VTuberの草分け的存在のキズナアイが、自らを「バーチャルYouTuber（VTuber）」と自己紹介してからもうすぐ丸5年。昨年の時点でVTuber人口は、1万3000人を超えたという。さらにスマホ1つあれば簡単に生配信ができる時代になり、生配信をメインに活動を行うバーチャルライバーと呼ばれる存在も、VTuber／Vライバーのシーンの加速度的な広がりに拍車を掛けた。そんな中で今、VTuber／Vライバー同士のユニット結成と、海外でのVTuber／Vライバー業界の形成という二大潮流が起きている。

無限の可能性を秘めたVTuber／Vライバー同士のユニット

　10月6日に1stアルバム『PRiSM』をリリースした▽▲TRiNITY▽▲は、鷹宮リオン、葉加瀬冬雪、フレン・E・ルスタリオの3人で2020年に結成された。森中花咲とコラボした森中花咲 meets ▽▲TRiNITY▲▽としてリリースした「キズナ・レール」は、テレビアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオンＺ』（テレビ東京）のエンディング主題歌にも起用された。『PRiSM』には、梅とら、Q-MHz、toku（GARNiDELiA）、sasakure.UK、TeddyLoidなど人気クリエイターが楽曲を提供。また、御伽原江良と森中花咲によるユニットpetit fleursは、4月にアルバム『première fleurs』でデビュー。こちらも烏屋茶房、中沢伴行、40mP、KOTOKO、こだまさおりらが楽曲を提供。音楽シーンからの注目度の高さがうかがえる。

　ホロライブのJPとENに所属するメンバーによって結成されたワールドワイドなユニットUMISEAは、9月に「浸食!! 地球全域全おーしゃん」をリリースした。メンバーはYouTube登録者数がキズナアイを超える348万人（10月25日現在：351万人）を記録したことで知られるGawr Gura（がうる・ぐら）を筆頭に、宝鐘マリン、湊あくあ、一伊那尓栖（にのまえ いなにす）といういずれ劣らぬ人気を誇る4人。メンバー4人のYouTube登録者合計数782万人、4人の総動画再生数は6億を超える（10月25日時点）。今後この4人が、どんな活動を行って行くのが要注目だ。UMISEAのメンバーでもある湊あくあは、大空スバル、桃鈴ねねの3人で、ユニットNEGI☆Uを結成したことでも知られる。TVアニメ『ジャヒー様はくじけない！』（テレビ朝日系）のエンディングテーマ「つまりはいつもくじけない！」を担当し、キングレコードとREALITY株式会社の共同出資で設立された＜RK Music＞から9月にメジャーデビューした。

　昨年アルバム『シナスタジア』でメジャーデビューした、バーチャルライバーユニットRain Dropsも人気。緑仙、三枝明那、童田明治、鈴木勝、える、ジョー・力一の6人組で、メンバー発表時の配信は、Twitter世界トレンド1位、YouTube同時アクセス5.1万人を記録した。9月に1stフルアルバム『バイオグラフィ』をリリース。8月には、ウエムラユウキ（ポルカドットスティングレイ）、ゆーまお（ヒトリエ）らをサポートバンドメンバーに迎えた1stワンマンライブ『雨天決行』を開催。新たなボーイズグループとして注目を集めている。

　ミライアカリ、月ノ美兎、ときのそら、樋口楓などソロで活動しているVTuber／Vライバーも多く、それぞれ個性溢れる魅力を発揮している。そんな1人1人が可能性を持ったVTuber／Vライバーにとって、1＋1＝無限大にも等しい。音楽シーンという大海原を渡るために、手を取り合うのも決して悪くはないだろう。