ここからライブは終盤戦へ。「声出せますか！」「もっといけるか！」とフロアを力強く煽りながら、自らも手拍子したり飛び跳ねたり、クライマックスへ向けた熱い一体感を作り出していく。「アイウエ」ではハンドマイクで「足りない！　足りない！」と叫んで熱烈なコールを何度も引き出し、「ルードルーズダンス」ではバンドメンバーのソロ回しを経て一段と熱気の高まった会場全体に向けて「歌えー！」とマイクを託し、それにオーディエンスは大きな歌声で彼女の熱い想いに応えていく。

　完成したばかりだという新曲「クリエイター」が初披露されるという嬉しいサプライズも届けられた。この曲は、「モノ作りに対する想いをぶつけて作った曲」だという。流麗なサウンドに乗せてこの先の未来へ向けた宣誓を高らかに歌い上げたのち、美波は今一度これまでの歩みについて振り返った。どんな箱でも、全力で、全身全霊でライブをやってきた。ずっと嘘をつかずに、まっすぐ進んできたからこそ、今のスタッフやバンドメンバー、ファンのみんなと出会えた。「信頼関係は誰にも負けない」「うちら最高」「だから、私のこと信じてこれからもついて来て」――その力強い言葉を経て、ラストナンバー「フライハイト」へ。客電によって燦々と照らし出された会場にミラーテープが放出され、際限ない高揚感と一体感のなか、この日の本編は幕を閉じた。

　鳴り止まぬアンコールの声に応えて再登場した美波は、「最後に一曲だけ、わかるよね？」「終わりは始まり」「頼むよ！」と観客に呼びかけ、この日2度目の「Prologue」を歌った。いつまでも熱い余韻が消えないなか、彼女はバンドメンバーと肩を組み、深いお辞儀をしたあと、「次はもっと大きいところに行きましょう」という言葉を残してステージを去っていった。今回の初の武道館公演は、これまでの歩みの集大成であると同時に、あくまでもひとつの通過点に過ぎない。そう深く確信させてくれるような、あまりにも堂々たるライブだった。

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