安達祐人×Aile The Shotaが語るオーディションシーン 唯一無二性や“編集と素顔”、ソロ活動の矜持に迫る
グローバルボーイズグループ・PENTAGONとしての経験を経て、2025年5月14日に日本でソロアーティストとして再始動した安達祐人。BMSG所属のソロアーティストとしてポップでキャッチーな楽曲を発信し続ける一方、プロデューサーとしても手腕を発揮しているAile The Shota。この2人が初めてタッグを組み、6月10日に楽曲「Hate to LOVE YOU」をリリースした。同い年で何かと共通点が多い2人が歌う、切ないラブソングは必聴だ。
そんな「Hate to LOVE YOU」のリリースにあたり、リアルサウンドでは2人にインタビューを実施。楽曲についてはもちろん、2人の関係性や共通点のひとつである“オーディション”について、じっくり語ってもらった。(高橋梓)
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「生き残ること」から「伝えること」へ、二人がオーディションから受け取った経験
ーーお二人の共通点と言えば、大規模なオーディション番組にご出演されていたことが挙げられます。振り返ってみて、今に活きていると感じる当時の経験はありますか?
Aile The Shota:(安達に向かって)オーディションがきっかけなんだ。
安達祐人(以下、安達):そうなんですよ。練習生を経験してから、オーディションに参加しました。オーディションってやっぱり“生き残ること”がテーマになっているじゃないですか。その当時のサバイバル感は、今でもすごく役立っていると思います。この世界って常に動いていないと消えていっちゃう世界ですから。常に“正しい自分”をテーマにできている源はオーディションだったなと思います。
Aile The Shota:なるほどねえ。僕は……なんだろう、“対人関係”になっちゃうかも。活きているというより、オーディション以前から変わっていないのですが、“長男ポジション”になることが多くて。年下の方と接する機会が多いんです。なので、オーディション当時13歳だった子がデビューして、大人になっていく様を見ていると、「あの時、大事なことを伝えておいてよかったな」と。年下を育てていこうというマインドは引き続き持っていますね。
ーー「伝えておいてよかった」というのは、例えばどんなことなのでしょうか。
Aile The Shota:STARGLOWとしてデビューしたRUIとTAIKIがオーディション当時13歳だったので、僕は10個も年下の子と一緒にクリエイティブするという機会をもらっていました。その時は、大人・子ども関係なく、表現者としての視座にリスペクトを持って対等に話していましたが、オンとオフの付け方や、オーディション中はスイッチを切らないことなどを伝えていて。今の彼らがリスペクトを持って活動しているのを見ると、「めちゃくちゃアーティストになったな」と感慨深いです。僕自身、いいお兄ちゃんができていたのかなと思わせてもらっています。
安達:僕は逆に若手側だったのですが、年上のオーディション参加者たちは怖かったです……というのは冗談(笑)。デビューする前に見ていた方たちが教えてくれていたので、あまりにも別世界な気がしてしまっていて。今思えば、当時は教えていただいたことを十分に理解できていなかったのかなと思います。でも、年齢を重ねていくうちに「あの時にああ言ってくれたことは大事だったんだ」と気づけるようになりました。すごくありがたいアドバイスをたくさんもらっていたんだと、感謝しています。
ーーそんな安達さんは、今や『PRODUCE 101 JAPAN 新世界』(Lemino)にラップトレーナーとして参加されています。サポートする立場になった今、昨今のオーディションシーンをどう見ていらっしゃるのかな、と。
安達:オーディションはファンの皆さんに見つけてもらう場でもありますが、人生が大きく変わってしまうものでもあって。ある意味、残酷だなと感じる時もあります。ただ、僕は結果がどうであれ、次の人生に役立つアドバイスをしようと心掛けています。今の若い子たちは吸収のスピードが速いので、一言一言気をつけて話すようにしていますね。
Aile The Shota:本当に飲み込みが速いよね。僕もTAGRIGHTのボーカルディレクションをさせてもらった時に、まさにそう感じて。最初は「歌は好きだけどプロのステージで歌った経験はほとんどない」という子が、オーディションやレコーディングを通してすごく伸びていく。ディレクションをしている最中に、その子の声が見つかっていく過程はすごく美しいと感じました。その瞬間に立ち会えるのは幸せですよね。それにしても、あの技術面の伸びしろの大きさはなんなんでしょうね?
