ゴダイゴ「最高の50周年記念になりました」 堺正章、Charら盟友が集結 リスペクトが交差した初主催フェスの全て

 日本のポップ/ロックシーンに偉大な足跡を残すレジェンドバンド、ゴダイゴが10月10日にSGCホール有明で『SGC presents Godiego FEST 2026』を開催した。長いキャリアのなかでも初の主催フェスということでファンの期待は非常に高く、この3月にオープンしたばかりの真新しい会場はさまざまな年齢層の観客で埋まった。豪華ゲストとともに送るスペシャルパーティーを楽しむ準備は万端だ。

「こんばんは! 『Godiego FEST 2026』です。こんなに集まっていただいて最高です。今日はたくさんのゲストを招いてやりますので、思いっきり楽しんでいっていただきたいと思います」(タケカワユキヒデ/Vo)

タケカワユキヒデ

 タケカワの開会宣言に続き、まずはオープニングアクトの$hun ft. REG☆STYLEが、二本のロープを使ったダブルダッチと呼ばれるスポーツの妙技を披露。大縄跳びとヒップホップダンスを掛け合わせたスポーティーなパフォーマンスで会場を沸かせると、次に登場したのはEXILE B HAPPY。明るくポップなダンス&ボーカルグループとして、キッズエンタテインメントをテーマにしたパフォーマーとして、キッズダンサーたちとともに歌い踊る姿はとにかく明るく華やか。最後はゴダイゴのメンバーをステージに呼び込んでヒット曲「ビューティフル・ネーム」をタケカワとともに歌い、ゴダイゴの掲げてきたメッセージを新世代がしっかりと受け継いでいることを示してくれた。

「今日は『Godiego FEST 2026』ですけれども、ゴダイゴももちろん演奏しちゃいますからね」(タケカワ)

 EXILE B HAPPYを送り出すと、ここからいよいよゴダイゴの単独ステージが始まる。1曲目は1980年のヒット曲「リターン・トゥ・アフリカ」だ。トミー・スナイダー(Dr)の強烈なドラムソロから始まり、スペイシーなシンセとホーンのフレーズが飛び交うファンキーなサウンドは、今聴いても色褪せないどころかむしろ新しい。吉澤洋治(Gt)の華麗なギターソロも聴きどころだ。続いては再結成を果たした2006年リリースの「すばらしい愛」で、ノスタルジックなアメリカンポップス風メロディと、トミーとスティーヴ・フォックス(Ba)が作る心地よいリズムに自然に体が揺れる。続く「DEAD END」は、1977年リリースの2ndアルバムの表題曲で、ミッキー吉野(Key)がイントロのピアノを弾き始めただけで大きな拍手が湧き起こる。さまざまな年代のファンが、それぞれの思いを曲に重ねて聴いている。曲のなかに時代が織り込まれている。

 新曲の「You are here」は、新しい命の誕生を祝福する慈愛のバラード。タケカワのボーカルは年を経て丸みを帯び、おおらかな包容力を身につけて、こうしたテーマを歌うのによく似合う。そしてサポートメンバーの竹越かずゆき(Key/Gt)とホーン隊の吉田治(Sax)、奥村晶(Tp)、池田雅明(Tb)を含むメンバー紹介に続き、「ゴダイゴのもうひとりのボーカリストです!」とタケカワに紹介されてトミーがセンターに立ち、カバー曲「人間の証明のテーマ」を胸いっぱいのソウルを込めて歌い上げる。この曲の作曲者で、5月に亡くなった大野雄二とトミーのあいだには深い繋がりがあった。観客だけじゃない、メンバーもそれぞれの思いを曲に重ねて今日は演奏している。

