Mrs. GREEN APPLE、RADWIMPS、Vaundy、Ado……誰かを想い、物語を背負う 注目の映画主題歌たち

 映画を観終えたあとも、物語の余韻を残してくれる主題歌。2026年秋も、第一線で活躍するアーティストたちの楽曲が映画の世界観を彩っている。

 11月27日公開の映画『君の話』の主題歌は、Mrs. GREEN APPLEの「本と彗星」。〈他愛もない/甘くて切ない/日々が過ぎ去ったよ〉という過去形で始まる歌詞は、かつて誰かと過ごした日々を振り返りながら、その時間には意味があったのだろうかと問いかける。それらの言葉が、記憶を消す治療を受けた大学生・千尋と、記憶を消したはずの彼の記憶のなかに存在する幼なじみ・灯花の物語に重なる。ピアノやストリングスを織り交ぜたサウンドは少しずつ熱を帯びていき、やがてドラマチックな広がりを見せていく。思い出の確かさを探すような歌詞と感情を押し上げるアレンジが、不思議な関係性のふたりの恋物語を包み込むように響いている。

Hon to Suisei

 RADWIMPSの「夕星-ゆうづつ-」は、映画『汝、星のごとく』のために書き下ろされたバラードだ。〈君が理由なら何回だって 間違えてみたい〉という切実さを含んだ一節は、運命に翻弄されながらも互いを想い続ける、劇中の櫂と暁海の姿に通じている。星がきらめくような幻想的な音像がスケールの大きさを際立たせる一方で、中盤に置かれた〈君が すきだ〉という飾らない言葉が、広い世界でたったひとり大切な〈君〉という存在を強調するようにまっすぐに響きわたる。複雑な選択を重ねた先に残る想いを、壮大さと素朴さの両方で緻密に描き出した一曲だ。

RADWIMPS - 夕星 -ゆうづつ- / Yuzutsu [Official Music Video]

 映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』の主題歌には、Vaundyが2021年に発表した楽曲「しわあわせ」が起用されている。命の儚さを見つめながら大切な人と限られた時間をともに刻んでいくこと、そして、その日々のなかで育まれる人とのつながりを感じさせる歌詞が、がんを患った和と、彼女を支える夫・将一の姿を描いた映画の内容と深く響き合う。誰かと過ごす何気ない時間の尊さを静かに、しかし壮大なスケールで浮かび上がらせる楽曲だからこそ、映画を観終えて聴いたとき、過ぎていく一瞬一瞬を愛おしむような余韻が胸に残るだろう。

しわあわせ / Vaundy : MUSIC VIDEO

 10月23日公開の映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』の主題歌に起用されたのは、Adoの「Raven Sky」。羽が折れたカラスと空をモチーフに「朽ち果てても、それは未来へと繋がる」という輪廻転生を彷彿とさせる世界観を描いた一曲だ。儚さを帯びたAdoのウィスパーな歌声は、次第に闇を突き抜けるような屈強なものへと変化。英語と日本語を交えたロックチューンで、繊細な歌声が力強さを増していく過程そのものにも、再生へ向かう意志が表れているように感じられる。骨太のサウンドと変化に富んだボーカルが、映画の緊張感を際立たせている。

【Ado】Raven Sky

 それぞれ異なる物語を背負いながら、4曲はいずれも、誰かを想うことや生きた時間の意味を描いている。そんな楽曲たちは、映画とともに胸に残るはずだ。物語に浸りながら、それぞれの主題歌にも耳を傾けたい。

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