『バズリズム02』密着取材中に制作した「Vision」

ーーライブでも軸になりそうな、ビートの効いたロックチューン「Vision」は、どんなタイミングで生まれたんですか？

浦野：今回、音楽番組『バズリズム02』の密着がある中で制作することになって、それなら勢いがある曲の方がより注目されるかなって。制作期間が短かったので急いで作業を進めたんですけど、それが良い形で曲の疾走感にも繋がっているような気がします。

ーーライブを想定して、「こんなテンポの曲が欲しいな」という意図もありましたか？

龍野：DeNeelはミドルテンポの曲が多いから、ライブで疾走感のある曲も必要だよねという話はしたと思います。

中野：浦野は吸収力があって適応能力が高いんです。僕たちが「欲しいな」と思った感覚を、曲として的確に作ってくるんですよ。身内が言うのも変ですが、作曲家としても優秀だと思います。

ーー「Vision」のレコーディングで、メンバーそれぞれこだわった部分は？

日野：浦野から普段より音数を細かくした、疾走感のあるフレーズが欲しいとオーダーがあって。その疾走感をどう出すかを考えながら叩きました。

中野：僕はボーカルから曲全体のグルーヴが生まれると思ったので、乗っかるボーカルではなく、曲を引っ張っていくようなボーカルを意識しました。

浦野：サウンドもボーカルを中心に聴こえるようにしました。ギターもボーカルの邪魔をしない程度で激しめにしたり、バランスをとっていきましたね。

龍野：今回、DeNeel史上初めてピックでベースを弾きました。16分音符でマシンガンのようなベースラインを、もう1本のギターになった気分で演奏しましたね。

ーー中野さんが歌詞を書く上で大事にしていることを教えてください。

中野：日々、更新されていくんですけど、今の自分がリアルタイムで思っていることをちゃんと書いていくことですね。完全なフィクションで書くわけではないですし、僕自身、誰しもが必ず通る道を通っていると思っていて。どこかの誰かに響けばいいなという感じで書いています。ニッチでもいいので、「自分の他にもこういうことを思う人おるんや」と誰かの救いになればいいかなと。僕はメンタルが強いほうではないので、弱者は弱者なりの戦い方があると思っています。けっこう悲観的な歌詞も多いですし。大衆受けではないと思うんですけど、キャッチーな部分は曲調で表せれば良いのかなって。歌詞ではやりたい放題、書かせてもらっています。

ーーちなみに「Vision」の歌詞は？

中野：「Vision」は完全に弱者の歌です。日々のモヤモヤというか、誰しもが踏み込みたいけど足が出ないことってあると思うんです。例えば、告白したいけど二の足を踏んでいた結果、好きな人が誰かにとられてしまって後悔するみたいな。そこから「次はこうしたらいいよ」と前を向くのではなく、「諦めていいよ」と言っている歌です。成長しないうしろめたさではあるんですけど、僕はそれを前向きな諦めやと捉えていて。「踏みこまなかったのも正解やし」みたいな提案として書いた歌詞ですね。

ーーワードチョイスも魅力的です。

中野：英語の歌詞で歌えばハマるようなワードもわざと日本語にします。日本のバンドであることを誇りに思っているので。極力、日本語の歌詞を大事にしています。たとえば、〈現実は藍色に〉という歌詞があるんですけど、裏では“アイロニー”とかけていたりね。

龍野：おしゃれですね！　下北系ですね（笑）。

浦野：おしゃれなの、全部下北やと思ってる人やん（苦笑）。

中野：たしかに、上京バンドあるあるやね（笑）。でも、けっこうこだわって曲は作っているので探してほしいですね、そういうポイントを。