COMPLEXやTMGのような特別ユニット以外にも、キャリアアーティストの復活の動きがここ数年のあいだで相次いでいる。たとえば2013年に活動休止期間に入った、松岡充がボーカルを務めるヴィジュアル系バンド SOPHIAもそのひとつである。2022年に再始動を宣言したSOPHIA。日本武道館でのライブをもって活動休止に入った彼らが、活動再開の場所として選んだのも同じく日本武道館。COMPLEXの聖地が東京ドームだとすれば、SOPHIAにとっての聖地は日本武道館なのだ。そんな記念すべき日本武道館での復活ライブを成功させると、翌年にはデビュー時に在籍していた古巣・トイズファクトリーから10年ぶりの新曲「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」をリリースするなど、着実に活動を再開させている。

　キャリアアーティストの復活といえば、1999年に活動休止に入った爆風スランプの復活も忘れてはいけない。活動休止期間中も節目節目で断片的な活動を続けていた彼らだが、デビュー40周年となる今年は、ライブツアーの開催や新曲の発表を含む、本腰を入れた再始動になるという。また、爆風スランプと同じ80年代にデビューしたキャリアアーティストの復活といえば思い出されるのが、TM NETWORKによる2021年の“再起動”。ここ2年ほどの間のライブツアーの開催やシングル、オリジナルアルバムリリースを経て、今年4月に迫るデビュー40周年に向けて活動を加速させている。

　リスナーとともに歳を重ねてきたキャリアアーティストの復活は、ややもするとノスタルジックに受け入れられがちだが、実際に復活した彼らのパフォーマンスや楽曲に触れると、円熟味が増したことによる新たな発見も多いように思う。そういう意味では、復活＝休止前の活動の延長線上というよりも、新しいデビューと捉えることもできるかもしれない。前向きに活動し続けるキャリアアーティストの“今”をぜひ堪能してほしい。