【漫画】異能力を持つギャルJK、赤点をどう回避? YouTubeでも話題『しれっとすげぇこと言ってるギャル』

――Xでの人気を受けて、いかがですか。

松浦太一(以下、松浦):『しれギャル』の主要キャラは、当初YouTube『私立パラの丸高校(パラ高)』だと少し登場する程度の存在だったんです。でも、あのギャルが強い能力を無駄遣いして、要所で面白いことを言ったら面白いかなと登場させたら、人気を得てコミックス化にまで至りました。今回のXでの人気も素直に嬉しいですね。

おつじ:私は原作のYouTube自体を個人的に楽しんでいたんですよ。Xでも数字が出たことでファンの方にも届いてよかったなと、作画担当として安心しました。

――何が読者に刺さったと思いますか?

松浦:身も蓋もない話ですが、「ギャル」のコンテンツはやっぱり強いなと(笑)。そのなかで本作の未来が見える、平行世界に行くという属性を付与したアイデアもよかったのかもしれません。

おつじ:ふたりの淡々とした性格は想像のギャルを超えてリアルだなと。そこが刺さった人もいると思いますよ。

松浦:モデルにした人も特にはなく「これがリアルなギャルでしょ」と頑張って考えているので、そう言っていただけると嬉しいです。

おつじ:松浦さんの頭の中にいるギャルですね(笑)。

――コミカライズの経緯も教えてください。

松浦:当初オリジナルのYouTube版『私立パラの丸高校』は1本あたりの再生数がよくて1万ほどでしたが、ギャルの動画が数百万再生を叩き出したんですよ。それがきっかけで漫画化の話をいただきました。

おつじ:実はスケジュールとの兼ね合いもあり、作画の依頼を一度お断りしたんです。でも30分後に「やっぱりやります」と撤回して。あの時、恥を忍んで再度連絡してよかった……(笑)。

――漫画の制作ではどのようにコミュニケーションを取っていますか。

松浦:基本的に、自分がまずシナリオを書き、それをおつじさんに送り、ネーム・完成原稿を作成いただくという流れなのですが、いつもとんでもないスピードで、すごいクオリティの漫画が上がってくるので、毎回感動しています(笑)。

おつじ:文字の段階でもう面白いんですけど、そこからはある程度 自由に描かせていただています。漫画が好きで仕事にしてきたので、漫画表現的なギャルの描き方は理解しているのですが、本作では記号的なギャルイメージではなく、「みらいとへー子を描こう」と考えながら描いている感じですね。

松浦:確かに、みらいとへー子みたいなギャルは、あまり漫画のキャラっぽくないかもしれませんね。

おつじ:基本は淡々とした感じで、叫んだり激しい動きもない二人なので、そのなかで機微を表現できたらと意識しています。ツッコミ役の光に関しても、そこまで表情が変わらないのですが「ここは困惑が強そう」とか「ここは少し声を張っているのかも」と想像しながら、目や眉にちょっとした感情が出るように描いています。

――会話の掛け合いのテンポ感も魅力のひとつですが、その部分については?

おつじ:テンポ感は本作で一番大切な部分の一つだと思っています。くどくならないようにバランスよく演出できたらと。

松浦:光のツッコミの部分はギャルほど特殊ではありませんが、静かに面白い感じを意識して考えました。お笑い芸人でいうと、四千頭身さんのコントはベンチマークになった気がします。実は僕自身も『M-1グランプリ』3回戦まで出たことがあるんですよ。

おつじ:そうなんですね! 知らなかった(笑)。

――では自分に異能力があったら、どんな能力を望みます?

松浦:競馬が大好きなので『未来視』と言いたいところですが、それだとネタバレがもったいないので、『馬と話せる能力』がいいです(笑)。

おつじ:あまり便利な能力だと『パラ高』では活躍しなさそうですよね……。私はよく物を失くすので、『失くし物を見つけられる能力』がほしいです。

松浦:それ、能力の解釈次第ではチート級になり得そうですね(笑)。

――5月にはコミックス第1巻も発売となりましたが、こちらの反響はいかがですか。

松浦:ありがたいことに何度か重版もかかり、「次にくるマンガ大賞 2024」にもノミネートさせていただけました。注目していただけて嬉しいです。

おつじ:そうですね、でももっともっと広がってほしいという気持ちもあります。

――今後、本作をどう描いていくか教えてください。

松浦:異能力を持っているキャラたちの物語を通じて「それぞれの個性を尊重しあうこと、認め合うこと」をより伝えていければと思っています。それで多くの人に届くような内容を目指したいです。

おつじ:『パラ高』のコンセプトをいただいた時に印象的だったのが、「誰かのダメな部分について『ダメじゃないよ』ではなく『ダメでいいじゃん』と言える作品」という表現。面白さを前提に、そんな優しく寄り添う部分を発展させていければと思います。

関連記事