オリンピック、トルコの射撃選手・無課金おじさんが話題 兵器マニアも驚くスキルと国家憲兵の任務とは?

■ユスフ・ディケチュ選手のラフなスタイルが話題

トルコは世界の中でも軍事大国として知られている。photo:tarik haiga(unsplash)

 現在開催中のパリオリンピック。7月30日に行われた混合エアピストルにて、トルコのユスフ・ディケチュ選手が銀メダルを獲得した。このディケチュ選手の競技時の佇まいが、SNSにて話題になっている。

  競技中のディケチュ選手は、国名を記したTシャツ一枚というラフな服装で登場。射撃競技にはつきもののイヤーマフやアイリスシャッターも装着しておらず、つけているのは普通のメガネのみ。まるで散歩中のような服装ながら眼光は鋭く、またエアピストルを構えて立つ姿勢にもブレがない。

  実際にやってみるとわかるが、「腕を伸ばした状態で数百グラムの重量のある物体を持ち、体をぶれさせずに姿勢良くまっすぐ立って引き金を引く」というのは案外難しい。立ち姿だけからも、ディケチュ選手の体幹の強さが伝わってくる。また、ビームライフル競技などは反動などが実銃とは異なるため、銃と関節を固定することに特化した姿勢が取られることが多いが、ディケチュ選手の無理のない構え方は実銃の発砲時のフォームに近い。確かに、どう見ても只者ではない。

  ディケチュ選手の出身国であるトルコは、世界有数の軍事大国としても知られている。男性に対しては現在でも皆兵制を採用しており、身体障害などの理由がない限り陸軍・海軍・空軍・沿岸警備隊のいずれかに配属されることになる。この皆兵制により、兵員規模に関してはNATO加盟国第二位という巨大な軍隊を有している。また、装備の面でも近代化が進められており、現在でも韓国の技術支援を受けつつ国産の最新戦車「アルタイ」を開発するなど、意欲的な装備開発を進めている。冷戦期にはソ連と直接対峙する位置にあったことや、現在でも民族紛争を抱えていることもあり、トルコにおいて軍の存在感は大きい。

  が、ディケチュ選手が所属していたのは、このトルコ軍ではない。彼が所属していたのは、準軍事組織である国家憲兵隊、トルコ語で「ジャンダルマ」と呼ばれる組織である。

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