s**t kingz×LEO(ALI)×TAKU INOUE「KID feat. LEO (ALI)」インタビュー 同世代3組がコラボで受けた刺激
ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingzが、グループ2作目となる“見るダンス映像アルバム”『踊救急箱』を9月8日にリリースする。それに先駆け、7月26日には音源を先行配信リリース。同時に、LEO(ALI)とコラボレーションしたリード曲「KID feat. LEO (ALI)」のMVも公開された。楽曲プロデュースをしたkazuki曰く「これまでのs**t kingz(シッキン)にはない曲」という同曲。彼らにとって新しい挑戦となるこの曲は、どういった流れで誕生したのだろうか。そこで、リアルサウンドではs**t kingzメンバー4人に加え、作詞・歌唱を務めたLEO、作曲・編曲を務めたTAKU INOUEにインタビュー。座談会形式でたっぷりと語ってもらった。(高橋梓)
s**t kingzとLEO、TAKU INOUEの出会いは必然だった?
ーー皆さん今回のコラボが初めましてだったとのことですが、どういった経緯でコラボすることになったのでしょうか。
kazuki:シッキンの楽曲を作る時、スタッフさんにコンセプトを聞いてもらって、それに合った作家さんやアーティストの方を紹介してもらっています。「KID feat. LEO(ALI)」もその流れで制作に取り掛かったんですけど、“なんでも作れる人”ということでTAKUさんを紹介していただきました(笑)。お話をしてみたら、本当に柔軟な方なんですよ。作りたい楽曲が僕の頭の中には明確にあるんですけど、専門用語がわからないので上手く伝えられなかったんですね。でもオンラインでお話した時に、子どもの変な日本語を翻訳するかのように解釈してくださって。
TAKU INOUE(以下、TAKU):本業なので、任せてください(笑)。
kazuki:LEOくんは元々ALIとして活躍しているのを知っていて、ALIの曲を聴いたり、YouTubeで見たりしていました。この曲を作るよりも前にスタッフさんとLEOくんの話をしたことがあったんですけど、このタイミングで「LEOくんがいいんじゃない?」って言ってもらえて。じゃあぜひ本人に聞いてみてほしいですと伝えたら、すぐにOKをいただけました。
LEO:家の換気扇の下で一人でタバコ吸ってるときにその連絡がきて、前のめりに「いいよ!是非やるよ!!」って言いました。
s**t kingz一同:かっこいい(笑)!
TAKU:僕も全然やりますよって返事をしましたね。
ーーそれぞれが活躍されているのは知っていたかと思うのですが、お互いどんな印象を持っていたのでしょうか?
shoji:LEOくんはライブは熱いけど、普段はめちゃくちゃクールで話しかけづらい人なのかなって思っていました(笑)。でも本当はめっちゃフレンドリー。
NOPPO:僕もそう思ってた。
kazuki:フェスでALIと会った時も、LEOくんしか喋ってないんじゃないかって勢いだった(笑)。
LEO:僕、ALIをやる前に別の事務所にいたことがあったんですけど、その時からs**t kingzのことは知っていました。その後、嫁(藤井萩花)と出会ったんですけど、嫁もシッキンにすごくお世話になっていて。ALIのバンドテーマって「LOVE, MUSIC & DANCE」で、僕はそれくらいダンスが好きなんですね。なので、YouTubeでシッキンの動画を見てダンスを習いたいって言っていたら、萩花がシッキンにダンスを習えるかどうか聞いてあげるって言ってくれたんですよ。それがちょうどALIをやる前かやり始めたくらい。実際聞いてもらったら、「習えるけど高いらしいよ」って。
s**t kingz一同:(笑)。
LEO:じゃあいつか教えてもらえるように、頑張るわって。それくらいダンスカルチャーが好きで、シッキンと一緒にやってみたいことがあったんです。それをマネージャーに話したんですけど、その2週間後に今回のオファーをいただいて運命を感じました。
shoji:必然の出会いだね。
LEO:TAKUさんはDaokoちゃん繋がりなどで知っていたので、いいチームで曲が作れるなって。自分がやりたくてもやれないことをできるチームだったし、いい出会いになりましたね。
TAKU:僕はシッキンの名前はもちろん存じ上げていました。踊りメインでめちゃくちゃ前に出る人たちっていう。
s**t kingz一同:確かに(笑)。
TAKU:それで武道館でライブをやることになっているすごい人たちっていう印象。そんな人たちは他にいないですもんね。
ーーそんな皆さんが今回一緒に楽曲を制作されました。どんなやり取りをされてきたのでしょうか。
TAKU:はじめはkazukiさんからいくつかリファレンスできる曲をもらいましたね。
kazuki:そうですね。ただ、最初に作っていただいたデモを、僕がNGにしてしまったっていう。
TAKU:そうそう(笑)!
