2021年10月クール〜2022年1月クールにわたり放送されたアニメ『王様ランキング』（フジテレビほか）。前シリーズで語られなかったスペシャルエピソードが描かれる『王様ランキング 勇気の宝箱』の放送が、4月13日からスタートした。振り返れば、第1期のオープニング主題歌に起用されたKing Gnu「BOY」とVaundy「裸の勇者」は両方とも大きなヒットを記録していて、それ故に、次はどのアーティストがオープニング主題歌を担うのか注目していた音楽リスナーもきっと多かったはず。そして、3月19日、新たなオープニング主題歌として、PEOPLE 1の新曲「GOLD」が起用されることが発表された。本稿では、彼らが『王様ランキング』のために書き下ろした同曲について深掘りしていく。

　はじめに、PEOPLE 1のプロフィールについて、アニメを通して初めて彼らと出会った方のために簡単に紹介したい。PEOPLE 1は、2019年末、Deu（Vo/Ba/Gt/Other）、Ito（Vo/Gt）、Takeuchi（Dr）によって結成されたロックバンドである。これまでに、WurtSやChilli Beans.の対バンツアーに参加したり、この3月には新曲「Ratpark feat. 菅原圭」において菅原圭とコラボレーションしたりしているため、一度はこのバンド名を目にしたことがある人も多いはず。特筆すべきは、昨年末リリースの配信シングル「DOGLAND」が、TVアニメ『チェンソーマン』（テレビ東京系）第10話のエンディング・テーマに起用されたことである。また、年明けに放送された『関ジャム 完全燃SHOW』（テレビ朝日系）で、蔦谷好位置が選ぶ年間ベスト10の1位に「紫陽花」が輝いたことで、彼らはそれまで以上に大きな認知を獲得するに至った。こうした近年の勢いを踏まえると、今回、King GnuとVaundyに続く形で、PEOPLE 1の新曲が起用されたことは、明確な必然であることが伝わるのではないかと思う。

　それでは、PEOPLE 1の新曲「GOLD」は、いかにして『王様ランキング 勇気の宝箱』の物語に寄り添い、どのような彩りを与えているのだろうか。まず、この楽曲のサウンド面について。イントロでは、壮大な物語の始まりを予感させるSEに続き、明朗で快活なギターリフが燦々と鳴り響く。同曲は、PEOPLE 1が得意とするポップなテイストのギターロックナンバーの最新型であり、まるで万華鏡のように二転三転していく展開も彼らの多彩な強みを色濃く反映したものである。この曲においては、Itoがメインボーカルを担っており、サビの空高くへ向けて突き抜けるような晴れやかなメロディは、彼の清廉な歌声と相まって、爽快なフィーリングをアニメの視聴者に共有してくれる。Itoがメインボーカルを担う代表曲としては「常夜燈」や「魔法の歌」があったが、これほどまでにパンキッシュな彼の歌声をフィーチャーした楽曲は稀かもしれない。そして、こうした痛快なバンドサウンドやItoの歌声のまっすぐな響きは、『王様ランキング』の主人公・ボッジたちが繰り広げる冒険を鮮やかに彩る役割を見事に果たしていると言える。

　続いて、Deuが作詞を手掛けた同曲の歌詞について。4月13日に放送された第1話は、「ある非力な王子が、小さな勇気で国を救った。困難に立ち向かう勇気。決して諦めない勇気。人を信じ抜く勇気。今、語られざる勇気の宝箱が開かれる」というナレーションから始まった。そして今回新たに幕を開けた第2期には、「ボッジやカゲ、彼らの周りに集いし仲間たちの、知られざる“勇気の物語”が描かれる」というキャッチコピーが授けられていて、実際に第1話の前半「カゲのおつかい」では、カゲの“勇気の物語”が描かれた。また、後半「王子とお金」では、「真の優しさとは何か？」というメッセージが届けられたことも象徴的であったと思う。勇気と優しさは、まさに第1期の中で繰り返して語られてきた『王様ランキング』におけるメインテーマであり、それは今回の新シリーズにも深く通じているものである。