Saucy Dog『サニーボトル』

　「いつか」「シンデレラボーイ」に代表される、切ないノスタルジーを色濃く反映したラブソングによって10〜20代のリスナーを中心に強烈な支持を得ているSaucy Dog。6月に初のアリーナツアーを成功させたばかりの3人から届けられた6thミニアルバム『サニーボトル』は、現在の勢いと充実ぶりがそのまま刻み込まれた作品となった。〈僕を好きだった君はもういない〉というフレーズとともに別れを受け入れようとする“僕”を主人公にした「404.NOT FOR ME」、ソウルフルなグルーヴをたたえたアンサンブルとともに、恋愛依存気味の女の子を描いた「あぁ、もう。」をはじめ、全編を通して“君と僕”の物語が綴られている。3ピースバンドの輪郭がはっきりわかる、ライブ感のあるサウンドメイクも好印象。（森）

水樹奈々『DELIGHTED REVIVER』

　声優アーティスト 水樹奈々による自身14枚目となるオリジナルアルバム。全15曲の収録曲の中には、TVアニメ『SHAMAN KING』（テレビ東京系）第2弾オープニングテーマに起用された「Get up! Shout!」や、今年4月にリリースされた配信シングル「ダブルシャッフル」に加え、新曲10曲を収録。『鋼の錬金術師 MOBILE』の主題歌「スパイラル」では、ピアノの旋律に彩られた繊細なサウンドにのせて持ち前の力強く伸びのある歌声を存分に響かせ、等身大の自分をテーマにした「Go Live！」では、ポジティブな王道ガールズロックを披露するなど、楽曲ごとに異なるアプローチを追求しながら、彼女らしい音楽世界を表現した。アルバムタイトルにはコロナ禍で停滞してしまったエンターテインメント業界を復活させていきたいと願う想いも込められており、強いメッセージが胸を打つ。（渡部）