「三方よし」な音楽フェス「FEST. INAZUMA」開催後レポート 『稲妻革命譚』の景色は本当だった

「三方よし」なフェス「FEST. INAZUMA」
『稲妻革命譚 滋賀県における「FEST. INAZUMA」の社会的役割とその効果』

 去る2026年9月19日・20日・21日に滋賀県の烏丸半島にてFEST. INAZUMAが開催された。同イベントは西川貴教が主催する大型野外音楽イベントで、今年「イナズマロック フェス」から、「FEST. INAZUMA」へ名称を変更しての初めての開催となった。

 「FEST. INAZUMA」は累計100億超の経済効果を生む地域に根付いた音楽フェス。滋賀県はもちろん観光連盟などと協力して作り上げた「三方よし」な経営モデルが存在する。その詳細は、今年blueprintより出版された書籍『稲妻革命譚 滋賀県における「FEST. INAZUMA」の社会的役割とその効果』にて明らかになっている。

 台風の接近が懸念されるなか、シルバーウィーク初日からの3日間を無事に走り切ったFEST. INAZUMA。本稿では、主催者である西川貴教の誕生日でもあった記念すべき初日の模様をレポートする。

天気を味方につけた、祝福ムードの初日

 東京から新幹線を乗り継ぎ、筆者が守山駅へ到着したのは朝9時。駅には手荷物預かり所だけではなく、お土産の販売(と無料預かり)もあり、小さい駅ながらも全体がINAZUMA色に染まっていた。シャトルバス乗り場にはすでに長い行列ができていたものの、運行が非常にスムーズで滞りなく乗車でき、10時前には会場へ到着した。

 会場である烏丸半島は、空が広く、見渡すと湖が見える眺めの良い場所。足元こそ少しぬかるんでいたものの日差しが強い。雨対策ばかり準備していたが、暑さ対策が必要だったと反省した。過去、悪天候での中止がニュースにもなったこのフェスだが、節目である今回は天気が味方してくれているように感じた。

 書籍でも述べられているとおり、「FEST. INAZUMA」の会場は「無料エリア」と「有料エリア」に分けられており、アーティストのステージにあたる部分のみ「有料エリア」になっている。

 「無料エリア」では、観光PRブースのスタンプラリーに参加している人や、「イナズマフードGP」を勝ち抜いたフードを食べている人、ご当地キャラクターのステージを楽しむ人などで常に賑わっている。おなじみのスーパー「平和堂」をはじめとする企業ブースにも人が並んでいる。物販では書籍『稲妻革命譚 滋賀県における「FEST. INAZUMA」の社会的役割とその効果』も販売されており、オフィシャルグッズとともに購入することができた。

 有料ライブエリアに入ると、「風神ステージ」「雷神ステージ」が並んで目に飛び込んでくる。どちらのステージ側にいても、隣のステージが見やすくなっている設計だ。11時がすぎると滋賀県知事・三日月 大造氏が「豊臣兄弟」にちなんだ甲冑姿で登場。「今日は我らが西川貴教さんのお誕生日でーす!」と、会場みんなでハッピー・バースデー・トゥー・ユーを合唱しつつ、開会を宣言した。

演歌歌手からアイドルまで、多種多様なラインナップ

 初日のステージを飾ったのは、演歌歌手・山内惠介。西川とはTV番組で共演し、山内の直談判によって出演が決定したという。イナズマ発の演歌歌手として「恋する街角」「この世は祭り」などを壮大に歌い上げ、観客を大いに魅了した。

 続いて登場したONE N’ ONLYは、EBiDAN所属の5人組ダンス&ボーカルグループ。イナズマ柄をあしらった黒いレザーの衣装を纏って登場。新曲『Golden Sun』は、夏らしい力強さと鮮やかさを感じる、お茶目なナンバー。圧倒的なダンスパフォーマンスで会場に爪痕を残した。

 この日特に注目を浴びていたのが、RAISE A SUILENだ。華のあるパフォーマンスとハードな楽曲のギャップが癖になる、メディアミックス作品「BanG Dream!」から派生した5人組ガールズバンド。定番ソング『灼熱 Bonfire!』では、サビの振り付けが見事に決まり、FEST. INAZUMAの多様な参加層がひとつになって盛り上がれるステージとなっていた。

