モノブライト、再始動の真実と20年以上ぶりに生まれたロックバラードを語る 「今のメンバーだったらおもしろくできる」
活動再開のきっかけとなったライブ「みんなでデカい音を出して、正解になる感じ」
――で、契機になったのは、2023年2月12日の、桃野さんの40歳記念ライブですよね。
桃野:はい。自分の40歳のライブを縁のある新代田FEVERでやろうとなった時に、40歳だから40曲やろうと思ったんですよ、今までを総括したライブにしよう、って。弾き語りとHocori、Momonobandは決まっていて、あとお世話になった人としてザ・ビートモーターズの秋葉(正志)くんや阿部芙蓉美さんとか、ゲストも出てもらって。そういうふうに考えていた時に、「ここにモノブライトないのは変だな」と。だから、まっつんとデーさんに「30分だけですけど、やりませんか?」って声をかけて。
松下:すんごい他人行儀なLINEがね(笑)。
出口:敬語でね。
桃野:イヤだろうなと思ったの(笑)。僕が活動休止の言い出しっぺなのに、40歳の自分の誕生日に「やってくれよ」って言い出すのは、なんかアレだなと思って。でも、ふたりが「いいよ」って言ってくれたので、活動休止までサポートで叩いてくれていたSISTERJETのKENSUKE.Aくんに頼んで、4人編成のモノブライトで懐かしい初期の曲をやろう、と。
――やってみたらよかったということ?
桃野:いや、僕自身は、40曲歌うなかの最後の30分がモノブライトなので、もうキツくて。本当にツラいタイミングで、モノブライトの曲がくるっていう(笑)。20代で作ってるから、曲も激しくて。3人はめっちゃ元気なんですけど、僕だけヘロヘロだった。
出口:でも、不思議な感覚だったんですよね。リハも一回しかなくて「どうかな?」と思ったんだけど、スタジオに入ったら、できちゃったんですよ。「あれ? できたんじゃない?」って。
松下:最初に「あの透明感と少年」を合わせたら、♪ジャーンって終わって、「はい、オッケー!」って。ほかの曲、合わせてないのに「大丈夫だ、できた!」って。
桃野:なんなら前よりよくなってたよね。
出口:そうなんだよね。
――僕も、このあいだの再始動後初の渋谷クラブクアトロを観て、まさにそう思ったんですけども。なんで?
出口:整備されたんですかね。8年間の休止のあいだに、みんな活動していたし、成長もしてるから。曲の捉え方が変わったんだと思います。
松下:でも、僕は指が動かなくて(笑)。人に教えたりする時に弾いてたけど、ステージで思いっきり弾くことはなかったので、もう弾くのだけでいっぱいいっぱいだったんですよ。でも、それがちょうどよかった、余計なことを考えないから。ヒデ(岩中)が観にきていて、終わったあとに言ってたもんね、「なんでうまくなってんの?」って。
岩中英明(以下、岩中):うん、そう思った。
松下:リハの時もそういう手応えがあったんですよね。「あれ? よくなってる」「この曲、こんな曲だったんだ?」みたいな。
出口:逆のことも思ったんですけどね。「この演奏をあの時できていれば!」「なぜ今なんだ!」っていう(笑)。でも、それぐらい、当時はやろうとしてもできなかったことが、ことごとくできている手応えがあったから。楽しいことが思い浮かばなくなったから活動休止したのが、楽しいことが考えられるようになったんですよね。演奏でそれができた。みんなでデカい音を出して、正解になる感じですよね、バンドをやり始めた時の。
桃野:それで、年一回とかで同窓会みたいな感じでモノブライトをやるのもおもしろいんじゃないか、みたいな話になって。それで次の年に東京のライブを一発入れたんですね(2024年12月28日新代田FEVER公演)。MomonobandのドラムもKENSUKEくんなので、変化をつけたくて、その時にヒデに頼んで。そしたら、チケットが一瞬で売り切れて。
出口:「これはクレーム出るぞ」「会場の選定を間違えたんじゃないか」って。
松下:そうそう。クレームになると思って、追加で東京と大阪の会場も押さえて。
桃野:その時までは限定復活だったんですけど……。
――それもやってみたら手応えがあった?
松下:ありましたね。かつての曲がことごとく生まれ変わる感覚みたいなものがあって。
桃野:あと、岩中との今のモノブライトだったら、新しいものが作れそうだなっていう手応えも、ライブで感じました。感謝はしないですけど――。
岩中:したほうがいいよ(笑)。
松下:その追加公演の東京は、ヒデが別の現場があって、KENSUKEくんにやってもらったんですけど、ヒデも打ち上げだけはきてくれて、ワイワイやってて。お店の外で、桃野とふたりでいる時に、「最初にやり始めた時のゾクゾク感と『ばっちりだな』っていう手応え、ない?」って聞いたら、「ある!」と。そこで「ヒデをちゃんと口説いてメンバーにしよう」「メンバーなんだったら再始動をちゃんとやろう」って話しましたね。
桃野:モノブライトを進めようという意識においていちばん大きかったのは、普通の再結成のノリとは違うんじゃないかなと思っていたことで。モノブライトがいちばんおもしろいので、イチからまたモノブライトというものを作ろう、っていう。おじさんだから「新人モノブライトです」みたいなのはすっごく恥ずかしいし、イヤなんですけど、でも気持ちはそうです。
松下:「あの時こうしていればいろんなことができたのに」っていうことを、ありがたいことに今もう一回やれる環境にいるんだな、と。
桃野:「こんな曲をやりたい」っていうのがパッと浮かびますね。ヘタしたら、ソロよりもモノブライトのほうが書ける曲があるな、という。
出口:普通は逆だよ(笑)。
――ねえ。普通ボーカルは、「このメンバーだと俺のやりたいことができない」っていうので、ソロを始めるものなので。
桃野:だから、僕はソロが向いてないんでしょうね。バンドをやりたいんでしょうね。あと、岩中が入って変わったのは、バンドの外にいた人間の感覚が彼にはちゃんとあるので。たとえば、「アナタMAGIC」はライブでやっていくうちにテンポが速くなっていって、ずっとそのままでやってたんですけど、活動再開してリハに入った時に岩中が「元のテンポがいいんだから元に戻そうよ、そのほうがメロディが活きると思う」って言って。
出口:ハッとしたよね。
桃野:「ああ、たしかに」っていう。感謝はしないですけど。人間性は終わってるんですけど。
出口:(岩中に向かって)言い返さないの?
岩中:俺が入ってよかったね(笑)。
桃野:でも、演奏だけじゃなくて……もちろん個々の成長もあると思うんですけど、それ以上に、気持ちが合うっていう感じなんですよね。曲に対して「こうしよう」「ああしよう」っていう4人の気持ちが一致している感じがして。向かう先が同じというか。
出口:そういうふうになったのは、さっきも言ったような、「誰かのために」とか「人のために」っていう意識になったのもデカいのかもしれないですね。前は自分たちのためにバンドやってたし、自分たちのために音楽やってたし、自分たちがいいものをやろうとしていたけれども、ヒデに「『アナタMAGIC』が速すぎる」と言われてハッとしたのもそうで。曲をちゃんと届けることを考えるとね、「自分たちが楽しいからこうだ」じゃなくて、「この曲はこの形がベストだよね」と思えれば、それは人のために、誰かのために音楽をやることでもあるし。8年前とのいちばんの違いは、そこなのかもしれないですね。