Creepy Nuts「Mirage」

　TVアニメ『よふかしのうた Season2』（フジテレビ系）のオープニングテーマとしてオンエアされた瞬間、あっという間にバズり散らかしている新曲「Mirage」。ラテンのフレーバーを色濃く滲ませるトラックはおそらく彼らの新機軸。『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』で最多9冠を獲得するなど国内外で評価を上げまくっているCreepy Nutsは、自らの音楽的スタイルを固定することなく、自らの表現欲求と世界への視点を共存させながら、今もなお貪欲な変化を求め続けているのだ。“よふかし”をテーマにしたリリックも印象的。いろんな音楽やカルチャーと出会い、自らの在り方を振り返ったり、未来のことを思ってやる気になったり、落ち込んだり。夜とともに過ごした時間はまちがいなく、彼らの創造性の原点なのだろう。（森）

キタニタツヤ「まなざしは光」

　アニメ『薫る花は凛と咲く』（TOKYO MXほか／Netflix）オープニング主題歌としての書き下ろし新曲。まっすぐでハートウォーミングな青春学園ストーリーにふさわしい爽やかな王道ポップスで、ギターやベースの他、鍵盤やストリングスがキラキラと華やぎを添えている。キタニにとっては稀と言えるほどブライトな一曲だが、歌い出しが〈雨降り〉であるのは案外彼らしい注目ポイント。“恋”や“好き”というようなストレートな単語をあえて使わず、〈薄明かりがひとすじ〉〈過去の自分がほどかれる〉〈この感情には名前があるらしい〉など、どうしようもなく加速していく恋心というものを丁寧に描き出すところに、ポップ職人らしいこだわりを感じる。（石井）

Chevon「菫」

　昨年2月にリリースされた1stアルバム『Chevon』以降、香取慎吾とのコラボなどをきっかけに一気に知名度と存在感を増しているChevonから新曲「菫」が届けられた。ドラマ『40までにしたい10のこと』（テレビ東京系）主題歌として書き下ろされたこの曲は、爽やかなギターフレーズからはじまるポップチューン。気持ちいい解放感をたたえた歌声、軽やかなストリングス、力強いスラップベースなどが響き合い、聴く者をチアフルな気分へと誘ってくれるはずだ。小さくて尊い、〈ドラマにはならない幸福（しあわせ）〉を描き出す歌詞は、同性愛をテーマにしたドラマのストーリーとしっかり結びついている。他者や社会からの評価ではなく、自分（たち）だけのささやかで大切な愛を育てることがいちばん大事――そんな真摯な思いが伝わってくる。（森）