にしな『odds and ends』

　友達と部屋で過ごす何気ない時間をアコギの弾き語りで描いた「秘密基地」、ネオソウル、オルタナR＆B経由のトラックと“韻”を重視したリリックが絡み合う「ランデブー」、〈返してよ私のはじめてを〉というフレーズが突き刺さる、切なくて痛々しいラブソング「真白」。自身の経験や感情に裏打ちされた歌詞、ロック、エレクトロ、ブラックミュージックなどを自由に行き来する音楽性を軸にした、シンガーソングライター・にしなの1stアルバム『odds and ends』が届けられた。すでにSNS、ストリーミングなどでも注目を集めている彼女。“切れ端”や“がらくた”を意味するタイトルを冠した本作には、小さくて大切な感情が、きわめて豊かな音楽として表現されている。（森）

リーガルリリー『the World』

　ワールドワイドな活躍で注目を集めるスリーピースバンド、リーガルリリーから、約1年ぶりの新譜となる1st EP『the World』が到着した。身近な街をリリカルな眼差しで俯瞰したリード曲「東京」と、生きづらさと隣り合わせの日常を歌う「地獄」と「天国」に、SEKAI NO OWARIの「天使と悪魔」のカバーの全4曲を収録。ヒリつくような轟音ギターとたかはしほのかのあどけない歌声のアンバランスな魅力は今作でも健在。東京も地獄も天国も、同列に存在する“世界”を、傷つきながら疾走する彼女たちの今が刻み込まれている。（渡部）

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■渡部あきこ
編集者／フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。