Howard Leeとの共演がもたらした化学反応

――「Spaceship」もSFをモチーフとしつつ、子供の頃に見ていた夢が現実の中で消えていく切なさを歌っています。

yacco：そうですね。子供の頃はいつか太陽まで行ってみたいと思っていたら、学校の授業で「太陽は熱くて人間が近づくことは不可能」と教わって。「あ、夢って叶わないんだ」と挫折を味わったことがモチーフになっています。「PRIDE」で幼少期のことを書いたので、きっとその頃の記憶がたくさん蘇っていた時期だったんでしょうね。

SHINTA：実はこのトラックは、もともと別の方に提供しようと思って書いたものだったんです。イメージ的には、最近流行りのシンセポップというか。「ライブでも盛り上がる曲をEPのリードにしたい」という思いが3人にあったので、結果的に上手くいってよかったです。

　ちなみに間奏の部分、ダブステップっぽくなるとこはある意味リベンジというか。以前「くすぶってばっかいられない」という曲を作ったとき、シンセポップっぽいアレンジにハーフビートを混ぜてみたんですけど、それがどうも上手くいかなかったというか「もうちょっと上手くできたかな？」という悔しい思いが残っていて……。個人的には好きな曲でもあったので、もう一度チャレンジしてみたら「PRIDE」の次に好きな曲になりました。

Baku：この曲は聴いた瞬間に映像が浮かぶというか……宇宙船とか個人的にすごく好きなジャンルの歌詞だったので、歌っていて楽しかったです。ちょっとキーが高かったですけどね、〈昼下がりの夢〉のところとかキツかった。

SHINTA：今それ言う（笑）？

Baku：あははは。それ以外は、アップテンポでライブの時もみんなで楽しめるような曲になったし、個人的にも気に入っています。

――「Pretense feat.李浩瑋 Howard Lee」で、台湾出身のアーティストであるHoward Leeとのコラボが実現した経緯は？

yacco：Howard Leeさんとのコラボは、私の希望で実現してもらいました。Bakuとは違った歌声の持ち主だけど、きっと相性がいいし面白い化学反応が起こるだろうなと。実際の曲作りはリモートで行いました。Bakuが歌う部分の歌詞だけ先に入れ、それ以外を空白にしてテーマや詳しい内容などあえて伝えずにお送りしました。メロディも、サビとAメロはこちらで指定しつつ、BメロはHoward Leeさんに自由に考えてもらっています。

――yaccoさんの中ではどんなテーマがあったのですか？

yacco：この曲は、Dメロの〈綺麗なものしか愛せない／寂しい寂しいことですね／綺麗なものだけ愛したい／それらは僕らのエゴですか？〉の部分が引き立つよう、他の部分はかなり抽象的な言葉を使っています。自分にとって大切な人に、本音を言ったり弱さを曝け出したりすることを恐れている人がテーマですね。

Baku：僕は、今回のEPでこの曲が一番気に入っています。Dメロはこの曲のハイライトだなと思っていて。めちゃめちゃ雰囲気があっていいなと。Howard Leeさんの声もすごくかっこよかったし、いつか一緒にライブで歌う日が楽しみです。

DURDNだから体現できる「歌い手と作り手が違うよさ」

――「Palm」はどのように作りましたか？

SHINTA：ちょっと2ステップやジャジーな感じを取り入れてみました。意外とDURDNのレパートリーに「深夜のクラブで流れていそうな曲」ってなかったなと。yaccoからリファレンスで送られてきたのがちょうど小袋成彬さんの楽曲だったこともあって、そのあたりのジャンルに挑戦しています。

――「FAKE MOON」は、イントロのピアノも含めて美しく幻想的な楽曲です。

SHINTA：この曲は、僕ら3人でダニエル・シーザーのライブを昨年12月に観に行って、そこでの影響を全員が強く受けながら作った曲ですね。ギターソロもダニエル・シーザーのライブからかなりインスピレーションを受けています。サポートギタリストが、シンセパッドのフレーズにギターをユニゾンさせてアンビエントっぽい響きを作っていたのが印象的だったので。全体的にR&Bやジャズっぽいコード進行を用いたのも、自分にとってはチャレンジングでした。

yacco：この曲の歌詞は、社会に対して居心地の悪さを感じているような、器用に生きられない人を主人公にしています。心に大切なものを抱えているからこそ、周りに合わせることができない。それってしんどい生き方だけど、自分のことを理解してくれる人が一人でもいれば、そこが自分の居場所になる。そんなことが書けたらいいなと。私もどちらかというとぐるぐる考えてしまうタイプなんですけど、それでも社会の一員としてなんとか生きている。なので、主人公の気持ちがわかる部分はありますね。

