企業が続々と参入するWebtoonにバンダイも 縦読み漫画は日本に根付くことができるのか


相次ぐ企業のWebtoon参入

 2月21日、オリジナル漫画専門の投稿プラットフォーム「マンガハック」で知られるエコーズは、バンダイ、バンダイナムコフィルムワークスと事業提携し、縦スクロールマンガレーベル「バンダナコミック」を設立したと発表した。

 同社は「今後、レーベルを共同運営していくとともに、縦スクロールマンガ(Webtoon)を全面的に制作していく」「クリエイターが世界で活躍できる環境の実現を目指して参ります」とコメント。2023年夏以降にレーベルサイトをリリースのうえ、2023年末以降に電子コミックサービスにて作品を発売する予定だ。エコーズはキャラクター商品などのノウハウを持つバンダイと提携することで、コンテンツの可能性の拡大や世界規模の事業展開を視野に入れているという。

 韓国発祥のWebtoonは、スマホの画面で読むことを前提とした縦スクロールの漫画で、スマートフォンの普及とともに急速に広がった。世界規模で人気が拡大しつつあり、10年後には数兆円規模の市場になるという予測もある。国内でもIT関連など様々な企業が参入し、従来の漫画の出版社も参入を模索している。

従来の漫画と違うWebtoonは日本に根付くか?

 Webtoonは従来の漫画とは似て非なるものであり、紙媒体で発表された漫画を電子書籍化したものとも異なる。最大の違いは制作のプロセスである。一般的な漫画は漫画家がアシスタントを使いつつ、基本的に1人で仕上げることが多い。原作者がついても2人体制である。

 対するWebtoonは一貫して分業制で製作される。物語を作るシナリオライターがいて、下絵を描く人、ペン入れをする人、着色を行う人などに分かれて数人体制で仕上げるのだ。ほかにも全体の進行を仕切る担当者や、キャラクターデザインを専門に行う作家がいることもある。漫画を描くというよりはアニメーションや映画、スマホゲームの制作に近いといえる。それぞれの担当者も、作家というよりは専門性に特化した職人である、と考える人もいる。

 分業制のメリットは、シナリオを作るのが上手い人、絵を描くのが上手い人といった塩梅に、専門性を生かしやすい点である。企業がさいとうプロダクション並みの分業制を作ることができるかどうかが成功のカギとなる。

 Webtoonはまだまだ新しいジャンルの漫画であり、急速に発展しているため、漫画家の間でも賛否がある。漫画家にとってメリットが少ないと反発する作家もいれば、世界規模で読まれるため発表の場としてだと可能性を見出す人もいる。どちらもあり得る話だが、果たして日本にWebtoonは根付くのか。市場の拡大につれ、印税や著作者人格権の問題など、様々な観点から議論が巻き起こっていくことだろう。今後の展開を注視していきたい。

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