BE:FIRSTのカバー曲はなぜ面白い? 「I Want It That Way」披露を機に紐解く、6人の歌声が与える新たな魅力

 10月17日、アメリカ・ロサンゼルスのステート・ヒストリック・パークで開催された音楽フェス『82WORLD : LA』に出演したBE:FIRST。Backstreet Boysの名曲「I Want It That Way」のカバーを披露し、観客を巻き込んで盛り上がる姿が話題となった。現在、YouTubeでも同曲のパフォーマンス動画が公開されている。

Backstreet Boys 'I Want It That Way'|Respect Cover 

 「I Want It That Way」は、親しみやすいメロディと美しいコーラスが魅力の世界的ヒット曲。多くの人が耳にしたことのある楽曲だからこそ、カバーとなると歌い手の声質やニュアンスの付け方が際立つ。BE:FIRSTもユニゾンやハーモニーを織り交ぜ、6人で声を重ねて同曲を披露。力強く歌うRYUHEI、フェイクを交えるMANATO、流暢な英語の発音が光るSOTA、温かく包み込むように歌うLEO、高音のロングトーンを放つJUNON、唯一無二の声を聴かせるSHUNTOと、それぞれの個性を活かし、原曲をなぞるだけではない表現を見せた。さらに、終盤ではRYUHEIが観客の合唱を誘う場面も。歌唱力の高さはもちろん、会場と一体になって音楽を楽しむ姿も印象的だった。

 同ステージでは、The Jackson 5の名曲をリメイクカバーした「I Want You Back」も披露されたという。ベストアルバム『BE:ST』のリード曲として2025年10月にリリースされた同曲は、原曲へのリスペクトを保ちながら、歌とラップを織り交ぜて現代的に再構築。SOTAのラップから始まる構成も新鮮で、原曲の躍動感を彷彿とさせるリズムとグルーヴに唸らされる。また、楽曲全体を通して歌とラップが交差することで楽曲に展開が生まれている点も秀逸だ。6人それぞれの声の個性があるからこそ、楽曲全体の楽しさにもつながっている。

BE:FIRST / I Want You Back -Music Video-

 ほかにもBE:FIRSTは、これまで多彩なカバーを披露してきた。たとえば、2023年12月の『2023 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)では宇多田ヒカルの「Automatic」をカバー。R&B特有のメロディラインを乗りこなし、メンバーごとに異なるニュアンスを加える歌唱が秀逸だった。HIPHOP色の強い楽曲を多く歌う印象のある彼らだが、音楽的ルーツにR&Bがあることを感じさせるパフォーマンスだったのではないだろうか。

 また、MANATOは音楽的探求をアーカイブ化するコンテンツ「BF LAB」で、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」をギターの弾き語りで披露。リラックスしたアンニュイな歌い出しが原曲の雰囲気を引き立てているのが印象的だ。さらに、ややスクープ気味に歌ったり、ポイント的にファルセットに抜いたりと、R&Bの要素をたっぷりと盛り込んでいる。2024年12月の『2024 FNS歌謡祭』では、RYUHEIが三浦大知、宮野真守、JO1・河野純喜とともに、久保田利伸の「Missing」をカバー。声色に豊かな表情をつけ、時に声をかすれさせながら、原曲が持つ切なさを表現した。

MANATO (BE:FIRST) / プラスティック・ラブ -Cover- [BF LAB #2]

 JUNONもこれまでさまざまなカバーを披露している。『Apartment B』(日本テレビ系)でカバーを披露した宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」では、透明感のある歌声と伸びやかな高音が際立つ一方、映画『RYUJI 竜二』の挿入歌にもなった玉置浩二の「メロディー」のカバーでは、低音の豊かな響きを聴かせている。彼が、楽曲によって異なる魅力を引き出せることがわかるカバーだ。

映画『RYUJI 竜二』特別予告|JUNON(BE:FIRST)が歌う「メロディー」

 こうして振り返ると、BE:FIRSTは6人それぞれが異なる個性を持つ歌声の持ち主だということが伝わってくる。だからこそ、楽曲の解釈や表現の幅が広がり、カバーにも新たな魅力が生まれているのだろう。それでいて、グループとして歌うと個々の声がひとつの音楽としてまとまっている。個性が際立つことと、6人でひとつの表現を生み出すこと。その両方があるからこそ、BE:FIRSTのカバー曲は面白いのだ。今後も、彼らが名曲の新たな魅力を引き出してくれることに期待したい。

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