安達:本当に。恐ろしいくらい。
Aile The Shota:どうしてあんなに反射神経がいいんだろう? でも、そのぶん反射神経の良い、悪いがわかりやすいですよね。わかりやすくなったからこそ、オーディションがシビアになっている部分もあると思います。
ーーオーディションで勝ち上がっていくためには反射神経がないと、厳しいですか?
安達:厳しいと思います。参加者は指摘されたことを直すのはもちろん、その上でステージでは期待を超えていかなくちゃいけない。だからこそストイックになる必要があると思います。
Aile The Shota:オーディションじゃなければ違うと思うのですが、オーディションだと長い目で見られないこともあるじゃないですか。その場で判断をしなくちゃいけないので、どうしても反射神経でジャッジされてしまうことが多いんですよね。しかも若い子たちはスキルが高いからこそ、よりシビアになっているという。
唯一無二性が問われるスキル社会、二人が懸念する“編集”と“素顔”
ーーなるほど。お二人にもオーディションで切磋琢磨したライバルたちがいますが、今は肩を並べてアーティスト活動をされています。刺激になっていることや、自分のエネルギーに変えられていることも多そうです。
Aile The Shota:まさに、先日BE:FIRSTのスタジアム公演(『BE:FIRST Stadium Live 2026 We are the “BE:ST”』)を観に行ったのですが、オーディション時から歌っている楽曲も披露していました。当時を思い出した一方で、今もお互いにコミュニケーションを取っているからこそ彼らが積み上げてきたもの、僕が積み上げてきたものがはっきり見えました。それによって「こいつらにかっこいいと思ってもらえる自分でいよう」というモチベーションに繋がりましたね。
安達:僕の場合、オーディションに参加している日本人、韓国で活動している日本人がまだ少なかったので、ライバルという感覚はありませんでした。戦友と言った方がいいのかも。悩みを話し合うなど、常に日本人同士でケアをしていましたね。
ーーひと口に「オーディション」と言っても、環境によって違う部分もある、と。昨今オーディションがかなり増えていますが、お二人は今のオーディション番組をどう見ていらっしゃるのでしょうか。
Aile The Shota:僕は主催者から相談を受けたり、楽曲提供で携わってほしいと言っていただけたりすることが多いのですが、参加者やそこから生まれるグループが“唯一無二性”をどれだけ持つか、という部分が気になります。スキル社会になってきているので、どこが武器なのか、どうやって勝とうとしているのか、みたいな。しかも、集める側も「集めてみないとどういう参加者がくるかわからない」ではなく、集める段階で「こういう子たちをこうやって集めたいから、こういうオーディションをしましょう」と見えていることが大事だと思います。いい音楽、いいエンターテインメントを発信できるアーティストを作るという目線で考えると、主催者側の責任は大きくなってくるんじゃないでしょうか。
安達:そうですよね。参加者たちもそうですが、番組を制作する方々も数あるオーディション番組と被らないように、展開作りをしなくちゃいけない。それと、参加する側はスキルも大事ですが、トレーナーはスター性も見るんですよね。でも、編集を気にしてオーディションを受けている子も多くて。
Aile The Shota:あー。“編集”というワードが一般的になりましたもんね。若い子たちは「切り取られるもの」として受けていますが、オーディションはいかに素の状態で臨めるかが大事。そこを教えるところから入らなきゃいけないんですよね。もちろん、作ることも大事なんですよ。でも、いわゆるブランディングとは別の意味で作っていると大変。自分が着たい服を着ることは大事だけど、「その服をずっと着ていられるの?」という。若い子はわかっているつもりでも、そこまで見えていないんですよ。だからこそ、主催者や先輩が教えていかなきゃいけないと思っています。
安達:僕、「下手なりの下手さ」は美しいと思っているんです。でも、発言を遠慮してしまったり、こういう発言をしたらまだ出会っていないファンがこう思うんじゃないか、と気にしたりするのはあまりよくないと思っていて。“バズる”というワードに敏感になっている子が多いんですよね。でもオーディションでは、その子自身を見たいわけで。性格を偽ってもいつかボロが出ますから。がむしゃらにやっていけば、いつか見つけてくれる人が出てくると思います。