漫画「ヤンキーと住職」なぜ人気? 堅苦しいイメージの「仏の教え」が学べると話題

■対照的な2つの視点で描かれる仏教のおもしろさ

 現役の浄土真宗本願寺派僧侶にして漫画家の近藤丸さんが、SNSで発表し話題を呼んでいた漫画「ヤンキーと住職」が、2月の刊行後大きな反響を呼び発売1か月で重版が決定した。 

 なんとなく堅苦しいイメージがありがちな仏の教えを、仏教大好きヤンキーと頭でっかちな住職という対照的なキャラクターのやり取りを通じて学べる構成がユニークだと、SNSでで話題となっていた作品だ。

■漫画「ヤンキーと住職」を試し読み

 たとえば「縁起(えんぎ)」の回。雪なんていらないと腹を立てるヤンキーに対し、住職が「すべての物事は関係性によって成り立つ(因縁生起)」と説き、雪の存在の大切さを説明。このように、難解な仏教用語の成り立ちやおおよその概念が、エピソードを通じて理解できるようになっている。

 著者の近藤丸は次のように本作について話す。

「コミックエッセイの中では異色の作品だと思いますが、多くの方に読んでもらえたことがうれしいです。この本は「本棚に置いて何度も取り出して読む」「親が買ったのに子どもの方が読んでいる」という声もいただきます。一見するとふざけているように見えるかもしれませんが、中身は真面目だと考えています。

 厳粛な仏の教えをマンガにするのは、どこか危なさもあります。先人達、先輩僧侶や門信徒達は仏教の教えを大切に伝えてきました。そのことに対するリスペクトを忘れて、単に面白おかしく描くことは許されません。単なるネタやコンテンツにはしないよう気をつけながら、丁寧に描きました。

 仏教のことが少し気になっている、あるいは全く触れたことがなかったけれどこれから勉強したいという人におすすめの本になっています。この本を入口に、仏教の言葉や歴史に触れていただけたらと思います。学校や図書館、お寺などに置くのにもおすすめです。ぜひ本書を見かけた際には、手に取っていただけたら幸いです」

 主な収録エピソードは「天上天下唯我独尊」「娑婆」「諸行無常」「分別」「凡夫」「卑下慢」「誰がために」「三毒の煩悩」など、まるで法話を聞くように2人の対話を通して仏教が学べる、今までにないコミック。話題の作品をチェックしてみてはいかがだろうか。

 

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