――今作は、yaccoさんのパーソナルな部分が歌詞に色濃く反映されていますが、それをBakuさんが歌うことによって俯瞰的な視点が加わるというか。その独特なムードもDURDNならではのオリジナリティといえますね。

yacco：確かに。私がこの歌詞を歌ったら、メッセージとして重くなると思うんですよ。でも、それがBakuの歌声で歌われることによって、受け取るリスナーの心に余白が生まれるのではないかと。DURDNのサウンドに没頭することもできるし、歌詞の内容についてより深く考えることもできる。そこが、歌う人と作る人が違うよさでもある気がしますね。

――今作を作り上げて、どんな手応えを感じていますか？

yacco：今作は、今まで以上に自分たちがやりたいことをやりたいように作れました。なので「DURDNってどんな音楽をやっているの？」と尋ねられたときに、まずお勧めしたい1枚になったかなと思っています。

SHINTA：しかも今回は、収録曲全てが書き下ろしの新曲。コンセプトもかなり固まり、3人とも目指すべきビジョンを同じにして作ることができたEPですね。

――今年5月には初のアジアツアー、6月には東名阪を回るワンマンツアーが控えています。その意気込みを聞かせてもらえますか？

yacco：私は基本的にステージには上がらないんですけど、袖から見ているとやっぱり1年前からみんなものすごくレベルアップしていて、どんどんライブがよくなっている気がしますし、EPの曲も「ライブで演奏したらもっと映えるだろうな」と思いながら作ったので、皆さんにも楽しんでもらえたら嬉しいです。

――Bakuさんにとって、ソウル公演はある意味“凱旋ライブ”ですね。

Baku：こんなに早く、ツアーで自分の生まれた土地へ行くとは思っていなかったです。家族にはもう話していますけど、結構不思議な感覚ですね。とにかく全ての会場を盛り上げたい。「いい曲を聴かせたい」という気持ちはもちろんあるけど、みんなライブは楽しむために来るわけだし、来ている人たちはきっといろんなライブを観てきた人たちだと思うので、他のアーティストのライブに負けないくらい、勢いのあるライブがやりたいですね。

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■リリース情報
DURDN『Komorebi』
2024年4月24日（水）リリース
価格：¥2,000（税込）
配信：https://DURDN.lnk.to/Komorebi
【収録曲（全6曲）】
1. PRIDE
2. Alarm
3. Spaceship
4. Pretense feat.李浩瑋 Howard Lee
5. Palm
6. FAKE MOON

■国内ツアー情報
『DURDN Live Tour 2024 “Komorebi”』
スタンディング：4,200円（税込）※ドリンク代別、未就学児童入場不可
チケット一般発売：5月11日（土）10:00

6月15日(土)　【大阪】心斎橋Music Club JANUS
OPEN/START : 17:15/18:00

6月16日(日)　【名古屋】新栄シャングリラ
OPEN/START : 17:30/18:00

6月21日(金)　【東京】LIQUIDROOM
OPEN/START : 18:00/19:00

■海外ツアー情報
『DURDN 1st Asia Tour Komorebi』

・ソウル公演
Date：11/5/2024（SAT）
Time：Open 17:00 | Start 18:00
Venue：YES24 Wanderloch Hall
Online Ticket：http://ticket.yes24.com/
Ticket Price：₩88,000

・香港公演
Date：25/5/2024（SAT）
Time：Open 19:00 | Start 20:00
Venue：MOM LIVEHOUSE
Online Ticket：https://neon-lit.com/
Ticket Price：ADV $480 | DOOR $580

・台北公演
Date：26/5/2024（SUN）
Time：Open 19:30 | Start 20:00
Venue：The Wall Live House
Online Ticket：https://offtimemusic.kktix.cc/events/durdn2024
Ticket Price：ADV NT$1,590 | DOOR NT$1,790

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