平野紫耀、イヴ・サンローランのアンバサダー就任で「ファン大行列」識者が囁くのは熾烈な“顧客獲得競争”
■海外ブランドの知名度は下がっている?
世界に蔓延したコロナパンデミックを経て、伝統ある高級ブランドも決して安泰とはいえない状況にある。確かに、パンデミックの中、高級ブランドの中には過去最高レベルの売上げを記録した例は数多い。国内でも投資家や開業医を筆頭に、巨大な利益を生んだ業種では相次いで高級ブランドを買い漁る人が多かった実態があるのだ。その一方で、一般庶民の生活は破壊され、所得は著しく減少してしまった。
そのうえ、近年の円安によって高級ブランドは相次ぐ値上げを展開している。ブランドによっては年に2回も値上げに踏み切った例もある。一昔前であれば、若者は誰もが高級ブランドを手にしていたような時代があったが、現在では簡単に手が届く存在ではなくなってしまった。高級ブランドをしばし購入する開業医は、クリスマスなどの時期にブティックを訪れる若者の姿が10年前と比べると明らかに減ったという印象を持つと話す。
「ファストファッションの台頭も続いており、ブランドにこだわらなければ、質の高い商品を手にすることは可能になってしまいました。ファストファッションを購入する層と、高級ブランドを購入する層は被らないと思う人も多いかもしれないが、実際は熾烈な顧客獲得競争に陥っているとも聞きます。高所得層でも、高級ブランドに関心がない人も増えていると思います」
そして、人々の意識の変化についてもこう考察した。
「私が大学生だった1990年代半ばは、大学生が無理をしてでもブランド品を買おうという風潮が健在でした。今や、ブランド品を無理して買おうと思う層は少数派になっていますよね。我々の世代なら誰だって知っていたようなブランドも、若い層では知らない人の方が多いですよ。だから、高級ブランドが著名人にアンバサダーを務めてもらい、知名度を復活させることに躍起なのだと思います」
相次ぐ辞めジャニの起用は、それまで高級ブランドに関心がなかった層に目を向けさせたいという思いが、今まで以上に見え隠れすると、この開業医は語る。高級ブランドが10年、20年後も憧れの存在として存続することができるのかどうか。生き残りをかけた熾烈な攻防が始まっている。