『明日ちゃんのセーラー服』の音楽に宿る作品世界　杉山勝彦、斉藤朱夏らによるハイクオリティな楽曲

　「hem」は、福元が出演するテレビCMソングとして劇中でたびたび流れる楽曲。まるで昔のアイドルソングのような展開で、爽やかでキャッチーなサビメロは、劇中の通り清涼飲料水のCMに使われそうなイメージだ。福元のボーカルは凜とした強さときらめきを感じさせ、美しくも力強いサウンド、勢いのあるメロディと共に華やかさが表現されている。歌詞はDメロの〈セーラー服　さらっと着て　君は今無敵だよ〉というフレーズからも、明日のことを想像させる。劇中歌であると同時に、『明日ちゃんのセーラー服』という作品の世界観と、明日のキャラクターも重ねて聴くことができるだろう。

　同曲を収録した福元 幹のミニアルバム「hem」from TVアニメ『明日ちゃんのセーラー服』には、恋の気持ちをユーモアたっぷりに歌った80年代アイドル調のサビメロが秀逸なアップテンポのナンバー「Delusion」、キレのあるラップも聴かせるEDM曲「Illumination」などが収録。「Delusion」は、声優からキャラソンまで幅広く手がける白戸佑輔が作詞作曲編曲を担当。「Illumination」は、ジャニーズをはじめ、多くのアーティストの楽曲を手がけるJazzin’parkの栗原暁、久保田真悟によるもの。多彩な楽曲を自分のものにして歌い上げる福元は、アイドルを超えてアーティストにも近いイメージもうかがえる。

　またミニアルバムには、明日が歌ったエンディングテーマ「Baton」と「風にまかせて」、そしてオープニングテーマ「はじまりのセツナ」のカバーも収録。「Baton」は、アコースティックな雰囲気のミディアムナンバーで、明日が学校の帰り道を自然と戯れながら帰宅する様子が目に浮かび、TrySail「adrenaline!!!」、水瀬いのり「MELODY FLAG」などを手がける中野領太が担当。「風にまかせて」は、シティポップを思わせる明るく賑やかなナンバーで、作詞作曲をshirosagi、編曲をLiSAや関ジャニ∞なども手がける高橋浩一郎が務めた。エンディングで流れる明日バージョンは、明日が軽やかに縄跳びをするお茶目な映像ともマッチ。そんな無邪気で天真爛漫な雰囲気とは一転、福元バージョンでは少しお姉さんっぽい目線で聴くことができる。

　いずれ劣らぬヒットメーカーが集結した『明日ちゃんのセーラー服』の音楽。特に福元 幹のミニアルバムは、純粋に1枚の作品としてもクオリティが高く、アニメをあまり見ない音楽ファンにもおすすめ。またファンにとっては彼女たちのフレッシュさをいつも感じることができる最強のアイテムと言えるだろう。