『Hateful Failures Tour』が最新アルバム『Hateful Failures』を軸にした構成だったのに対し、この日はイベントということもあり、全キャリアから満遍なく選ばれたグレイテストヒッツ的なセットリストを用意。ライブの定番曲や新たなキラーチューンに加え、「Your Head」など久しぶりに演奏する楽曲も飛び出し、ライブは短い曲間でほぼノンストップにて進行していく。ライブ中、Yoshは“声出し”解禁を受けて「“通常”ってわかんないけど……今の瞬間がクソ楽しい！」と本音を漏らしつつ、ライブシーンが以前とまったく同じ状況に戻ったのではなく、多様性を持った新たな日常へとつながっていることを示唆する一幕もあった。それが、彼の口から語られた「前へ進みたい」「特別な空気感を作り上げたい」という思いにつながっているのではないか……この日の頼もしいステージングから、筆者はそう感じ取った。

　昨年秋発売のアルバム『Hateful Failures』収録曲「Hopelessly young」でシンガロングが自然発生したり、本編ラストの「Network System」ではクラウドサーファーが見受けられたりと、新鮮さと懐かしさが同居するサバプロのノンストップライブはあっという間に終了。会場が明るくなるも、フロアからはアンコールを求めるクラップと声援が湧き起こる。すると、ステージに再登場したYoshが、4月開催のSlipknot主催フェス『KNOTFEST JAPAN 2023』へのサバプロ出演決定を報告。この喜びをファンと分かち合いたいという一心で、ステージにはKnosisとStand Atlanticのメンバー、さらにスペシャルゲストとしてタイのメタルコアバンド・ANNALYNNのBON（Vo）を迎え、Slipknotの「Duality」をセッション。Yosh、Ryo、ボニー、そしてBONのボーカル四つ巴は圧巻の一言で、ツアーファイナルという状況とも合致し、フィナーレにふさわしいお祭り騒ぎとなった。

　ここで終わるかと思いきや、最後はサバプロの4人のみで「When I」をプレゼント。大きなノリを持つこの曲で会場をピースフルな空気で包み込み、3時間におよぶイベントは大成功のうちに終了した。まだまだ予断を許さない状況ながらも、規制が緩和され始めたことで2020年以前の日常を取り戻しつつある昨今。先にも触れたように、以前とまったく同じ日常を取り戻すのではなく、コロナ禍を経たからこその新たな日常を刻んでいくことで、この日の『MAGIC HOUR TOUR』のように感動的な瞬間がさらに増えていくはず。だからこそ我々は気を緩めることなく、「当たり前」が「当たり前ではない」という事実を胸に刻みながら、サバプロとともに前進していこうではないか。

■セットリスト
Survive Said The Prophet『MAGIC HOUR TOUR』
2023年1月30日（月）CLUB CITTA'

Knosis
01. INTRO
02. 狂火
03. 忌鬼
04. 神喰
05. 火脂
06. 星砕

Stand Atlantic
01. Jurassic Park
02. Lavender Bones
03. hair out
04. Wavelength
05. switchblade
06. pity party
07. Skinny Dipping
08. Blurry
09. bloodclot
10. Coffee at Midnight
11. deathwish
12. Hate Me (Sometimes)
13. molotov [OK]

Survive Said The Prophet
01. Fool's gold
02. found & lost
03. Your Head
04. Beauty Queen
05. HI | LO
06. Right and Left
07. S P I N E
08. Hopelessly young
09. MUKANJYO
10. Network System

＜アンコール＞
11. Duality（Slipknotカバー）
12. When I