Liyuuによる4カ月連続配信企画の第4弾楽曲「Reply」の配信がスタートした。今回のテーマは“Ballade”。これまでは“Kawaii”や“CLUB”、“ROCK”をテーマに、ある種サウンドに寄り添うようにLiyuuの中にある可能性を引き出した楽曲が続いていた。だが、本作は自身のリアルな心情が詰め込まれた歌詞を美しくドラマチックなサウンドにのせて、Liyuu本人として真っ直ぐに届ける仕上がりとなっている。彼女がこれまでに味わってきた迷いや悔しさ、そして彼女の道を照らしてくれた大切な存在との出会い。そんな今の場所に辿り着くまでの軌跡が描かれている楽曲を、Liyuuは感情を込めたボーカリゼーションでしっかりと届けていく。その声には、1人のシンガーとしての確固たる矜持が滲んでいるように思う。表現者としてのポテンシャルを存分に感じながら、その感動的なストーリーに散りばめられたLiyuuからの温かなメッセージをぜひ受け取って欲しい。

　昨年12月に配信リリースされた「Ambition」では、これまでのイメージを覆す“ROCK”な姿を披露したLiyuu。その大きな反響は自身の元にも届いているようだ。

「（「Ambition」が）配信された後、『イケメン！』とか『これまでにはないかっこいいLiyuuが見れてよかったです』といった反応がすごく多くて。多分、“ROCK”な曲を歌う私のことをみんな想像できていなかったから驚いてくれたんでしょうね。そういった反応をもらえたことで、“ROCK”な自分に少し自信もつきました」

　“Kawaii”をより深く突き詰めた「ルルカワイマ」、“CLUB”を意識したEDMサウンドにトライした「Endless Vacation」、そして「Ambition」と、異なるテーマを掲げた楽曲により、Liyuuの新たな魅力を届けてきた4カ月連続配信企画。そのラストを飾り、爽やかなジャケット写真が印象的な楽曲「Reply」のテーマは、“Ballade”だ。

「中国のアーティストは素敵なバラードを歌う方がすごく多いので、小さい頃からずっとバラードが好きでしたね。日本のアーティストで言うと、アニメ『四月は君の嘘』エンディングテーマだった7!!（現seven oops）さんの『オレンジ』が強く印象に残っています。バラードは心を落ち着けて曲の世界に入り込むことができるし、だからこそアーティストが込めた感情を細かく感じることもできる。それが私の感じるバラードの魅力だと思います」

　バラードに対して並々ならぬ思いを持っているだけに、「Reply」の制作にあたっては、いつも以上に自身の感情を曲に込めることを決めたLiyuu。そのためにまず作詞家の宮嶋淳子と事前に打ち合わせをしたのだという。

「打ち合わせでは本当にいろんな話をさせていただきました。他愛のない雑談から、私がどういう気持ちでここまで歩んできたかということまで……宮嶋さんは事前に私の過去のインタビューを読んできてくださっていたので、幼い頃のこととか、どんなアーティストや曲が好きかとかは理解してくれていたんですけど、その上でさらに細かく話を引き出してもらえた感じですね。ただ、本当にたくさんお話をさせていただいたので、打ち合わせをしている段階ではどんな歌詞になるのかまったく想像できなくて。ワクワクした気持ちで歌詞が上がってくるのを待っていました」

　その後、amazutiが作曲・編曲を手掛けたトラックに、宮嶋による歌詞がのせられたことで「Reply」が完成する。その仕上がりは、Liyuuが歩んできたここまでの軌跡と今の思いが鮮烈に詰め込まれた、まさに“Liyuuの唄”といった印象だ。

「すごくキレイなサウンドに、私のリアルすぎる思いが歌詞としてのっていたので最初はすごくビックリして、泣きそうになってしまうくらい感動しましたね。だからこそ自分にこれが歌えるんだろうかって、ちょっと心配にもなっちゃたんですけど」

　叶うと信じて疑わなかった幼い頃の夢。それを諦めるしかなかった悔しい日々。そして、その夢が再び光を取り戻していく過程ーー今、眩いスポットライトを浴びているLiyuuが実際に経験してきた紆余曲折のストーリーが、美しいバラードとして紡がれていくことで聴き手もまた大きな感動を味わうことになるはずだ。

「私は小さい頃からずっと歌手になることを夢見ていたんです。でも、それを実現する方法がわからなかったし、『きっと叶うわけないよな』って徐々に思うようになっていって。最初はものすごく濃かった夢への思いがだんだん薄くなってしまうことで、結局は諦めるしかなかったんですよね。諦めたとは言え、歌手への思いは自分の心の中から完全に消えたわけではなかったから、ずっと苦しい毎日が続いていました。でも、その後に趣味としてコスプレを始めたことでいろんな方が私を見つけてくれて、諦めたはずの歌手という夢が叶ったんです。この曲を聴いていると、幼い頃の自分の姿を思い出すし、悔しくて苦しかったときの思いも鮮明に蘇ってきますね」

　大サビの〈一番最初わたしを見つけてくれた日から すべての奇跡は始まったの〉という一節が象徴的だが、本作にはSNSを通してLiyuuの存在をキャッチしてくれた人、そして応援してくれるすべてに人に対しての感謝の思いが滲んでいる。つまりタイトルとなっている「Reply」は、彼女の活動を信じて追い続けてくれるファンたちに向けた、Liyuuからの“返事”という意味なのである。

「2016年の6月くらいにTwitterのアカウントを作ったときは、特に大きな目的もなかったんです。でも、コスプレの写真をアップするようになったことで、想像もしてなかったくらいたくさんの方に知っていただけるようになって。それは本当に奇跡だったなって思います。そこで見つけてもらえなかったらきっと、私は今まったく他のことをやっていたんじゃないかな。その後、歌手としてデビューすることもできたんですけど、その間にもファンの皆さんからは本当にたくさんの勇気をもらいました。不安の方が大きかった私を、いつも元気づけてくれたのはファンの皆さんです。今もSNSを通していただける色々な声には、本当に助けられています。だから、この曲で歌っていることは私自身の思い。私が今、大切な皆さんに心から伝えたいことなんですよね」

　ドラマチックなサウンドに寄り添いながら、歌詞に収められた“伝えたいこと”を一つひとつ丁寧に届けていくボーカルからは、シンガーとしての表現力の豊かさをあらためて感じることができる。レコーディングでは細部に至るまで徹底的にこだわり抜いた。

「平歌の部分は、昔のことを思い出しながら、柔らかな表情で歌いました。そこのイメージはかなり明確だったので迷わなかったですね。逆にサビはかなり悩みました。感情を思いきり込めたものと、感情を抑えたものの2パターンを録ってみたんですけど、感情を込めすぎると泣きそうになってしまうので、それはこの曲にとっては良くないかなと思って。結果、感情を抑えたパターンで歌うことにしたんです。サウンドだけでも感情を震わせてくれるので、そこに泣きそうな気持ちの歌が乗ると曲が重たくなりすぎると思って、バランスを考えての判断でしたね。自分の好きなバラードを歌うことに対してはプレッシャーもありましたけど、歌うのはすごく楽しかったです。今、あらためて仕上がったものを聴いてみると『もうちょっとこうやって歌ったらよかったかな』とか『まだテクニックが足りないな』って思ってしまう部分はあるんですけど（笑）。でも初めてのバラードに自分なりに真っ直ぐ向き合えたし、今のLiyuuらしいピュアな歌声が出せたんじゃないかなって思っています。バラードは今後も挑戦していきたいです！」