kazuki:言葉が本当に難しくて、とりあえず、今までのシッキンにないぐらいチャラい曲を作りたかったんですね。でも、まず「今までのシッキンにないぐらい」が伝わらないじゃないですか。ただ、僕の中でははっきりと形があって。それを伝えて「じゃあEDM?」って言われたんですけど、EDMかどうかすらわからないんですよ。TAKUさんが「とりあえず1回作ってみるわ」って作ってくださったトラックが、ちょっとハッピーな曲に聴こえちゃって。「ハッピーではなくて……」っていろいろ話をしていたら、「あぁ、それなら全部作り変えないとダメだ」ってなりました(笑)。
NOPPO:(TAKUに向かって)本当にうちのkazukiが申し訳ないです!
shoji:ご迷惑おかけしました!
kazuki:その後、たまたま時間が合ってオンラインで打ち合わせさせていただいた直後に第2稿を送ってくださったんですけど、これがドンピシャ。ダークな雰囲気は残しつつ、でも暗くはなりたくないっていう矛盾したことを言ったのにすごいなって。シッキン史上一番チャラくて、暗がりの中でネオンカラーの照明が当たっていて、みんなで暴れている感じ。でも笑顔じゃない、みたいな。
ーー難しい……。
shoji:「チャラくて暗いって何!?」ってなりますよね(笑)。
kazuki:でも、曲を聴いた時に言いたかったことが伝わったと思って嬉しかったですね。
ーーそのオーダーを受けたTAKUさんはいかがでしたか?
TAKU:参ったなぁと思いましたね。
s**t kingz:(笑)。
kazuki:ですよね(笑)。
TAKU:というのは冗談で(笑)。久しくチャラい感じの曲を書いていなかったので、逆に楽しかったです。普段もいろんなアーティストの曲を作っていますけど、音楽のことを知っている人ばかりでもないので、kazukiさんと取ったようなコミュニケーションをすることもありますよ。めちゃくちゃ大変だったというわけではなかったですね。
kazuki:TAKUさんって基本この冷静なテンションなんですよ。オンラインで話をしている時も「はい、はい」みたいな。これはすごく頼りになるのか、全然わかってないのかのどっちかだな? って。結果、頼りになる方でした(笑)。
TAKU:心配かけちゃうかなと思って、一応平静を装っておきました(笑)。
ーーサウンドのポイントはどこにあるのでしょうか?
TAKU:やっぱりチャラさですよね。リファレンスでもらった曲も往年のギラギラしたEDMみたいなものだったので、チャラさはかなりイメージしました。LEOさんが歌うことも決まっていたので彼の声が映えるように、彼の声が乗ったらかっこよくなるトラックというのも意識しましたね。
ーーチャラさを出す時のセオリーってあるのでしょうか?
TAKU:やっぱりシンセをビャンビャン鳴らすことかなぁ。僕は映像をイメージして曲を作ることが多いんですけど、「ギラギラの照明のもとで民衆が踊り狂っている」というイメージを聞いていたので、それに近づけていく作業が多かった気がします。
ーーそうしてできたトラックに後からLEOさんが詞を乗せている、と。
LEO:そうですね。僕のところには第1稿の曲のイメージが共有されていたんですよ。でも、もらったのは第5稿だったので、「あれ、ちょっと違うっすね」ってなって(笑)。しかも、作曲をせずに作詞だけするのが今回初めてだったし、日本語で歌詞を書いたこともあまりなくて、最初は「大丈夫かな?」とは思いました。でも、曲を聴いたらドンピシャ。僕の好きなレイヴカルチャーが感じられたし、こういう曲にしたいんだろうなっていう意図もすぐわかったので、集中して歌詞を書いたらすぐできました。
kazuki:上がってきた歌詞を見た時、超かっこいいって思いましたよ。
LEO:僕、いつも“音楽の国”みたいなものを想像して曲を作るんですけど、今回は“シッキンの音楽の国”をイメージして。なので結構早く書くことができました。締切があったのも良かったですね。なかったら多分一生悩んでました。