asmi×meiyoが明かす、コラボ曲「PAKU」ヒットの裏側 SNS時代に“バズること”への意識も
アーティストとしてSNS時代に寄り添うことの難しさ
――今のお話で思い出したんですけど、asmiさんは以前Twitterで「TikTokの皆さんって会いたいの電話許されますか(memory)とそいやっさ(ヨワネハキ)とパクッとしたいわ(PAKU)が歌ってる人ぜんぶ同じってわかってんのかなぁ」という発言をされていましたよね(※1)。
asmi:はい。今の音楽の聴き方って、それぞれの楽曲をシンプルに楽しんでくれている感じで、それを歌っているアーティストのことはあまり見なかったりするじゃないですか。
meiyo:今の時代ならではのあるあるですよね。
asmi:だから私はasmiというアーティスト自身のことにももっと気づいてほしいなと思ってつぶやいたんですけど。
――あの日のTwitterでの発言が「もっと辿り着いてよここ」という言葉で締められていたのにはそういった思いがあったと。確かに今の時代って手軽に様々な音楽と触れ合えるようになった分、曲のファンをアーティストのファンにまで繋げていく難しさはあるような気がしますよね。
asmi:うん、そこはすごく難しいと思います。昔はCDを買いに行くっていう行為がまずあったけど、今はスマホを触るだけですぐ聴けちゃうから。その手軽さが、アーティストを好きになるところまで辿り着かない要因になってる部分はあるような気がしますよね。
meiyo:1000円を払ってシングルを買うという行為が、アーティストとの強い繋がりを生むというか、思い入れになるポイントでもありましたからね。もちろんサブスクでそれが皆無かっていうとそういうわけではないと思いますけど。
asmi:曲を聴いてもらえることは何よりうれしいことではあるけど、アーティストを好きになる楽しさも絶対にあると思うんですよ。みんなを楽しませたいし、いろんなものを与えられる存在になりたいと思って活動しているので、やっぱりasmi自身のことも好きになってほしいという気持ちは強いですね。
――とは言え、一方ではSNSで楽曲がバズることの重要性も無視はできない時代ですよね。そのあたりも意識されて活動されていますか?
meiyo:「PAKU」に関して言うと、曲を作ってる段階でなんとなく自分で振り付けを考えたりはしてましたね。TikTokで踊ってくれたらいいなぁって思いながら。
asmi:へぇ! でも確かに「PAKU」のデモを聴いた瞬間、みんな踊ってくれそうやなって思いました。
meiyo:動きがつけやすいという意味で、サビ頭の〈パクッとしたいわ〉の部分は一番集中して作っていたような気がします。そのフレーズができた瞬間に、「あ、この曲は大丈夫だな」って思ったところもありましたね。
asmi:実際、いっぱいの人に踊ってもらえる曲になってよかったですよね(笑)。
meiyo:そうですね。やっぱりみんなが反応してくれるのはすごくうれしい。聴いてくれる人の心に中毒性をもたらすというか、そういう要素を楽曲に込めていくことがバズるには重要なことかなって僕はすごく思いますね。もちろん狙って全曲バズらせることができるわけではないですけど。
asmi:私はバズることを狙って曲を書くということがなかなかできなくて。ただ、私の場合は声に中毒性があると言っていただけることが多いので、最近はそこを大事にしていきたいと思えるようになったんですよね。実は「ヨワネハキ」がバズるまでは、自作曲だけで活動していきたいなとずっと思ってたんですよ。でも、あの曲で自分の声をたくさんの方に認めていただくことができたので、自分の曲でなかったとしても声が届けば本望やなって思えるようになったというか。だから今回、自分名義として初めての楽曲提供をmeiyoさんにお願いすることにしたんです。提供していただいた曲きっかけに私のことを知ってくれて、自作曲も聴いてくれたら最高ですしね。なので、私は常に「バズれ~」と思いながら歌ってます(笑)。
meiyo:asmiさんの自作曲はよりパーソナルなものになっていますからね。asmiさん自身が感じている自分らしさみたいな部分が丸わかりな曲ばかりなのがおもしろい。そこもどんどん広がっていくといいですよね。
asmi:そうですね。これからも自分で曲を書くことは続けていくので、提供曲とともにいいバランスで自分を表現していけたらいいなって思います。
――先日、meiyoさんの最新EP『間一発』がリリースされましたが、収録される曲すべてがかなりコンパクトな尺になっているのが印象的で。そこにも今の時代性が反映されているのかなとも思ったのですが。
meiyo:確かにめちゃくちゃ短いんですよ。全5曲で12分くらいのEPなので。サブスクで繰り返し聴いてもらうことを考えると、やっぱり短い曲のほうがいいのかなっていう感覚はもちろんあるんですけど、僕の場合に関してはそもそも短い曲が好きだという好みの部分が大きいと思いますね。普通に作ってると迷いなくどんどん曲が短くなっていく(笑)。
asmi:あははは。新作、聴かせていただきました! meiyoさんの世界観全開で最高でした。どれもいいんですけど、特に2曲目の「レインボー!」が好きです!
meiyo:ありがとうございます。「レインボー!」も1分半しかない曲ですけどね(笑)。
asmi:曲の長さも難しいところですよね。いわゆる令和の中高生に向けた曲を作るんだったら、イントロなし、ギソロ(ギターソロ)なしで2分くらいの曲のほうが絶対にいいんだと思うんですよ。でも、好きになってもらえればたとえ長い曲であったとしてもちゃんと聴いてもらえるはずだし。そこはほんとに難しいな、言い方も含めて。ただ、一つ言えるとしたら、TikTokでバズりたいっていう気持ちはもう避けて通れないというか。今のヒットチャートを見ても、上位はTikTokでバズってる曲ばっかりだし。だからSNSで聴いてもらいやすい要素があるのであれば、そこを考えていく必要もあるのかなとは思いますね。時代に寄り添うという意味で。
meiyo:そうかもしれないですね。
――2度のコラボを通してasmiさんとmeiyoさんの相性の良さを実感しました。また新たなコラボにも期待したいところです。
asmi:ね! いつかまたぜひご一緒したいです。お願いします!
meiyo:いつでもぜひ。
asmi:せっかくmeiyoさんも歌える方なので、今度は一緒に歌ってみたいですよね。「なにやってもうまくいかない feat.asmi」も「PAKU」も一緒に歌ってはいないので。
meiyo:確かに。どちらも僕の曲を歌っていただいた感じですもんね。ちなみに「PAKU」では“ポカタカポカタカ”って裏で言ってはいるんですけど(笑)。
asmi:あははは。あの“ポカタカ”はmeiyoさんが言ってるってみんな気づいてるのかな?
meiyo:今度はぜひ一緒に歌いましょう。よろしくお願いします!
※1:https://mobile.twitter.com/asmi__official/status/1521748829896605696
■リリース情報
『PAKU』
Linkfire:https://asmi.lnk.to/TgvOzeRE
2022年3月30日配信リリース
1:PAKU
2:PAKU -Instrumental-