『呪術』五条悟、『るろ剣』比古清十郎、『刃牙』範馬勇次郎……人気漫画に見る“作中最強キャラの扱い方”の妙

『シュート!』久保嘉晴

 バトル漫画だけでなく、スポーツ漫画にも最強キャラクターは登場する。例えば、サッカー漫画の金字塔で、7月から新作アニメが放送される『シュート!』の久保嘉晴。掛川高校サッカー部に所属する彼は、高校2年生で患った大病を抱えたまま、チームメイトにはそのことを隠してプレーを続けた、スーパースターだ。

 もう一人の主人公と言って差し支えない輝きと存在感を放っていたが、インターハイ静岡県予選準決勝において、「奇跡の11人抜き」を達成したあと、久保はピッチ上で倒れ、急逝してしまう。『ダイの大冒険』におけるアバン先生のように、序盤で実力者が退場(アバン先生は実際には生存していたが)する展開は、漫画作品において珍しくない。しかし、それがご都合主義的に映らず、物語に深みを与えるエピソードになっている作品は、やはり”最強キャラの扱い”が巧みな名作と言えるだろう。

 最強キャラにはロマンがある。『はじめの一歩』の鷹村守、『転生したらスライムだった件』のリムルや『ドラゴンボール超』のウイス、『闘牌伝説アカギ ~闇に舞い降りた天才~』の赤木しげる、『シティーハンター』の冴羽獠など、魅力的な「最強」は枚挙にいとまがないが、みなさんはどんなキャラクターに惹かれるだろうか。その「強さ」が作中でどう表現され、どうコントロールされているか、ということを考えながら読んでみると、その類型から、新たな“推しキャラクター”が見つかるかもしれない。

関連記事