『HUNTER×HUNTER』「11人いる!事件」の真犯人って結局誰? 「王位継承編」最大の謎について考察
新たに有力な容疑者として浮上してきたのは……
そもそもの前提から説明すると、「11人いる!事件」の犯人探しにおいて、重要なカギを握っているのがヒュリコフだ。
ヒュリコフは類まれなる観察眼をもつ念能力者で、他人が念を使うことができるかどうかを見抜ける特殊技能をもつ。そして念能力講習会においては、念を「使えないフリ」している人間が4人潜んでいることを見抜き、その中の1人が暗殺者だと推理していた。
この4人の内の1人は、第10王子・カチョウの従事者・ロベリーだが、彼女は国王軍に拘束された。また第9王子・ハルケンブルグの私設兵であるユヒライとシェジュールは、念獣に「刻印」を捺されたことで、気づかない間に念を使えるようになっていた“無自覚”な能力者なので、容疑者から除外される。そこでヒュリコフは、“最後の1人”こそが事件の犯人だと推測するのだった。
そしてムシャホ犯人説は、この最後の隠れ念能力者がムシャホであるという前提に基づいている。
しかし10月7日発売の『週刊少年ジャンプ』45号に掲載された第401話にて、衝撃の事実が判明。最後の隠れ念能力者が、第5王子・ツベッパの私設兵であるロンギだと判明したのだ。さらに「11人いる!」とは別の能力を持っていることがわかり、容疑者からほぼ外れることとなった。
こうなると、ヒュリコフによる「隠れ念能力者の最後の1人が犯人」という推理は崩れ去り、ムシャホ犯人説も否定されてしまうように思われる。ムシャホが念能力者ではないことが確定してしまうからだ。もしこれを否定してムシャホを疑い続けるなら、「ヒュリコフは念能力の有無を完璧に見抜ける」という前提自体がフェイクだったと考えるしかないだろう。
だが、こうした前提と矛盾しない形で犯人当てを続行することもできる。その可能性こそが、シェジュール犯人説だ。
シェジュールはハルケンブルグの念獣に影響を受けた“無自覚”の念能力者なので、犯人から除外されていたが、これがブラフだとすればどうだろうか。つまり実は元々能力者であり、それを隠すために念獣の影響で覚醒したフリをした……というわけだ。
しかもシェジュールに関しては、クラピカに説明を受ける前から「念獣」と明確に認識していた節があり、無知を装っていた人物だという疑いがある。犯人と断定できる根拠が揃っているわけではないが、有力な容疑者と言っていいのではないだろうか。
本格ミステリ小説並みに複雑な頭脳戦に発展している「11人いる!事件」。真相に迫るためにも、次なる手がかりが明かされる回を心待ちにしたい。