The Biscats、“ロカビリー”の火を絶やさないための戦い 久米浩司の意志を継ぐ、渋谷公会堂への想い
お茶の間にロカビリーを広げていきたい
ーーありがとうございます。せっかくですから、もう一回りしましょうか?
Misaki:じゃあ、「あなたへ」にします。
ーー「あなたへ」はオールディーズなバラードです。どんな思い入れがありますか?
Misaki:渋谷公会堂でライブをするという目標を、ようやく叶えられそうだってなった時に書いた曲なんです。普段応援してくださるみなさんの存在がなかったら、今の私たちはいないし、渋谷公会堂でライブすることもできなかったし。そんな思いを手紙のように書かせてもらった曲なので、自分の中でとても大切な曲なんです。
Kenji:「純愛クレイジー」ですね。MAD3というバンドのEDDIEさんにMVをプロデュースしてもらったんですけど、EDDIEさんには「ハートのエース」のMVにも出演していただいているんです。撮影の合間にお話させてもらったり、和気藹々と楽しく撮影させてもらったり、まさかリスペクトしているミュージシャンの1人であるEDDIEさんとそこまでの関係になれるとは思ってなかったから感慨深い。曲に関して言えば、ゴリゴリのジャパロカの雰囲気があって、自分の本当に好きなタイプの曲だし、MVの撮影も楽しかったしっていうシンプルに楽しい思い出のある1曲ですね。
Suke:もう1曲挙げるなら、「ハジけちゃって!Summertime」です。シンプルに夏曲っていうのが大好きで、The Biscatsにはその夏曲が何曲かあるんですけど、その中で一番好きな曲です。でも、一番思い出に残ってるのは、夏にリリースする曲ってやっぱり夏前にMVを撮らなきゃいけないから、この曲のMVの撮影も春先だったんですけど、それがすごく寒かったことです。MVの中では、夏だぜ、イエーイってエキストラの人も含め、やってるんですけど、全員、凍えるぐらい寒かったんですよ。
Misaki:ドライブするシーンがあるんですけど、それが早朝で。すごく寒くて、終わったら速攻で毛布をかぶってみたいな。MVの撮影はけっこう大変でしたね。
ーーこの曲はThe Beach Boysっぽいところもあったり、ナイアガラサウンドっぽいところもあったり、楽曲的にもアレンジ的にも聴き応えのある曲だと思います。さて、ベストアルバムには7月3日にリリースした最新シングル「Goody Goody Girl」も収録されていますが、これも夏曲ですね。この曲の聴きどころはどんなところでしょうか?
Misaki:片思いをポップにハッピーに描いているところです。〈片思いはめんどくさいな〉とか、〈片思いはやるせないな〉とか歌いつつ、その状況を楽しんでいる女の子が主人公なので、聴いていると、悩んでいたことも、どうでもいいかと思えちゃうようなハッピーなところが聴きどころだと思います。それともうひとつ、コール&レスポンスがこれまでで一番多い曲なので、ライブは絶対盛り上がります。
ーー楽器隊の聴きどころも聞かせてください。
Kenji:この曲はジーン・ヴィンセント×Stray Catsみたいなイメージが僕の中ではあって、始まりのリフがちょっとジーン・ヴィンセントの「Race With The Devil」のデンケデンケデンケって音階を下がっていくフレーズっぽくて、その後は王道なリフになるんですけど、それがちょっとストレイ・キャッツの「Shotgun Baby」っぽい雰囲気が感じられるので、50年代と80年代のロカビリーがミックスされてるようなおもしろさが、特にギターを弾く人ならわかるんじゃないかなと思います。
ーーなるほど。Kenjiさんはこの曲に限らず、そういうオマージュ的なフレーズを演奏に加えることが多いですよね?
Kenji:僕はロカビリーのギターというものにStray Catsで目覚めているので、その影響が自然とプレイやフレーズに滲み出ることはけっこうありますね。もちろん、中にはオマージュとして狙っているやつもあります。それこそ、J-POPのカバー・アルバム『J-BOP SUMMER』ではオマージュしまくっていて、中でも「Oneway Generation」のギターはストレイ・キャッツの「Rock This Town」の初期の音源をとことん研究したので、ぜひ聴き比べてみてほしいですね。
ーーSukeさんは「Goody Goody Girl」の聴きどころはどんなところだと?
