LANA、ストリートから次世代のポップスターへ 「STARS」に刻んだ他者へのまなざしと新たなメッセージ

 「翼の折れたエンジェル」のカバー、そしてドラマ『一次元の挿し木』(読売テレビ・日本テレビ系)主題歌「Truth in the dark」で話題を集めているLANA。HIPHOPシーンを爆速で駆け上がり、10〜20代を中心に令和のポップカルチャーの中で際立った存在感を放っている彼女は、この2曲によってさらに高いステージに上がることになりそうだ。この2曲には、LANAがなぜこんなにも急激に支持を集め、凄まじいまでの熱狂を生み出しているかの理由が刻まれている。

 まずはLANAのキャリアを振り返っておこう。

ストリートから武道館へーーリアルな生き様と無二の輝き

 神奈川県湘南生まれのLANAが、SoundCloudに楽曲をアップロードし始めたのは2020年。特徴的なハスキーボイス、リアルな実体験に基づいたリリック、日本のHIPHOPシーンにおいて、プロデューサーとして中核を担うZOT on the WAVE、STUTS、JIGGらによるトラックにLANAの歌が融合し、オーセンティシティと革新性を両立した楽曲によって瞬く間に注目を集めた。

 最初のヒットチューンは、実兄のラッパー・LEXをフィーチャーした「FLAME (feat. LEX, Saru jr.Fool & taisyov)」。さらに「TURN IT UP (feat. Candee & ZOT on the WAVE)」「BASH BASH (feat. JP THE WAVY & Awich)」「it’s okay」などのヒット曲を続けざまに生み出し、2024年には1stアルバム『20』をリリース。2025年4月に初の日本武道館公演『LANA “20 at BUDOKAN”』を成功させ、今年5月には国内最大級のHIP HOPフェス『POP YOURS 2026』のヘッドライナーを務めるなど、令和のHIPHOPシーンを代表するフィーメールラッパーとして確固たるポジションを手に入れた。

LANA - TURN IT UP feat. Candee & ZOT on the WAVE (Official Music Video)

 LANAが急速に支持を獲得している最大の理由は、やはり歌の強さだろう。オーセンティックなR&B、HIPHOPを背景にした彼女のラップ/ボーカル。日本語のリリックにしなやかで濃密なグルーヴを与えながら、そこに刻まれた感情やメッセージを真っ直ぐに伝える。リスナーの心と身体を同時に揺り動かし、エンパワーメントする彼女の声はすでに唯一無二だ。

 自身のすべてをさらけ出すような歌詞も、彼女の求心力の強さに繋がっている。決して恵まれているとは言えなかった家庭環境、兄のLEX、姉のLiLi(ダンサー)との絆、彼女自身の挫折や失恋なども含めて、ネガティブな部分やコンプレックスなども隠さず表現する。その率直さとリアルな手触りが、聴く者の強い関心を呼び起こすのだ。

 さらにカラフルで個性的なファッションやメイクも大きな魅力。2024年には経済誌『Forbes』の「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」に選出されたが、その影響力は音楽シーンを大きく超えていると言っていいだろう。

「翼の折れたエンジェル」カバーがバイラルヒット

 ここからは「翼の折れたエンジェル」のカバー、ドラマ『一次元の挿し木』主題歌「Truth in the dark」の魅力について記していきたい。

 まずは「翼の折れたエンジェル」。1985年に中村あゆみの3rdシングルとしてリリースされたこの曲は、高橋研の作詞作曲によるロックバラード。思春期の痛みにも似た恋愛をリリカルに描いたこの曲は当時の10代を中心に圧倒的な支持を獲得し、中村にとって最大のヒット曲となった。これまでに大黒摩季、デーモン閣下などによってカバーされ、リリースから40年以上経った現在も根強い人気を持つJ-ROCKのスタンダードだ。

LANA - 翼の折れたエンジェル (Official Lyric Video / Cover)

 2004年生まれのLANA自身、母親に教わったこの曲を聴き、青春時代の辛い時期を乗り越えた経験があるという。「大人にならなきゃ」ともがく同世代の若者にも伝えたいという思いから、昨年11月にSNS上で一瞬だけ歌唱データの一部を公開。さらに今年行われたツアーでも披露され、ファンの間で大きな話題を集めていた。そして、6月にリリックビデオとともに配信リリース。原曲に対するリスペクトと現代的なサウンドを融合させたアレンジ、そして、LANA独特のハスキーボイスやフロウ、歌い回しを存分に発揮した歌唱によって瞬く間にバイラルヒットとなった。

 YouTubeでは「有線で流れてきて誰がカバーしてるんだろ!?って鳥肌立ちました」「オリジナルまんまじゃなく、LANAらしくアレンジしてて凄く新鮮で素敵」といった絶賛コメントが多数。名曲を現代に受け継ぐと同時に、LANA自身のシンガーとしての魅力をさらに幅広く伝える大きな契機となっているようだ。

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