【漫画】もしも“おばけ”が町長になったら? きちんと公約を果たすおばけ町長がカワイイ!

――ミヤギさんの活動を見ていると多作な印象を持ちます。

ミヤギトオル(以下、ミヤギ):4コマや短編を描くことが多いので、そう見えるかもしれません。ただ最近は『不思議ヶ丘の人々』をWebマガジン「ミライのアイデア」で、『鬼姫神社通り商店街』を「ダ・ヴィンチweb」で連載させていただいているので作業量が増えたと思います。

――その『不思議ヶ丘の人々』第4話となるのが「おばけ町長」ですね。2000リツイート、1.4万いいねが付き、たくさんの方に読まれていることについては?

ミヤギ:狙っていたのではないのですが、たまたま発表したのがハロウィンの季節でタイミングがよかったのかもしれません。季節感は自分のモチベーションを上げる要素のひとつです。

――「おばけが政治を執ると上手く回る」というのは、なかなか上手くできたストーリーだと思いました。

ミヤギ:「おばけのキャスパー」のTシャツが家にあって、それを見て可愛いおばけを登場させようというのが最初の着想でした。前回の米大統領選で「死者からの投票があった」という騒動があったという報道もヒントになっています。

――では、これまでどのような活動をされてきたか、改めて教えてください。

ミヤギ:もともと小さい頃は同級生たちがみんな読んでいるような『SLAM DUNK』や『幽遊白書』とかを読んでいて、絵を描くのが好きだったので、将来の夢としてぼんやり「漫画家になりたいなあ、でも難しいな」とは思っていました。その後色々興味が変わっていき、学生時代は映像を専攻していました。映像を作る一方で、漫画はたむらしげるさん、佐々木マキさんなどいわゆるガロ系の作家の作品を読んでいて、時々真似して描いて友達に見せていました。

 卒業後はひとりで映像を続けるのが難しくなり、会社員をやりながら、イラストレーターとして活動していました。でも作品への反応が少なかったので、5年くらい前にTwitterで4コマ漫画を投稿し始めたんです。短編を描こうとすると、好きな作家さんの真似になってしまうのが悩みでしたが、4コマ漫画だと制約が増えて逆に書きやすかったです。

――SNSで発信する活動と商業的な活動の両方をやってみて思ったことはありますか。

ミヤギ:個人制作は制約がないので「読む人が面白がってくれたらいいな」とか「オリジナリティを見つけられたら」と考えて描いていました。ただ上手くいく時もあれば、何を描いたらいいかわからない時もありますね。

 お仕事でオリジナルのフィクション作品を描くようになったのは最近なんですよ。以前は広告とか宣伝のための連載がほとんどでした。自分のオリジナル作品を作れるようになった時はとても嬉しくて「やってやる!」と燃えましたね(笑)。おかげさまで今も高い熱量で描けています。

――オリジナル作品を描く上で大事にしていることはありますか。

ミヤギ:以前はオリジナリティのことを考えて、「誰も見たことのない漫画を描きたい!」と思っていました。今は共感性や日常を描くことを大切にしています。それが読んでもらえる機会が増えた要因なのかもしれません。

――現在は、おばけや妖怪を描かれることが多いように思いますが、これはなぜでしょう。

ミヤギ:子どもの頃は水木しげるさんの妖怪の本が好きで、そこそこ妖怪には詳しかったです。でもショートショートのアイデアとして、おばけや宇宙人、妖精は出てくるものの、主要なモチーフにしようとは考えませんでした。きっかけは去年2本ほど妖怪が出てくる作品を描いたこと。それを読んでくれた編集の方が「妖怪もので何か漫画を描いてみませんか?」と声をかけてくれて『鬼姫神社通り商店街』を描き始めました。もし自分の持ち味が「妖怪」であれば、今後も掘り下げていく可能性はあります(笑)。

――Twitterでは商業漫画家ではなく、自力でマネタイズして活動する方も数多いですが、ミヤギさんはいかがですか。

ミヤギ:マネタイズの方法がわからないんですよ(笑)。僕は「ヒット作を作るしかない」という気持ちではいます。それに、ひとりで制作するよりも編集の方と話し合って作るのも楽しいんですよ。我を通すよりも誰かの意見も聞きながら作った方が僕は上手くできるタイプな気がします。

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