Suke:これぞ純度100%のロカビリーと言える曲ってところだと思います。シンプルだからこそ、逆に難しいところもあるんですけど、ドラムも含め、全員の歌と演奏ががしっとひとつにまとまると、これほどかっこいい曲はないと思います。
ーーこのタイミングで純度100%のロカビリーナンバーをシングルとしてリリースしたのは、さっきおっしゃっていた原点回帰的な意味合いもあるんでしょうか?
Suke:そうですね。一通りやったからこそ、「Goody Goddy Girl」があるってところはありますね。
Misaki:あと、やっぱり海外でも 活動していきたいっていう考えがあるので、「Good Goody Girl」なら海外でもウケそうというところもありました。なので、歌詞も〈Goody Goody Girl〉とか、〈My Cool Cool Cool Boy〉とか、同じ言葉を英語で繰り返しているんです。
Kenji:そうすると耳に残る。チャック・ベリーの「Johnny B. Goode」もそうじゃないですか。〈Go Go, Go Johnny Go Go〉って繰り返してる。それと同じ理論ですね。
ーーそして8月10日に渋谷公会堂ワンマンライブを控えているわけですが、そこにはどんな思いがあるのでしょうか?
Misaki:私の父が30年前にMAGICのメンバーとしてライブをしてから、ロカビリーバンドが渋谷公会堂で単独でライブをやったことがないので、このタイミングで私たちがバシッとキメて、さらに大きくなっていけたらいいなっていうがあるんですけど、日本のロカビリーの一番凄かった時代が私の父たちのところで止まってしまっているんですよ。だったら、同じ場所に立って、父たちの夢を受け継いだ上で、ロカビリーを父たちの時代以上に大きなものにしていきたいんです。
ーーそれであえて渋谷公会堂と謳っているわけですね。
Suke:バンドマンなら渋谷公会堂って言いたいじゃないですか。
ーーなるほど。10日はどんなライブにしたいと考えていますか?
Kenji:僕たちはロカビリーバンドなので、バンドらしいパフォーマンスを見せるのはもちろんなんですけど、「ロカビリーバンドでこういう演出するんだ!?」ってびっくりさせるところもあると思うので、夢の国に行くぐらいの感覚でウキウキしながら来てもらえたらなと思います。
ーースペシャルゲストが登場なんてことも⁉
Misaki:登場するかもしれないし。
Suke:しないかもしれないし。
Misaki:そこは当日来た人だけがわかるっていう(笑)。
ーーさっき海外進出という話も出ましたが、渋谷公会堂から始まる第3章はどんなふうに活動していこうと考えているのでしょうか?
Misaki:海外進出ももちろんですけど、47都道府県、どこに行ってもお客さんが来てくれるようなバンドになりたいですね。お茶の間にロカビリーを広げていけるような活動をどんどんしていきたいと思っています。
ーー音楽的な方向性としては、こんなサウンドをやってみたいとか、こんな曲をやってみたいとか、何か新しいアイデアは考えていますか?
Kenji:エレクトロスウィングを取り入れたら、ロカビリーの世界がもっと広がるんじゃないか、ここまでしか行けないってところをバンって突破できるんじゃないかって気がしていて、個人的にはそこをやってみたいと思っています。
Misaki:私もエレクトロスウィングをやりたいです。『キューピット・パラサイト -Sweet & Spicy Darling-』というゲームのオープニングテーマに提供させていただいた「フォンダンショコラな恋心」という曲のイントロにエレクトロスウィングっぽい要素が入っているんですけど、元々そっち系の曲も好きなので、もっとそれを極めていったら、また新しい扉が開くのかなって思います。
■リリース情報
5周年ベストアルバム:『The Biscats BEST 2019〜2024』
8月7日(水)より配信中
配信URL:https://thebiscats.lnk.to/TheBiscatsBEST
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