imase × Yaffle対談:“ポップである”とはどういうことなのか? 自分自身へのカウンター、挑戦が広げる可能性
imaseから新作EP『はてな』が届けられた。
2025年8月に活動休止を発表し、アーティストとしての歩みを一度止めたimaseは、旅行をしたり、絵を描いたりと、久しぶりに自由な時間を過ごしたという。そんな時期を経て生み出された本作『はてな』には、彼自身のリアルで生々しい感情が込められた楽曲が収められている。現代の音楽シーンを代表するプロデューサーとのコラボレーションによって大きく広がったサウンドメイク、表現力を増したボーカルも本作の魅力だ。
リアルサウンドでは、『はてな』に参加したプロデューサーとimaseの対談シリーズを企画。第1弾として楽曲「サービスエリア」の編曲、サウンドプロデューサーを手がけたYaffleとのトークセッションをお送りする。(森朋之)
imaseが変えたシーンの潮流「アイデアがよければバズる曲は作れる」
——撮影、お疲れさまでした! 撮影中のトークも弾んでましたけど、おふたりの初対面はいつだったんですか?
imase:2023年の『サマソニ』(『SUMMER SONIC 2023』)ですよね?
Yaffle:そうだね。
imase:そこでご挨拶させてもらったのが最初です。その後、「NIGHT DANCER」のリミックス(「NIGHT-Yaffle Holiday Remix」/2023年)を制作していただいて。それ以来だから、お会いするのは2年ぶりくらいですね。
Yaffle:imaseくんはコミュ力が高いですからね。気軽に喋らせてもらってます(笑)。
——Yaffleさんがimaseさんの存在を知ったのは、やはり「NIGHT DANCER」がきっかけですか?
Yaffle:そうだったと思います。「NIGHT DANCER」でダーン! ってなった時ですね。
imase:ダーン(笑)!
Yaffle:「新星が現れた!」みたいな感じでしたからね。音楽の玄人ではなくて、「今の時代、やり方次第でこんなにいい音楽ができるんですよ」みたいなイメージもあって。音楽をはじめて間もなかったんですよね?
imase:そうですね。「NIGHT DANCER」は5曲目くらいに作った曲なので。
Yaffle:メディアでも「アイデアがよければバズる曲は作れる」という取り上げ方をされることが多かったし、僕もそういう受容の仕方でしたね。
imase:もともと音楽のベースがあったわけではないし、「作ってみたいな」という衝動と「こういう曲があったら面白いんじゃない?」という発想だけでしたね、最初は。DAW(Digital Audio Workstation)もそうですけど、曲を作りやすい状況があって。SNSの使い方を含めて、僕の世代はそういうふうに注目されることが多かったと思います。
——imaseさんの登場で、確実にシーンの潮流が変わりましたからね。
Yaffle:そうですよね。今回「サービスエリア」という曲に関わらせてもらったんですけど、imaseくんのイメージが以前とはいい意味で変化してたんですよね。彼自身、テクニカルなことにも興味を持っていて。
imase:「コーラスめっちゃ重ねたいんですよね」とかいろいろ相談させてもらいました。
Yaffle:そこからゴスペルフュージョンっぽいアレンジを入れたら、「いいですね!」ってすぐに反応してくれたり。imaseくんが送ってくれたデモ音源もかなり複雑なコード進行で。もっとバイブスを大事にするタイプだと思ってたから、ちょっと意外だったんですよね。
imase:Yaffleさんと制作させてもらって、めちゃくちゃ勉強になりました。最初のデモはもっと尺が長くて、5分近くあって。その時はメンタル的にちょっとヒネくれていて、長い曲を作りたかったんですよね。でも、Yaffleさんからは「サビまでの時間を短くしたほうがいいんじゃない?」という提案があって。その時は「長いほうがいいんだけどなあ」とか思ってたんですけど(笑)、構成し直してもらったものも聴いたら「めっちゃいいじゃん!」って。ちょうどその時ロンドンにいたんですけど――。
Yaffle:かっこいい(笑)。
imase:(笑)。シンプルに「こっちのほうがいいな」と思えたのがよかったな、って。当然ですけど、Yaffleさんは曲をよくしようと思ってくれたわけじゃないですか。もちろん、「こういう曲を作りたい」という思いはあるんですけど、それと同時に「曲をよくするためにはどうしたらいいか?」というプロデューサー的な視点も大事なんだなと、あらためて実感しましたね。