【漫画】自分を偽って生きてきた少年が、夢の中で謎の少女と出会って……創作漫画『坂夢の獏』が恐ろしくも優しい

「キャラクターの感情を描くのが不得意だね」と言われた

――『逆夢の獏』制作経緯をお聞かせください。

森本:『逆夢の獏』の1つ前に描いていた漫画が漫画賞で落選してしまい、その後も何本かネームを切っていたのですが、中々通らずに迷走していた時期に描いたのが本作です。

――どのような点で迷走していたのですか?

森本:「キャラクターの感情を描くのが不得意だね」と常々担当さんから言われており、悩んでいました。そこで「どうしたらキャラの感情を描けるだろう」と考えた時、「できる限り自分に近い性格や感情を持つキャラにしよう!」と思い、本作を作るに至りました。

――ソウタやナギサなど登場人物のモデルはいたのですか?

森本:他人の顔色を伺うソウタの性格は、割とそのまま自分の性格と同じです。(笑) 嫌々ではなかったですが、自分もよく先生に雑務を頼まれがちな性格ではありました。一方、ナギサなど準レギュラーのキャラクターは明確なモデルはいません。ただ、「俺らの話しそんな興味ないだろ」は実際に友人に言われた経験があり、意識してはいませんが、ナギサなどのモデルは今までの人生の中でいたのかもしれません。

――ナギサが「俺らの話しそんな興味ないだろ」と声をかけるシーン、獏がソウタの心情を代弁するシーンなど、読みながらしんどさを感じました。こういったシーンを描いていた時、森本さん自身、相当しんどかったのでは?

森本:先述した通り、自分のエピソードが元になっている部分が多く、描きながらしんどい気持ちになっていました。ただ、「描いている本人が感情を動かされない話では、読み手の感情を動かすことなんて不可能だ」と思っています。「自分がしんどくなっているということはこれで正解なんだろう」と思いながら描きました。

――森本さんにとって“(睡眠状態の)夢”とはどういう瞬間なのですか?

森本:自分は不眠症気味であまり眠れません。また、眠れても悪夢を見ることが多く、あまり良い印象はないです。ただ、「夢は自分の記憶や深層心理が〜」という話をよく聞くため、“自分と向き合える場所”とは考えています。

――最後に今後の目標など教えてください。

森本:今は週刊での連載を目標に漫画を描いています。とにかく今は作品を作り続けることだけはやめたくないなと考えており、現在制作中の作品もあります。もし公開される機会があれば是非読んでおらえると嬉しいです。よろしくお願いします!

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