トミー・スナイダー

 「TAKE IT EASY」を演奏する前に、70年代からの盟友ギタリスト・Charの名前をタケカワが呼ぶと、ひときわ大きな拍手と大歓声が湧き起こった。お馴染みのカウボーイハットに赤いストラトキャスター、歌よりも饒舌なギターの音色は圧巻のひとこと。ここからゴダイゴ+Charの夢のコラボレーションが幕を開け、Charのオリジナル「Shinin' You, Shinin' Day」では吉澤とのギターバトルが白熱し、トミーが作詞を手掛けた「TOMORROW IS COMING FOR ME」ではファンク味の効いた強烈なスワンプロックのグルーヴが観客の体を揺さぶる。1978年のCharとゴダイゴのジョイントツアーでも披露されたというこの曲が、48年を経て再び演奏されることを、奇跡と呼んでも言い過ぎじゃない。そして最後に贈るソウルフルなバラード「Wondering Again」を歌いながら、Charが「ミッキー!」と声をかけ、ミッキーが万感込めたピアノソロを弾いたときの感動も、奇跡と呼んでいいだろう。Charも今年がデビュー50周年、タケカワが「合わせて100周年」と言うと、Charが「(それぞれの)100周年までやりましょうか」と応える。同期の絆は永遠だ。

 およそ20分間の休憩を経て、第二部のオープニングを飾るゲストはラッパーのMummy-Dだ。ミッキーを中心とした特別編成のバンドに加え、ステージ背後にずらりと並んだTSMゴスペルアンサンブル&THE SOULMATICSという、日本のゴスペルクワイヤを代表する精鋭たちが歌い踊る分厚いサウンドに乗せて、歌うはゴダイゴの初期ナンバー「UNDER UNDERGROUND」。小学生で聴いたゴダイゴに衝撃を受けて「もう歌謡曲が聴けなくなった」(Mummy-D)というのは、その年代の共通体験かもしれない。

 さらにオリジナル曲「Be Alright」を歌ったあとにベーシストでプロデューサーの亀田誠治を呼び込み、ミッキー、亀田、Mummy-Dのそろい踏みで「歓びの歌 (feat. Mummy-D)」を披露。ミッキー吉野の古希を記念したソロアルバム『Keep On Kickin' It』で実現した組み合わせを再現して大いに客席を沸かせると、続いては亀田のリクエストで「銀河鉄道999」へ。実は亀田は現在制作中のゴダイゴの新作のプロデューサーで、「早くみなさんに届けたい」と自信満々。今日はゴダイゴとの夢の共演に「中学生の頃の自分に教えてやりたい」と、大物プロデューサーがひとりのファンに戻ってしまうのも、ゴダイゴの影響力を示す素敵なシーンだ。

 続いてのゲストは岡村靖幸。Mummy-Dと同じく『Keep On Kickin' It』に参加した岡村は、ゴダイゴ黄金期を支えた故・浅野孝已をはじめ、去って行った人々を思って作られたという美しいバラード「NEVER GONE (feat. 岡村靖幸)」を深い思いを込めて歌い上げる。一転して「Superstition」(スティーヴィー・ワンダーのカバー)ではワイルドに大胆に、タケカワとスティーヴのコーラスに加えてMummy-Dと斉藤和義を呼び込んでパワフルかつ妖艶なパフォーマンスで観客を煽る。そこから岡村と斉藤のユニット・岡村和義のステージへと繋げてオリジナル曲「I miss your fire」を、さらにタケカワの「恐縮ですが……ゴダイゴの曲をやっていただけますか?」というお願いを受けて「ホーリー&ブライト」を披露する。岡村や斉藤のファンも多数駆けつけているようで、ゴダイゴファンと一体になった盛り上がりが素晴らしい。

 岡村を送り出したあと、斉藤が自作の「ずっと好きだった」を歌い、再びタケカワの「恐縮ですが……(笑)」という言葉を受けて斉藤が選んだのが「(カミング・トゥゲザー・イン)カトマンズ」。小学生時代に好きだった女の子の影響でゴダイゴのファンになったというエピソードが、実に斉藤らしい。タケカワとデュエットで送る壮大なバラードに、悠久のときを超えて懐かしさと新鮮さが混ざり合う。そして斉藤を送り出して再びゴダイゴのメンバーがステージに揃い、タケカワの「僕達たちの大事な曲です。『ガンダーラ』」という紹介を受けて、会場はこの日いちばんの大きな拍手に包まれた。タケカワが歌うにつれて、頭のなかの時間が一気に巻き戻されていくのがわかる。ここにいる全ての人が歌詞をそらんじている。ヒット曲には人の運命を変える力がある。

