【漫画メシ】『九龍ジェネリックロマンス』『美味しんぼ』……クリスマスに欠かせないチキン料理を再現


 12月に入ると様々なところでクリスマスムードに街は変わっていく。クリスマスまであと一週間となり、休日ともなれば、大人も子どもたちも楽しそうに準備を始めていて、街は賑わいを見せている。その中で、クリスマスに欠かせない食材といえばチキンであろう。ローストチキンはもちろん、チキン料理を食べる人が多いのではないだろうか。

 クリスマスにチキンを食べるようになったのは諸説あるが、始まりは17世紀と言われている。ヨーロッパからアメリカに移り住んだ移民たちが、収穫がうまく行かず飢えで死にかけた際、アメリカの先住民から七面鳥を提供され、助けられたことがきっかけのひとつだそうだ。

 移民たちは翌年収穫に成功すると、恩人である先住民を招き、感謝祭を開く。そこで七面鳥が象徴として振る舞われ、その後祝いの席で食べられるようになった。日本では七面鳥が入手しづらく、調理方法も浸透していなかったことから、チキンが使われるようになったといわれる。

 現代になり、日本人にも広く認知され、愛されているチキン料理は漫画にも多く登場してきた。

香港レモンチキン『九龍ジェネリックロマンス』

 眉月じゅん原作の漫画、『九龍ジェネリックロマンス』。香港を舞台とした恋愛漫画で、その練り上げられたストーリーが人気を博している。

 そのなかに登場したのが「香港レモンチキン」だ。カリカリに揚げたチキンに、レモンをかけることにより、なんともいえない甘酸っぱさを醸し出す。詳細なレシピは公開されなかったものの、漫画で描かれると読者から「食べてみたい」という声が上がった。

 人気作品だけに「香港レモンチキン」の再現に挑戦する人々が殺到。YouTubeでも複数のユーザーが動画を公開している。

とりの器焼き『スーパー食いしん坊』

 アクロバティックな料理で知られる「スーパーくいしん坊」に登場したのが、「とりの器焼き」だった。

 この料理はまず、丸鶏の腹の中に銀杏10個、ハムの細切れ、しいたけ、たけのこ、ネギ、そしてご飯を詰め込む。ここまでは普通なのだが、その後鶏肉を粘土で作った容器で包み、野焼きにするというものだった。

 野焼きは平成に入り法律で禁止となったため、「とりの器焼き」を完全再現することは難しい。昭和ならではの料理といえよう。

赤いフライドチキン『ミスター味っ子』

 『ミスター味っ子』の主人公味吉陽一がフライドチキン対決で作ったのが、「赤いフライドチキン」だった。

 文字通り赤い色をしたフライドチキンで、出された人々は「なんだあ?」「食えるのかよ?」などと驚きの声を上げるが、食べてみると味のコクとかりっとした歯ごたえを絶賛していた。

 味と色の秘密は赤こうじから作る紅かす。これは酒をしぼりとったあとの沈殿物で、清酒のエキスが詰まっている。片栗粉を使わないため、粉っぽさがなく、しっとりとしたコクと酒の旨味が楽しめる出来となった。

中華風フライドチキン『美味しんぼ』

 山岡士郎が「フライドチキンは人類が開発したもののなかで核兵器よりも忌まわしいものだ」と現代で発すれば炎上必至の発言をするほどフライドチキンを嫌う東西新聞社・松川のために作った料理である。

 通常のフライドチキンがどうしてもダメな松川のために、鶏肉に塩コショウをしたうえ、熱湯にくぐらせ、水飴と酢を溶いたものを塗った鶏肉を風干しにする。その後山岡は中華鍋に落花生油を入れ、鶏肉を載せ、油をかけながら熱していき、十分に火を通して完成だ。

 一般的なフライドチキンを好む人には向かないが、少し工夫を加えたいという人にはおすすめの逸品だ。

 それぞれが漫画のテイストに沿った「作品ならでは」のフライドチキンとなっている。再現して味わってみるのも、おもしろいかも。

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