短いインターバルの間に、ステージ上のドラムセット前には長方形のLEDスクリーンが別途設置される。そして、再び60秒のカウントダウンが始まるとフロアの熱気は急上昇。サポートメンバーを含むトゲトゲの面々がステージに姿を現すと、そのまま「雑踏、僕らの街」からエネルギッシュなライブをスタートさせた。MyGO!!!!!同様、トゲトゲも年末に4thワンマンライブ『協奏の響』開催（12月20日）や屋内フェス『COUNTDOWN JAPAN 24/25』出演（12月29日）と熱が冷めない中でのライブとあって、終始熱量の高いステージを展開。随所でアニメ映像を使用しつつも『ガールズバンドクライ』という枠を飛び越え、ひとつのリアルロックバンドとして強い存在感を提示してみせた。

　曲間のMCでは、理名（Vo／井芹仁菜役）や夕莉（Gt／河原木桃香役）、朱李（Ba／ルパ役）がMyGO!!!!!や『バンドリ！』に対する尊敬や愛を口にする場面も。中でも3人がMyGO!!!!!の推しを明かすくだりでは、朱李がルパ役を作り上げる際に小日向による長崎そよ役の演技を参考にしたという発言もあり、多くのバンドリーマーや『ガールズバンドクライ』ファンが驚かされたのではないだろうか。こうしたエピソードも、異なるコンテンツ同士の共演がなせる技かもしれない。

　ライブ後半では「傷つき傷つけ痛くて辛い」や「サヨナラサヨナラサヨナラ」といった、アニメ放送前から存在する楽曲も連発。MyGO!!!!!同様にJ-ROCKやギターロック、オルタナロックをベースにしつつも、そこにトゲトゲはボカロ文化以降の高速ビートや言葉数の多い歌詞からの影響をにじませることで、独特の存在感を発揮していく。そういった音楽面のみならず、ステージ上でもキャラクターを演じながらライブを展開していくMyGO!!!!!と、アニメ映像を使うことで名場面とのリンクを試みつつもリアルバンドとしての生き様を模索し続けるトゲトゲと、バンドとしての在り方にも両者の個性を見出すことができた。どちらが優れているとかそういう問題ではなく、それぞれが違っているからこそ双方が魅力的に映る。これこそ今回の対バンライブにおける大きな収穫だったのではないだろうか。

　アンコールではトゲトゲに燈が加わる形で「雑踏、僕らの街」、続いてMyGO!!!!!に理名が参加して「壱雫空」を披露するという、対バンならではのスペシャルコラボも実現。この瞬間だけは両コンテンツの枠を飛び越えて、2つのリアルガールズバンドが両者を讃えあいながら共演を楽しむ、そんな和気藹々とした姿を目にすることができた。最後の挨拶で朱李は「（今日の対バンライブは）私にとって“夢を撃ち抜いて”しまった瞬間」と、『バンドリ！』のキャッチコピーにちなんだ発言をし、羊宮も「今度対バンをするときは10人で」とトゲトゲの活動休止中のメンバー、凪都（Key／海老塚智役）と美怜（Dr／安和すばる役）に触れる場面もあるなど、終始2組の愛とリスペクトが感じられた特別な1日は、大成功のうちに幕を下ろした。

　それぞれの魅力を最大限に発揮し、『バンドリ！』および『ガールズバンドクライ』のファンを見事に巻き込んだ今回の対バンライブ『Avoid Note』。この試みが両コンテンツおよび2バンドのさらなる発展につながり、いつの日か再び交わり合うことを願ってやまない。

＜セットリスト＞
MyGO!!!!!
01. 迷星叫
02. 歌いましょう鳴らしましょう
03. 砂寸奏
04. 処救生
05. 影色舞
06. 無路矢
07. 潜在表明
08. 孤壊牢
09. 音一会

トゲナシトゲアリ
10. 雑踏、僕らの街
11. 空白とカタルシス
12. 空の箱
13. 声なき魚
14. 誰にもなれない私だから
15. 視界の隅 朽ちる音　
16. 傷つき傷つけ痛くて辛い
17. サヨナラサヨナラサヨナラ
18. 名もなき何もかも
19. 爆ぜて咲く
20. 運命の華

アンコール
トゲナシトゲアリ×燈 from MyGO!!!!!
EN1. 雑踏、僕らの街
MyGO!!!!!×井芹仁菜 from トゲナシトゲアリ
EN2. 壱雫空