 ここでタケカワがこの日最後のゲスト・堺正章を呼び込み、「ガンダーラ」のコーラスをともにしたのも、運命と言っても言い過ぎじゃない。主演・堺正章のTVドラマ『西遊記』(日本テレビ系)エンディングテーマとして大ヒットした「ガンダーラ」は、ゴダイゴの、堺の、そして当時の若い音楽ファンの人生を変えたと言っても言い過ぎじゃない。笑顔で「堺さんのおかげです」「ゴダイゴのおかげです」と言い合う、堺とタケカワのユーモラスなやりとりに客席から笑いが起きる。同窓会のようなあたたかい空気が流れている。

堺正章

 ここからはもう誰にも止められない堺の独壇場だ。ひとこと話すたびに会場に笑いの花が咲き、80歳という年齢がにわかに信じられない声量と圧巻の歌唱力、豊かな表現力で観客を圧倒。バックを固めるのは2年前に結成した堺正章 to MAGNETSのメンバーで、ミッキーもメンバーに名を連ねている。曲間に軽妙なトークをはさみながら、タケカワも参加してザ・スパイダースのヒット曲「あの時君は若かった」、ミッキーの素晴らしいエレクトリックピアノとともに「ノー・ノー・ボーイ」、そしてバンドメイトの故・かまやつひろしに捧げた「トーキョースタイル」。ゴダイゴのメンバーでただひとり、今日のゲストのステージでも1曲も欠かさず演奏し続けているミッキーに「この人はいろんな仕事をやりすぎで」と水を向けると、ミッキーは「来年はゴダイゴとMAGNETSしかやりません!」と力強く答える。最後は再びザ・スパイダースの「バン・バン・バン」と、4曲を全力で歌いきってまだまだ余裕たっぷりの堺。あらためて、素晴らしいエンターテイナーだ。

 いよいよクライマックスが近づいてきた。「The Birth Of The Odyssey」のBGMに続いて、ステージ中央に運び込まれた銅鑼を堺が渾身の力を込めて打ち鳴らし、「アチャー!」と叫んで「モンキー・マジック」のイントロが始まると、観客は総立ち、ステージにはこの日のゲストアーティストが続々と再登場。タケカワが歌い、堺が孫悟空の如意棒を華麗に振り回し、最後は出演者が全員で放つ“蜘蛛の巣投げテープ”でステージが真っ白に染まり、ステージも客席も笑顔と歓声と拍手に包まれる大団円。見事なフィナーレだ。

「どうもありがとうございました。最高の50周年記念になりました」(タケカワ)

 そしてアンコール。ちょっと季節が早いですが――と前置きして歌った「Christmas」は、ミッキーのピアノがリードするスローワルツで、平和と喜びを願うタケカワの優しい歌に寄り添うトミーとスティーヴのリズム、吉澤の歌うようなギターソロ、荘厳なゴスペルクワイヤが胸を打つ美しい曲。リリースが楽しみだ。そしてもう1曲、幸せに満ちたフェスの終わりを飾るラストナンバーは「THE GREAT SEA FLOWS」だった。1985年に活動休止を表明した際に作られた壮大なスローナンバーで、タケカワは歌う前に「のちの再結成を示唆していたかもしれない」と言った。全てのものは変わりゆくが偉大な海は流れ続ける。2006年に蘇ったゴダイゴは、多くのリスナーに偉大な影響を与えたバンドとして今も新しい音楽を生み続けている。50年はひとつの通過点だ。

 満員の観客と多彩なゲストを迎え、およそ4時間近く及ぶ『Godiego FEST 2026』は大成功のうちに幕を下ろした。そして“2026”というタイトルがついているということは、もしかして今後も? さらなる新曲発表の期待とともに、ゴダイゴは力強く歩み続ける。今こそ観てほしい、聴いてほしいバンドだ。

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