ラウールが語る“モデル”という存在、1年半に及ぶ挑戦 『ラウール On The Runway』取材会詳細レポート

 Snow Man ラウール初の単独ドキュメンタリー『ラウール On The Runway』が、2025年9月13日10時よりPrime Videoにて独占配信される。それに先駆け、都内にて取材会が開催された。

 「こんにちは〜」と登場したラウールは、まず取材陣に対して「お集まりいただきありがとうございます。ちょっとこっぱずかしいんですけど、このドキュメンタリーを作った意味を世の中のみなさんに少しでもお伝えしていただけたら嬉しいです」と挨拶。

 今回のドキュメンタリーには、ニューヨーク、ロンドンとともに「世界4大コレクション」として知られるミラノ、パリコレクションのランウェイに挑んだ1年半の様子が記録されている。

 国内では10代の頃からモデル活動を行ってきたラウール。きっかけは事務所からの提案だったというが、ここまで続けてこられたのは、モデルの活動がすごく楽しかったこと、自分の負けず嫌いが高じて、もうちょっと頑張ってみようと思えたからだと話す。そして、ミラノ、パリのランウェイを目指した背景には、自らの力を本場で試してみたいという思いがあった。

「日本で撮影していると、アイドルというのもあってわりとちやほやしてくれるというか、『かっこいいね』とたくさん言ってくれるんです。でもそれが、すごく恥ずかしかったんですよ。本当にそう言ってくれているのか、お世辞で言ってくれているのかがわからなかった。それで、自分が本当にできるのかを試したい部分もありましたし、ファンの方やSnow Manのメンバーが冗談半分、本気半分で『パリとか歩いてそう』と言ってくれたりする言葉から引っ張られた感じもありましたね」

 ラウールは2023年1月に個人の公式Instagramを開設後、ファッションウィークに合わせて単身現地に渡り、さまざまなブランドのショーを訪れる様子を投稿。次第にオーディションへ挑戦する様子も伝えられるようになり、数々のランウェイへと進出していく。2024年6月にはパリの「Bananas Models」、2025年5月にはミラノの「Models Milano」、2つのモデル事務所への所属も果たした。なぜ今回、世界へ挑戦する姿をあらためて映像で配信することになったのだろうか。

「いろんな諸事情を踏まえ『カメラを回しておいたほうがいいんじゃない?』とスタッフさんが伝えてくれて、僕もなんとなくその意味もわかりながら『まぁ回しておきましょう』と。最初は配信先も決めていなくて、モチベーションがなかったんですよ。『カメラがあってずっと休まらないな』とか『どこに出すかもわからないし、なんでやっているのかな』とか、とにかく乗り気じゃなくて。自分のやりたいことをアピールするのも恥ずかしいとずっと思っていました。でも全部終わって観たときに配信したほうがいいなっていうモチベーションが出てきて。

 自分のように頑張っている日本人モデルの人はたくさんいらっしゃって、活動の中でもいろいろな人に出会ったんですけど、その地位の低さ、知られなさみたいな部分に苦しさを持っている。自分はアイドルをやっているし、もしかしたらこういう世界があるんだっていうのを少しでも知ってもらえるようなことができるかもな、と思ったのがモチベーションになりました。あとは、1カ月くらいパリにずっとい続ける時期もあったんですね。そうすると、いくつか日本の仕事を休んじゃったことがあって。それはすごく胸が痛かった出来事というか、それはしないようにしなきゃいけないものだと思っていたので、その時に何をやっていたか説明するべきなのかなというのもありましたね」

 世界中の注目を一挙に集めるパリ、ミラノコレクションの華やかなランウェイ。「ずっと虚勢を張りながら、でも本当の自信もどこかにありながらっていう。謙虚な姿勢は意味のない現場ばかりだった」という環境でモデルという仕事の厳しさに直面したという。

「行ってみたら自分がちょっと人として見られていないように感じる瞬間もたまにあって。自分はその経験がすごく新鮮で、できなかった経験ができた嬉しさがあったんですけど、それが一瞬苦しい時期もあったし、まわりに同じような思いを抱えていた人もたくさんいたので、知ってもらいたいなと思い始めました。アジア人が欧米の方々と対等に仕事をしていく難しさも本当に身をもって感じましたし、それがあったから頑張れたし、世界を少しだけ知れた気がして。それはいい経験でしたね。

 密着も、もともと1年くらいの予定だったんですけど、思うように結果が出なくて。期間を決めてしまうとなかなか結果が出づらいので、一旦続けさせてほしいと。それでもやっぱりいろんな限界があるじゃないですか。2、3年と回していてもただ大変になっていくだけなので、もうあと一回だけ、ということで6月くらいにラストの挑戦をして、それまでの模様が収まっています」

 密着された感想について聞かれると、「きつかった時もありました」とオーディション期間を追いかけられ続けた苦労についても明かす。

「ずっと撮影をしてくれた方がすごく優しくて。基本的にオーディションを受けると母数が多いのもありますが、9割以上落選なんですよ。けっこう悔しいじゃないですか。でも、カメラがあるとあんまり悔しい顔ができない。したほうがいいんだと思うんですけど、アイドルをやっているからか、カメラへの意識があるんですよね。カメラが回ってるな、とか。その苦しさはあったんですけど、それでもなんやかんや撮れているところは撮れていると多います」

 「現地で一番辛かったこと」については熟考したのち、「方向音痴なので道に迷いすぎてそれがつらかったです。いつも海外で電波を取得するのが下手で、ポケットWi-Fiを持っていきたくなるんですよ。それで歩いている途中に充電が切れちゃって。方向音痴の人がスマホの地図をなくすとけっこうヤバいんですよ。それでね……大変でした」とユーモアを交えて話し、嬉しかったこと・楽しかったことについては“食”に関するエピソードを披露。

「体を見せる仕事だったので、体をずっとつくってたりして、終わったらおいしいご飯を食べようと思っていて。それを食べている時が一番嬉しかったですね。(「どういうものを食べた時が一番幸せだったか」を聞かれ)やっぱり日本人だなと思うのは、お寿司でしたね。パリで仲良くなった日本人のお寿司屋さんがいて、そこに毎年行ってました」

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