬樹:普段おとなしくも明確な恋心を抱えている弥生と、弥生と一緒にいるために猫を被る丘野と、2人とも二面性を持っています。ですので、周囲に見せる顔と見せない顔で明確に差をつけることを意識しました。弥生が頬を染めるシーンや丘野が舌を出すシーンは見せ場になるので、少しでも強くインパクトを残せるように何度も修正しました。

——作画で言うと学校の階段や教室内など、背景も丁寧に描かれていましたね。

冬樹:背景はとにかく細密に描くことを意識しました。学校の埃っぽさや温度感が伝わるように、線を重ねて質感や奥行きを出しつつ書き込んでいます。ところどころ高校時代に撮った写真を資料がわりにしましたが、保健室だけは写真が見つからず、過去の記憶に頼るしかなかったので難儀しました。

――今後の漫画制作における目標など教えてください!

冬樹:夢のまた夢ではあるのですが、「いつか自分の本が出せたら良いな」と思っています。記憶に残るような作品を作れるようにこれからも描き続けていきたいです!

©Eru Fuyuki/SQUARE ENIX

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