水野良樹主宰のHIROBA、初ライブイベントに亀田誠治から橋本愛まで集結 スペシャルな一夜をレポート

 3月18日、いきものがかり・水野良樹が主宰するプロジェクト HIROBAが、初のライブイベント『HIROBA FES 2022×2023 –FINALE! UTAI×BA−』をLINE CUBE SHIBUYAにて開催した。

 約4年間にわたるHIROBAの活動の集大成として開催されたライブには、アルバム『HIROBA』の収録曲で創作活動を共にした面々、そして水野が楽曲提供を行ってきたアーティストたちが参加。出演したゲストアーティストは、伊藤沙莉、大塚 愛、亀田誠治、崎山蒼志、世武裕子、橋本愛、長谷川白紙、吉澤嘉代子、横山だいすけ、Little Glee Monsterというラインナップだ。豪華な顔ぶれというだけでなく、ここでなければ一堂に会することはまずないであろう面々が揃った、とてもスペシャルな一夜となった。貴重な機会、胸に迫る瞬間も沢山あった約3時間にわたるステージの模様を伝えていきたい。

 開演時間を過ぎると、まずはHIROBAのこれまでの活動を追ったドキュメンタリー映像が映し出され、水野と、バンドメンバーの松本ジュン(Band Master & Key)、黒田晃年(Gt)、安達貴史(Ba)、玉田豊夢(Dr)、中島優紀(1st Violin)、大嶋世菜(2nd Violin)、小林知弘(Viola)、関口将史(Cello)がステージに登場する。1曲目は「ステラ2021」。ステージに置かれたグランドピアノに水野が向かって歌う。

 「みなさんこんばんは、HIROBAの水野良樹です」と挨拶した水野は、まずは集まった観客にHIROBAというプロジェクトについて、そしてライブに込めた思いを告げる。

 HIROBAは、「“考えること、つながること、つくること”をもっと豊かに楽しみたい」というコンセプトのもと、水野が2019年にスタートさせたプロジェクト。これまで音楽家、小説家、俳優、芸人、アナウンサーなど様々な領域で活躍するクリエイターや表現者と交流し共に創作を行ってきた。そのアウトプットも、音楽だけでなくYouTube上の対談やエッセイなど、様々な形で届けてきた。そんな多岐にわたる活動の中で作ってきた楽曲をまとめたのが2月15日にリリースされたアルバム『HIROBA』。その楽曲がこうしてステージの上で演奏され歌われることで、それがようやく生身の姿として像を結んだ気がする。

 続いては崎山蒼志がゲストに登場。まずは「二人で作った曲です」と水野と崎山が共作した崎山のアルバム『Face To Time Case』収録曲「風来」を歌い、さらには長谷川白紙をステージに招き入れ「透明稼業」を披露した。

 「透明稼業」は、HIROBAが2021年に行ったプロジェクト『OTOGIBANASHI』のうちの1曲。作家と歌い手と音楽家のコラボによって5つの小説と楽曲を作り出し、それを書籍+CDの形式でリリースするという類を見ない試みだ。編曲を務めた長谷川白紙による細密でカオティックなサウンドと水野のピアノ、崎山の歌声があいまって、研ぎ澄まされた空気が生み出されていた。

 続いては吉澤嘉代子が登場。まずは水野がリクエストしたというアルバム『屋根裏獣』収録曲「人魚」を共に歌い、続いて世武裕子をステージに迎え入れ『OTOGIBANASHI』で共作した「哀歌」を披露した。「歌っていて少女にも老婆にもなれるのが楽しかった」と吉澤がレコーディングを振り返ったこの曲を、ドラマティックな演奏と共に様々な色合いの声で歌う。物語性ある楽曲の世界に深く潜り込んでいくような体感だ。

 吉澤がステージを去り、2台のピアノで世武と向かい合った水野は「HIROBAでいろんな人と出会えたけれど、世武さんと出会えたことはすごく嬉しかった」と語る。世武のオリジナル曲「みらいのこども」のダイナミックな演奏に続けて、水野が清志まれ名義で執筆した小説のタイトル曲「幸せのままで、死んでくれ」へ。歌謡曲のテイストを感じさせるメロディを力強く高らかに歌い上げた。

 次のゲストは亀田誠治だ。ステージに登場すると亀田は「HIROBAの長期構想を熱く僕に語ってくれたのを覚えてます」と、いきものがかりのデビュー前から続く二人の関係性とプロジェクトの始まりを振り返る。高橋優と共作し亀田が編曲を担当した「僕は君を問わない」を熱を込めて歌い、エネルギッシュな「南極に咲く花へ」を観客の手拍子と共に披露した。

 続いては横山だいすけが登場。「愛したいひと」「さよならだよ、ミスター」という水野の提供した2曲を優しく伸びやかな歌声で披露した。特にNHKの子供番組『おかあさんといっしょ』の“うたのおにいさん”を卒業した2017年にソロデビュー曲として発表した「さよならだよ、ミスター」については、「結婚して子供ができて、曲との向き合い方が変わりました」と横山が歌い続けてきたことで芽生えた感情を告げ、「長く伝わっていくし、広がっていく曲になった」と水野も感慨を吐露していた。

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