 ほかにもメディアミックスプロジェクト『ガールズバンドクライ』から生まれたトゲナシトゲアリ、BMSG発のダンス&ボーカルグループ・MAZZELが登場。LDHからはGENERATIONSと、PSYCHIC FEVERの2組が出演していた。この日はダンス&ボーカルとメディアミックスに主軸を置いたラインナップとなっているのが印象的だった。それぞれ約30分の凝縮されたパフォーマンスはテンポ感も抜群で、既存のファンはもちろん、初めて観る観客にも「もう少し観たかった!」と思わせる鮮烈な印象を残しながら、ステージは軽快に進んでいった。

この日だけのコラボレーションも見どころに

 トリの前を飾るのは、歴代最多出場となるももいろクローバーZ。「毎年、ここでももクロ見るよって人~!ここでしか見ないって人!ぶちかますんで、よろしくお願いします!」と、絆の深いMCからスタート。「ワニとシャンプー」や「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」など人気曲はもちろん、新曲「会心の一劇」も披露された。

 途中、高城れにが別人に入れ替わるという茶番タイムがあり、高城が「あの人なら…カラダが夏になった、カゲキなあの人なら…!」と願うと、このあと本番を迎えた西川貴教が登場する一幕も。背中にサンバでおなじみの羽を背負った西川による「HOT LIMIT」のサンバアレンジ。「これ、なんなの!?」と戸惑いながらも歌い始める西川。どこかカラオケ感漂う歌唱と、あまりの「やらされている感」全開のパフォーマンスに、会場は大きな笑いと多幸感に包まれた。

 そしていよいよ迎えたT.M.Revolutionのステージ。当たり前だがこの日いちばんの盛り上がり、やはり彼を観ずにFEST. INAZUMAは語れない。ステージの後ろまで観客はびっしり。どこか緊張感も漂う。この日の西川はケンタッキーフライドチキンのCMでもお馴染みの黄色いジャケットを着用。背中に「革命」の文字が光る。「Save The One, Save The All」からスタートすると、「resonance」で圧倒的な歌声を披露し、早くも観客の心をぐっと捉えた。

 「生まれたばかりのFEST. INAZUMAへようこそ」とMCを挟むと、「Naked arms」へ。早くもジャケットは脱ぎ去られ、タンクトップから覗く筋肉美に歓声が上がる。「FLAGS」では、〈時代を起こせ!〉という歌詞とともにステージからは炎が吹き上がり、FEST. INAZUMAという新しい歴史の幕明けを彩った。

 ここからフィナーレまではお祭りムード一色だった。「今年、こんなに(話題に)なっているのに、やることあるでしょ!」「ここ、滋賀だけ夏にしようぜ!」という声かけのもと、「HIGH PRESSURE」。歌詞は〈滋賀を制するものだけが恋を制する〉に変えて披露された。そして、「初年度の初日に来てくださった本当に素晴らしいみなさんのために、ホットな心を!」という言葉とともに「HOT LIMIT」が炸裂。会場のボルテージは最高潮に達した。終盤にはPSYCHIC FEVERがダンスで加わり、続いてGENERATIONS、ONE N’ ONLY、ももクロと次々に出演者がステージへ登壇。特にHOT LIMITスーツで現れた中務裕太の筋肉美に会場はどよめいていた。

 「もう帰りたい! シャワー浴びたい!」「花火あげなきゃならないから!」と締めにかかる西川を遮るように、アーティスト3組が西川を3度ほど胴上げすると、オーディエンスの暖かな拍手とともにFEST. INAZUMAの初日の夜が閉じた。烏丸半島の澄んだ空に打ち上がった花火が美しく散っていった。

 今年は3日間でアーティストやパフォーマー延べ93組が出演し、約12万9000人の観客動員を記録したFEST. INAZUMA。老若男女が楽しめて、地元のお祭りのようなアットホームさがありながら、フェスとしてのアクティビティや快適さに妥協がない。パフォーマンスも素晴らしい。そして、地元企業や滋賀県への経済効果もあるというのだから、これを「三方よし」と言わずに何という?『稲妻革命譚』で描かれていたとおりの景色が広がっていた。

■書誌情報
『稲妻革命譚 滋賀県における「FEST. INAZUMA」の社会的役割とその効果 』
著者:西川貴教、津田昌太朗
価格:2,800円+税
発売日:2026年7月6日(月)
出版社:株式会社blueprint

特典付き書籍『稲妻革命譚』は、blueprint book storeにて販売中!

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