ASKA、『tiny desk concerts JAPAN』シーズン2初回収録に潜入 90年代のキーを取り戻しチャゲアスの名曲も披露
『tiny desk concerts JAPAN』シーズン2のレギュラー放送が、NHK総合、国際放送（NHK ワールド JAPAN）にてスタートする。初回のゲストは、ASKA。この度、シーズン1と同じNHK放送センターにあるオフィスの一角にて収録が行われた。
『tiny desk concerts JAPAN』は、アメリカの公共放送NPRが2008年よりネット展開し、全世界にブームを巻き起こした音楽コンテンツ『tiny desk concerts』の日本版。2024年春から、NHKが本家アメリカのNPRよりライセンス、さらにはノウハウを受け取り、日本のアーティストで番組を制作。これまで藤井 風や稲葉浩志（B'z）などが出演してきた。この2アーティストは特に多くの反響と高い評価を受け、NPRのYouTubeチャンネルでもライブの様子が公開されている。
収録に参加してみて、改めて驚くのはアーティストの生声とミュージシャンの生音のみでライブが展開されていくこと。イヤモニやスピーカーでの返しもなく、アーティストは生声のみで集まった約200人のNHKで働くスタッフにライブを届けていく。今年でデビュー46年目のASKAでもこのような環境でライブをするのは初めてだという。「アマチュアの時に、掘っ建て小屋で練習してましたよ。あの時の感覚を思い出すんです。原点ですよね。あの時は上手くなりたいとか、練習したいとかじゃなくて、その場所で自分が歌っていることの喜びがありましたからね」とASKAは話す。その時の情景は、CHAGE and ASKA「The Time」の歌詞に〈入るとはみ出る 小部屋の中で〉と刻まれている。
およそ30分のライブで披露されたのは、ASKAの代表曲「はじまりはいつも雨」を皮切りに、「SAY YES」「僕はこの瞳で嘘をつく」「太陽と埃の中で」「PRIDE」といったCHAGE and ASKAが主に1990年前後にリリースしてきたヒット曲の数々。「この曲はやらせてください」とワンコーラスのみ歌唱した「SAY YES」、ジャジーなアレンジでの「僕はこの瞳で嘘をつく」、前日のリハーサル後に急遽入れ替えられた「太陽と埃の中で」、今でも大切にしている自分の音楽の原型に出会った頃の作品だと話してから披露した「PRIDE」といったセットリストの流れ。特に、「太陽と埃の中で」は手拍子に、拳を突き上げたりと、観客が一体となる感覚があった。
「ある時期までは、90年代の世の中にたくさん出ていった曲を中心に歌うのは抵抗があって。もちろん古い曲も歌っていたんですけど、新曲、新曲でいってたんですね」と心の内を明かすASKA。最近になって、自分の作ってきた作品を抵抗なく歌えるようになったという。「90年代の楽曲のキーに難なくいけるんですよ。何が起こったのか、またキーを戻したんです。何もしてない。これはもうギフトだと思ってます」とボーカルが全盛期の頃のように復活したこともきっかけの一つにあるようだ。
さらに「PRIDE」の前には「アドリブで今から曲作ってみようか」というASKAからの提案から、セッションが行われる驚きの一幕もあった。今回のライブには、ASKAのツアーではお馴染みの9名のミュージシャンが参加。ASKAの4ビートというリクエストを受け、キーボードがメロディを奏で、それにASKAがハミング。やがてほかのパートが合流していくバラード調の楽曲だ。「いいメロディだった！」と満足げなASKAは、「NHK」と冗談混じりに仮タイトルを付けていた。
今年に入ってからもマレーシア・クアラルンプール、台湾・台北といった国でアジア公演を行っているASKA。そこに“海外進出”のような奇を衒った思いはなく、迎え入れてくれる人たちに歌を届けたいという素直な思いがあるようだ。今回の収録の模様は、国際放送を通じて世界のおよそ160の国と地域にオンエアされる。
『tiny desk concerts JAPAN～ASKA～』を皮切りにして、『tiny desk concerts JAPAN』シーズン2では「より幅広い人に聴いてもらうために、ラインナップも工夫していく」と広報担当者は明かしていた。小さな机と楽器のみという音楽の原点とも言えるライブが、再び世界へと発信されていく。
■番組情報
『tiny desk concerts JAPAN～ASKA～』
【放送予定】
4月28日（月）0:25〜0:54（※日曜深夜）＜NHK総合＞
4月27日（日）11:10〜11:39、19:10〜19:39 ＜NHK ワールド JAPAN＞
4月28 日（月）0:10〜0:39、6:10〜6:39 ＜NHK ワールド JAPAN＞
【出演】
ASKA
