ミーマイナー「0の時を忘れない」 満員のO-EASTで辿った軌跡、4人の原点と未来が交差した『0 to 1300』
0人から1300人へ。その数字の間には、まだ多くの人に届いていなかった歌、路上で配ったティッシュ、出会いと別れ、そして4人で鳴らしてきた音がある。9月17日、新世代4人組ロックバンド・ミーマイナーが、東京・Spotify O-EASTで『3rd ONEMAN LIVE「0 to 1300」』を開催した。2025年9月のShibuya eggman、2026年3月のSpotify O-WESTに続き、3公演連続でチケットは即完売。満員のフロアを前に、全21曲を届けた。
超満員のフロア、全21曲を駆け抜けた2時間
定刻、オープニング映像が流れ、4人がステージへ。「夜行劣者」で幕を開けると、「オーバーサイズ」、そして人気チューン「オンリーロンリータウン」へなだれ込んだ。美咲(Vo/Gt)が赤いギターをかき鳴らし、わたさん(Gt)が鋭いフレーズを重ねる。腹に響くさすけ(Ba)の低音の上で、葵(Dr)のキックに合わせてフロアの腕が一斉に跳ね上がった。
「君はサイダー」、「レモンガール」では、スクリーンに映し出される歌詞と鮮烈な照明が交差。光がステージから客席へ走り、フロアには無数の拳が上がった。「盛り上がっていけますか?」と美咲が呼びかければ、返ってきたのは大きな歓声。大切な曲だと語って届けた「サンドウィッチ」を経て、「がらん」、「夏時雨」、そして名曲「純文学」へと進むにつれ、序盤の疾走感は、一つひとつの言葉をじっくり受け取る時間へ変わっていった。
この日の核心は、中盤に用意された演劇パートだった。美咲曰く、“タイムマシン”に乗り、2019年8月24日=バンド結成以前の時間へ遡っていく。
美咲は、以前所属したグループ時代を回想するかのようにサブステージで「その先へ」を歌い踊る。2022年2月19日、さすけが美咲に曲作りを教えていた時間が描かれると、センターステージで「あなたは生きてゆけるの?」をひとり歌った。さらに2023年10月22日、作家活動を諦め、ボカロP“もの憂げ”として音楽を発信するさすけの姿から、ふたりによる「愛は愛のままで」へ。現在のライブと再現ドラマが交互に現れ、楽曲が生まれた場所へと観客を連れていく。
物語は2024年夏のストリートライブへ進む。ティッシュを配りながら歌っていた「ガムシロップ」を、美咲がひとりで届けた。そして2024年9月9日のスタジオ。さすけがギタリストのわたさんを連れてきて、さらにドラマー葵が加わる。「こうやって私たちミーマイナーは結成されました」。美咲の言葉を合図に、4人は大切な楽曲「ワンルームナイト」を鳴らす。それまで言葉で語られていた過去が、目の前のバンドサウンドへ変わる鮮やかな演出だった。
その後もスクリーンの日付は進んでいく。「ささくれハート」がリスナーとの接点を広げ、2026年5月13日には1st EP『部屋とガラクタと私』でメジャーデビュー。個人的な痛みや生活の断片を歌ってきた曲が、より多くの人へ届いていく過程を、4人はライブそのものとして再構築してみせた。わたさんはステージに膝をついてギターをかき鳴らし、葵はしなやかにビートを押し出す。さすけの低音を土台に、美咲の歌声が鮮やかな照明の切れ間を縫って、客席の奥まで真っ直ぐ届いた。