ピーター・バラカンが語る『ウエスト・サイド・ストーリー』 ミュージカルは苦手でも……

スピールバーグのストーリーテラーとしての手腕

バラカン:ちなみに僕はミュージカルが苦手なので、ほとんど観ないんですよ。今回はよく知っている話だし、曲も僕らの世代なら知っているものばかりなので。

黒田:有名な曲ばかりなので僕でもわかりました。特に逢い引きのシーンで歌われている「Tonight」はとても有名ですよね。

バラカン:他にも「America」や「Maria」などは、子供時代におそらくラジオで何度も何度も聴いてるので、メロディが脳裏に焼きついているんです。最初は「あら、やっぱりミュージカルだ」と、一瞬ついていけるか不安に思いましたが、スティーヴン・スピールバーグ監督はストーリーテラーとしての手腕がかなりあるので、違和感を抱く前に映画に引き込まれていきました。

黒田:バラカンさんがミュージカルを苦手だと感じているのは、やっぱり突然歌い出す部分ですか?

バラカン:そうそう。わざとらしいですよ(笑)。この映画もそういうところがいっぱいある。これは観る人のひとり一人がミュージカルというものを受け入れるかの問題だと思います。

黒田:その突然歌い出す感じがすごく自然に感じる作品も中にはありますよね。

バラカン:時々ありますね。黒田さんはミュージカルの中ではどんな作品が好きですか?

黒田:『ダンサー・イン・ザ・ダーク』も好きですし、最近の作品なら2016年に公開された『ラ・ラ・ランド』も好きです。この辺りはほとんど歌い出すシーンに違和感がなかったですね。ディズニー映画なども全然違和感ないです。でも今回の『ウエスト・サイド・ストーリー』は、違和感を覚える部分もありました。昔のミュージカル映画をリメイクしているので、最近のモダンなミュージカルよりも、さらに唐突感があったのかもしれないですね。

バラカン:曲が古いというのも大きいかもしれません。あとちょっと編曲が過剰だなと思う曲もありました。最初の方の「Mambo」は、50年代風のビッグバンドみたいな編曲で、これはちょっと苦手だなと感じました。でも振り付けはすごかったです。特にラテン系の人たちの踊りのかっこよさには感心しました。元々そうだったかもしれませんが、今回は相当うまいダンサーが揃っているなという印象です。

※続きはpodcastで

■公開情報
『ウエスト・サイド・ストーリー』
全国公開中
製作:監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー
作曲:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーヴン・ソンドハイム
振付:ジャスティン・ペック
指揮:グスターボ・ドゥダメル
出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、マイク・ファイスト、デヴィッド・アルヴァレス、リタ・モレノ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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