メトロノーム、メジャーデビュー10周年で回帰した“若さ”と“勢い” 新アルバム『無限×変転=1.44』と来たる結成30周年を語る

年齢を重ねたからこそ書けるもの

フクスケ

――アルバムを聴かせていただくと、狙い通り“若さ”や“勢い”を強く感じさせる内容になっているなという印象があります。でも同時に、結成から28年分のキャリアと年齢を重ねた今のメトロノームの姿もしっかり刻まれていますよね。当然の結果だとは思うんですけど、単なる原点回帰なアルバムではないなっていう。

フクスケ:まさにおっしゃっていただいた通りで、“若さ”をイメージしていたとしても、きっとここまでに培ってきた今の自分たちが自然に出るとは思っていたんですよね。だからこそ今、あえて“若さ”を全力で出そうという気持ちになったところもあったんで。たとえば「ケノヒビ」とか「ΣVΣRYTHING=LIFΣ」みたいな曲は、昔の自分たちだったらたぶんノペッとした印象になっていたと思うんだけど、今の自分たちがやると培ってきたもののおかげでちゃんと説得力のある仕上がりにすることができているっていう。変な言い方だけど、簡単なことをしていても説得力を持たせられるのは、やっぱり積み重ねてきた経験値があるからなんだろうなって感じがします。

シャラク:自分は曲のなかに全然違うシーンを入れるのが好きなんですよ。1曲のなかでガラッと展開が変わるポイントとかは、昔より自然に入れられるようになったような気がしますね。「頑張って、ここ景色変えました!」みたいな感じではなく(笑)、曲の流れのなかで上手く景色が変わっていくっていう。今回の曲たちは上手くできていると思いますね。

リウ:長くキャリアを重ねてきたことで、テクニック的にもやれることは各段に増えているので、まあそういう部分はほっといても出ると思うんですよね。だから、あまり意識はしていないんですけど、歌詞に関しては今の年齢で書く言葉たちっていうものにすごくこだわった部分はあって。若いときにはなかなか出なかった説得力を持たせることは、かなり意識しましたね。歌詞のなかにちょっと哲学的なテイストが入ったりしてきたのは、まさに今の年齢だからこそだと思います。

――では、アルバムに収録された各自の楽曲について、お話を伺えればと思います。まずフクスケさんは5曲を手がけられていて、アルバムの新曲は1曲目のイントロダクション的インスト「無限×変転=1.44」と、「上を向いて歩いていこう」「そんじゃ、また。」の3曲ですね。

フクスケ:SE的な「無限×変転=1.44」は、アルバムの1曲目に似合うもの、ライブの頭に披露したらかっこいいだろうなと思うものを作った感じですね。制作期間の最後に作りました。で、「上を向いて歩いていこう」は、自分が提案した“若さ”みたいな部分を全面に出すことを強く意識して、一方の「そんじゃ、また」はミドルテンポで大人の雰囲気を出しつつ、こなれた感のなかで培ってきたものを表現できればいいなと思って作っていきました。説得力のある大人の姿を見せられたらなと。

――アルバムのリード曲になっている「上を向いて歩いていこう」は、〈「前進んで 未來を見据えて」〉という、すごくいいメッセージが込められています。が、「かごめかごめ」の歌がモチーフとして使われていたりして、ちょっと不穏な雰囲気もありますよね。

フクスケ:最初は「かごめかごめ」のメロディだけを入れていたんですけど、途中でやっぱり人が歌ってたほうがいいなってことになったんですよ。若い頃、白塗りをしていないのに“白塗りバンド”ってカテゴライズされるくらい自分たちにはアングラ感があったので、今、その辺の感じをサウンドとしてあらためて出そうかなって。ギターの音はかなりジャキジャキなんですけど、キングレコードの方の提案で(MT-2)Metal Zoneを使ったんですよね(笑)。だいぶ長いこと使ってなかったんですけど、あらためて今回、使ってみたら一周まわっていい音だなと感じるようになっていて。素晴らしい機材でした。ちなみに曲の作り方的に、ベースソロから始まってテルミンが鳴ってみたいな流れは、「不機嫌なアンドロイド」と一緒なんです。そういうところは意識的に重ね合わせました。

リウ:この曲、デモの段階では入ってなかった三味線とかの和的な音が途中から加わったんですよ。それによってグッとアングラ感のある仕上がりになったと思います。かなりマニアックな曲になったので、完成したときはけっこうビックリしましたね。

シャラク:自分も完成形を聴いたとき、「おぉ!  こうなるんだ」とビックリしました。この曲は3人で歌っているんですけど、自分のパートでは“勢い”と自分らしい声を出すことをすごく意識しましたね。

――最後の「そんじゃ、また」もすごくいい曲ですね。ある種、“死”を想起させる歌詞の世界観はまさに年齢を重ねたからこそ書けるものなんだろうなと。

フクスケ:そうですね。まあでも、そういった死みたいなものも鼻で笑い飛ばすみたいな気持ちを込めた感じですけどね。で、最終的には“期待なんてボクにしないで”と、ポイッと放り投げてる感じがいいかなと。こういう力が抜けてるような抜けてないような、芯があるようでないような感じの曲は、確かに若いときには書けなかったと思います。

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