『呪術廻戦』呪いの王、両面宿儺なぜ強い? 力ではなく知性で人を蹂躙する“最強”の理由を考察

宿儺が「呪いの王」である所以…

  実をいえば宿儺は物語の序盤から、さまざまな知略を見せ付けてきた。たとえば「呪胎戴天」では、一時的に虎杖と身体を入れ替わった際、その肉体から心臓を抜き取るという驚きの行動をとっている。宿儺は心臓なしでも生きられるため、命を盾として、虎杖に肉体の主導権を取り戻せないようにする……という魂胆だ。

  虎杖が自分の命を犠牲にすることを厭わない人間だったため、結果としては失敗に終わったものの、人間の恐怖心や生への執着をよく理解した“呪いの王”らしい計略と言えるだろう。

  また、「渋谷事変」では伏黒が呼び出した式神・八握剣異戒神将魔虚羅との戦いで、鋭い観察眼を示していた。たった数回の攻撃で、魔虚羅の能力が「あらゆる事象への適応」であることを見抜いていたのだ。

  バトル漫画の最強キャラといえば、圧倒的な力を相手に押し付けて慢心するタイプが多いが、宿儺は真逆。むしろ努力型の主人公のように、つねに頭脳を働かせ、柔軟な思考でその場の最適解を導き出そうとしている。それこそが宿儺という存在の、もっとも厄介な点ではないだろうか。

  よくよく考えると、『呪術廻戦』に登場する強敵はいずれも頭脳戦に長けている。特級呪霊たちを導いて渋谷を混沌に陥れ、あの五条悟を封印することに成功した羂索は、それを象徴する人物だ。また、“暴君”と称されるほどの暴力の化身である伏黒甚爾も、「懐玉・玉折編」では五条相手に頭脳戦で優位に立っていた。

  こうした戦いぶりを見るに、術師の戦いは知性がものを言うのかもしれない。果たして虎杖たちに、宿儺や羂索を出し抜く術はあるのだろうか……。

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