『せかいいちのねこ』の絵本作家・ヒグチユウコの「猫」が話題、なぜ世代を超えて魅了する?

 2023年12月6日、ヒグチユウコの絵本『せかいいちのねこ』(白泉社)シリーズをデザインした切手が発行されてSNSではトレンドになるなど話題となっている。ヒグチユウコによる繊細なタッチで描かれた絵本の名場面や草花をあしらった切手シートは、発売当日から売り切れる郵便局が出るほどの人気だ。

 切手シートは、ヒグチユウコらしいノスタルジックなイラストが切手部分だけでなくシート全体に丁寧にデザインされている。あまりの可愛らしさに、つい使うのをためらってしまう人も多いのではないだろうか。

 今回の切手のデザインは、絵本の世界シリーズの第7集として発行されたものだ。選ばれたヒグチユウコの『せかいいちのねこ』シリーズは、『せかいいちのねこ』『いらないねこ』『ほんやのねこ』(全て白泉社)の全3冊。白泉社の人気絵本シリーズだ。

 第1巻の『せかいいちのねこ』は、男の子に永遠に愛されるために、本物の猫になりたいと願うぬいぐるみの「ニャンコ」が主人公。仲間のぬいぐるみから「猫のヒゲ」を集めて身体に入れれば本物のねこになれる、という話を聞き、ヒゲ集めの旅に出る。その道中、“ぼうしねこ”や“旅のねこ”、“おねえさんねこ”など、さまざまなねこたちに出会い、成長していくという、ハートウォーミングな物語だ。

 ヒグチユウコによるねこ絵本の歴史は、2014年の『ふたりのねこ』(祥伝社)から始まった。どの絵本にも共通するのは、ネコたちの豊かな表情と、緻密に描かれた背景など、どことなく妖しい、魅惑的な世界観である。

  2016年発売の『ギュスターヴくん』(白泉社)の主人公であるギュスターヴくんも、ヒグチユウコの世界を表した一匹だ。顔は愛らしいネコ、手はヘビ、足はタコ……という、奇妙な愛らしさをもつギュスターヴくんは、発売当時から大人気キャラクターだ。

関連記事