アメリカと日本にブリッジをかけたい

——他のアーティストのライブも観ましたか？

luvis：はい。1日目が自分のライブ、2日目はMVの撮影だったんですけど、夜は時間があったので10組くらい見ました。Pacific Avenueというオーストラリアのバンドが良かったですね。パフォーマンスの熱量が高くて、観客を惹きつける力がすごくて。すごく目立っていたのはJasmine.4.t。トランスジェンダーのシンガーソングライターで、フィービー・ブリジャーズが主宰するレーベルからリリースしているんですけど、「アメリカ中のメディアが注目してるんじゃない？」と、思うくらいプッシュされてましたね。

——luvisさんの音楽性は、海外のインディーシーンとも親和性がありそうですね。

luvis：USインディーはいちばんよく聴いているし、影響を受けていますからね。でも、SXSWでインタビューを受けたときに「メロディが独特だよね」って言われて。日本語と英語では母音の使い方が全然違うし、やっぱり独特なんでしょうね。「言葉がわからなくても、景色が浮かぶ」とも言われたんですけど、そこは自分も意識しているところだし、特徴でもあるのかなと思っています。言語、文化が違う場所でお客さんを沸かせたいという気持ちはすごくあるし、アメリカと日本にブリッジをかけたいんですよ。

——アメリカと日本の橋渡しをしたい、と。

luvis：知り合いのミュージシャンともよく話してるんですけど、自分1人だけじゃなくて、いろんなアーティストと一緒に「日本にはこんな面白いシーンがある」ということを伝えたくて。欧米の人にとって日本の音楽は異質かもしれないですけど……。

——それをどう認知させるかが課題ですよね。日本だけではなくて、アジア全体でアピールすることも必要なのかなと。

luvis：そうですね。今年のSXSWでいうと、「Taiwan Beats」がすごくて。台湾のショーケースなんですけど、国がバックアップしていて。アーティストでいうとホワイト（?te / whyte）というR＆Bシンガー、トラッシュ（TRASH）というオルタナ系のバンドなどが出ていたんですけど、すごい数の人が集まってましたね。

——今年はCEIPAが支援していたり、日本でも少しずつバックアップが始まっているので今後に期待したいです。luvisさんの今後の活動は？

luvis：次の作品を制作しています。SXSWで公開録音してMVを撮った曲もそうなんですけど、今までよりもさらに広げて、いろんな人に届くアルバムにしたいと思っていて。前作のEP『Blue Inside You』は自分が好きなことを詰め込んだんですけど、“光を手繰り寄せた”という感覚があって。次はその光をみんなで一緒に見られるようなアルバムにしたいんですよ。今の世界と自分の共通項を見つけるために、街のなかでデモ音源を聴いて、そこにいる人たちを観察したり。

——デモ音源を何曲か聴かせてもらいましたが、ブライトなシンセサウンドが印象的でした。

luvis：テーマは“光”ですからね。ただ、光があれば影も必ずあって。どうしても陰りの部分も入ってくるし、もともと自分が持っているものも反映されるので。luvisは“love is”が由来で、“愛って何だろう？”をみんなと考えていきたいと思っているんですよね。

——“愛について考える”というテーマは変わらない。

luvis：そうですね。ただ、音楽を手段だとは思っていなくて。音楽自体にトキメキを感じているし、音楽は巨大な生命体のようなイメージなんですよね、自分のなかで。

——アルバム、期待しています！　海外へ向けた活動については？

luvis：やりたいことはいろいろあるんですよ。まずは海外のプロデューサーと一緒にやりたくて。いちばんはロスタム・バトマングリ（ex.Vampire Weekend／HAIM、フランク・オーシャンなどのコラボやプロデュースでも知られる）。自然由来というか、感覚的に作っている感じがすごくよくて。海外でのライブも増やしていきたいし、一つひとつ実現させていきたいですね。

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