明日に確証などない時代だからこそ響く歌ーーAkiに聞く「唸るほどの熱」へ至った創作の思考

Aki、創作の思考

「唸るほどの熱」の底に隠された“しんしんとした怒り”

Aki(撮影=武石早代)

ーーそういう気持ちの中でこそ、たった一瞬、君の肌に触れただけで「唸るほどの熱」を感じる、ということを歌っているのが最新曲「唸るほどの熱」だと思うんですけど、これはAkiさんの中では、どんなことを想像しながら書いた曲ですか? そもそも「茹だるような暑さ」とよく言うけれど、「唸るほどの熱」と表現するのが面白いなと思っていました。

Aki:あ、それです。最初は「茹だるほどの熱」と考えていました。これを思いついたのは、自分が空っぽで、何にもやる気が起きないとき。でも稼働し続けなきゃいけなくて、自分のお尻を自分で叩かなきゃいけないようなときでした。しかも季節は冬だったんですけど、「茹だるほどの熱」みたいな体感で。寒いとかじゃなくて、カラカラすぎて茹っている。砂漠に1人、水もない状態で、熱を浴びながら溶けそうな状態。乾いた状態って、水分がないから火が一番燃え上がるじゃないですか。そういう感覚だったんですよね。それを歌詞にするかと思って、派生した「唸るほどの熱」というワードとそこから連想した歌詞の一部を携帯にバーっと書いたのが始まりです。そのあと上口(浩平)さんと制作に入ったときに、上口さんが「ポップなリズムのある曲を書いてみたいね」と言って、そこにこの心を当てはめてみたいと思って、その場でメロディと歌詞を書きました。ポップなんだけど、腹の底に「何クソ」っていう、しんしんとした怒りと言うんですかね? そういうものが隠れているようなものを作り上げたいと思っていました。

「唸るほどの熱」

ーーしんしんとした怒りというのは、もしかしてAkiさんの音楽における重要なワードだったりしますか?

Aki:けっこう入っていると思いますね。タイアップ以外の曲は、何かしらそういうものが入っています。「君にはもっと愛をあげる」「これも愛としよう」とか、全然素直じゃないところが入っていますね。

ーーとはいえ、Akiさんの曲は、ちゃんと希望も持って帰らせてくれると私は感じるんです。でも、ここまでの話を聞いていると、Akiさんは「希望」というものをどう捉えているのかが気になります。虚構なものなのか、今この瞬間にこそ希望があるという考え方なのか……。

Aki:希望かあ……わからないんですよね。今も手探り状態なので、みなさんがよく言ってくださる「曲の最後には希望を込めている」というのも全然ピンとこなくて。曲に関しては聴く人に任せているので、希望だと取ってくださっているなら、全然それはそれでよくて。でも私は、ピンときていない状態を持ち続けながら曲を書いているので、「私はカラカラなんだよね。だけど、もうひと足掻きしているんだよね」っていう曲ができるんだと思います。

ーーカラカラだと思っていても、そういうときこそ〈単純な心じゃ帯びない熱〉を持つことができるんだよと、ある意味、希望を見つけ出すような書き方をしているとも言えると思います。でもそれもきっと、こちらの捉えたい捉え方でしかない。Akiさんの曲は、聴き手の心の映し鏡となれる力を持っているんだろうなと思います。

Aki:聴く人も、1年中通して同じ気持ちではないじゃないですか。なんなら24時間、というか1時間のあいだも、同じ気持ちじゃないし。ふと怒りに変わったり、ポップに変わったり、喜怒哀楽どれにも当てはまるようなものになったりするんだと思います。

Aki(撮影=武石早代)

ーーあと「唸るほどの熱」もそうですけど、Akiさんの曲は、Dメロがいいですよね。最近は曲の尺が短い傾向にあって、Dメロがない3分前後の曲が増えていますけど、王道のJ-POP構成とも言えるような、Dメロを含んだ曲全体の起伏の描き方がいいなと思っています。

Aki:Dメロに、私の好きなものが集まっているというか。好き勝手やらせてもらっていますね。そこで曲がガラッと変わっちゃうんですけど、上口さんに何とかやっていただいています(笑)。

ーーでもそれが許されるのがDメロだったりしますもんね。

Aki:やっぱりそうですよね? 聴き心地がいいなら、よかったです。あとそうしたほうが、ライブで歌うときに間違えない。おしゃれな曲とか、構成が難しいじゃないですか。それは覚えられないなと思って……。という、びっくりするくらいの安易な考えです。

ーー(笑)。

Aki:私の中では、整っていてキャッチーなものが続いている曲が気持ちいいんですよ。そういうものは永遠にループで聴けます。

ーー「整っていてキャッチーが続く」というのはキーワードですね。8月には『SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2026』に出演し、10月には『FM802 MINAMI WHEEL 2026』への出演が決定していますが、今後ライブの機会を増やしていきたい気持ちはありますか? それとも、「人前で歌いたい」という気持ちが強くあるわけではない?

Aki:……って言ったらまずいんですかね? 世間の声とかがあって、ある程度ちゃんと芸事をしないとダメだというのはわかっているんですけど、それが申し訳ないくらい下手くそなので、私がライブをやるということが合っているんだかどうかもわからない……。ライブをやろうよって言われたら、やらせていただく、くらいにしか思えないんですよね。ライブで歌っている瞬間は、楽しい。ちゃんと歌えているんですよ。ただ、リハーサルとか、現場に入ってステージに立つ前やそのあとは、自分がいわゆるアーティストだという実感が、本当にないんです。今もこうやって取材を受けていますけど、その実感が、申し訳ないくらいにないんですよ。

ーー歌っている瞬間が楽しいというのは、何よりも大事な感覚なんじゃないですか? 最後まで「今」を生きるAkiさんらしい言葉だなと思いました。

Aki:歌う瞬間にならないとわからないので、「楽しかった」としか言えないんですよね。「ライブが楽しみ」「これからどんどんやっていこう」というより、「このライブが楽しかった」としか言えないんです。

Aki「唸るほどの熱」ジャケット写真
「唸るほどの熱」

■リリース情報
Aki「唸るほどの熱」
配信日:2026年9月23日(水)
形態:デジタル

■関連リンク
Official YouTube Channel:www.youtube.com/@aki_chan_0
Official Instagram:https://www.instagram.com/aki_chan_0/
Official TikTok:https://www.tiktok.com/@aki_chan_00

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