『爆笑!ターンテーブル』総合演出に聞く、“歌ネタ”の面白さ ジャニーズWEST 桐山照史のMCとしての魅力も

 10月27日午後7時から『歌ネタゴングSHOW爆笑!ターンテーブル』(TBS系)がオンエアされる。同番組は“笑う音楽バラエティ”をテーマに、様々な芸人やタレントが歌ネタを披露。今年4月に深夜帯で、5月には初回放送に新作ネタを加えた特別編、7月には土曜☆ブレイク枠で第2弾が放送され、ついにゴールデンに進出する。今回総合演出の田村裕之氏にインタビューを行い、番組スタートの経緯や歌ネタの面白さ、さらにMCを務めるジャニーズWEST・桐山照史の魅力も聞いた。(編集部)

ネタは1回目の方が新鮮、歌は何回聴いても聴きたくなる

ーーTBSに入社される前、特殊な経歴をお持ちと聞いたんですが、田村さんのキャリアや入社した経緯を教えてください。

田村:実は僕、高校を卒業してから3年くらい吉本興業に芸人としていたことがあって。だから今、番組にも同期が出ているんです(笑)。

ーーそうなんですか。ちなみに、同期というのは?

田村:かまいたち、藤崎マーケットのトキ、バイク川崎バイク、和牛、アインシュタインの河井ゆずるさん、天竺鼠……優秀な人が多い期だったんですよ。芸人を諦めてテレビ局に入ったのは、一緒に仕事ができたらいいなという思いがあったので、今実現できているのは幸せですね。

ーーTBSに入ってからはどんな番組を担当されましたか?

田村:僕はTBSに2010年に入社したんですけど、『ひみつの嵐ちゃん!』や『炎の体育会TV』のADをやって、ディレクターになったのは4年目です。『水曜日のダウンタウン』が始まる半年ほど前に放送されていた『100秒博士アカデミー』を担当しました。入社以来、ずっとバラエティ班にいます。楽しいですよね、現場で昔の友達と合ったりして。『キングオブコント』決勝に藤崎マーケットが上がってきたとき、本番当日にスタジオでハグしちゃいました(笑)。アルバイトをしながら芸人さんをやっている同期がいるのですが、自分の本当に好きなことを突き詰めて生きているのは幸せで、羨ましいなと思うことがありますね。芸人さんは本当にかっこいい職業だと思います。

――『歌ネタゴングSHOW 爆笑!ターンテーブル』がスタートした経緯を教えてください。

田村:芸人さんって、面白いネタを作って自らが披露するお仕事ですよね。そういうネタを作れる方々なら、詞も書けるのでは?と思ったのが発端で、そこから広げて考えていきました。歌って笑ってもらうというシンプルな構造なので、お子さんにも楽しんで笑ってもらえるような番組になってほしいなという思いもありました。でも、僕1人だけで考えた番組では決してないんです。江藤俊久さんというTBSの名物社員のような人と、二人三脚的に6、7年ぐらい前からずっと一緒にやっていて。企画会議をしている中で、TBSには新しいスターを生み出す番組が少ない印象があり、番組発のスターを生み出せる番組が何かできないかな、と。やるなら失格していく様も面白い番組にしたいね、という話を江藤さんとしていたんですね。江藤さんは「『ターンテーブル』って言い出したのは田村だよ」って言ってくださるんですけど、忘れっぽい方ですから、そう思い込まれてるだけかもしれないです(笑)。番組の中では、失格していった芸人さんに対する審査員の方々の温かいコメントを多めに使わせて頂いたり、スタジオの現場感・温度感を大事にするようにしていますね。

ーーなるほど。『爆笑!ターンテーブル』について、田村さんがこれまでに担当された番組からの影響はあるんでしょうか?

田村:『水曜日のダウンタウン』は藤井健太郎さんが演出で、僕は1(いち)ディレクターというか、枠Dとして関わって非常に影響を受けていて、いわば僕の師匠のような方です。『水曜日』は僕たちスタッフももちろん、視聴者にとっても作品性が非常に高いと思うので気合を入れて見ないといけない番組だなと。緻密に張り巡らされたフリ、伏線を回収をしていくから、映画を見るような感覚じゃないですけど、真剣に見てこそ面白い番組という印象を勝手に持っています。反対に『爆笑!ターンテーブル』は1つのネタが1分から1分半くらいなので、どこで切っても難しいことは考えず、楽しんで見てもらえるような番組になってほしいなという思いがあります。

ーー「笑う音楽バラエティ」というテーマですが、なぜ音楽を扱おうと思ったのでしょう。

田村:毎回ネタを録るというよりは、歌を収録するような感覚でやっています。ネタは1回目のほうが新鮮だと思うんですけど、歌ってその時の自分の気持ち次第で、1回目より10回目の方がシミたり、何回聴いても聴きたくなったりしますよね。年末の『紅白歌合戦』でも「津軽海峡冬景色」(石川さゆり)は毎年聴きたいし。だから番組の編集中も、何度も聴くとより面白くなっていくこともあります。編集とかで何回も聴いているんですけど、飽きることはなくて、むしろ幸せなことに、笑ってしまう瞬間が多々あります。

――今回ゴールデンに進出されるということですが、見どころはどこでしょう?

田村:「出張ターンテーブル」というロケコーナーを新設しました。レギュラーメンバーにTBS火曜ドラマ『この恋あたためますか』の現場に行って、歌って頂いたんですけど。“菅田将暉さんになりたい男”MASAKIさんが、ようやく菅田さんの事務所・先輩の中村倫也さんの前で「倫也」というネタを披露するところまでたどり着きまして。さらに、菅田さんの友人の仲野太賀さんや、菅田さんと共演経験がある森七菜さん、石橋静河さんもいらっしゃったり。半年前まで菅田さんの背中すら見えなかったMASAKIさんが、これで周回遅れぐらいまでは来たんじゃないかと個人的には思っています。いつかご本人の前で披露できる、夢のようなことがあったら素敵ですよね。

――MASAKIさんはどのように発掘されたんでしょう?

田村:本当に半年前は一般人というか。知り合いの舞台を観にいったら、そこにMASAKIさんが出演して、舞台の中の1コーナーで菅田将暉さんのものまねをされていたんです。確かに、ものすごく薄目で見たら、菅田将暉さんに見えなくもないな、と(笑)。それで面白いなと思って、すぐオファーさせて頂きました。

――MASAKIさんもそうだと思うのですが、過去の番組の中で特に手応えを感じた部分や、印象に残っている曲はありますか?

田村:鈴木奈々さんと西野未姫さんに歌っていただいた「用済み」(瑛人「香水」の替え歌)ですかね。芸人さんだけでなく、タレントの方にも出ていただきたいなと思ってオファーしたところ、最近仕事がなくなっているという話になったんです。この番組って、すでにあるネタをやるのではなく、ゼロイチからネタを作っていただくことがほとんどで。西野さんと鈴木さんも、“仕事が減って困っている”という悩みをベースにするのは決めていましたが、歌詞が上がってくるまでは全然どんな歌になるかわからなかったんです。あの曲は実際のエピソードがあって、赤裸々な魂の叫びのような感じで歌っていたから、多くの人に響いたんだと思います。

――キャスティングはどのように行っていますか。

田村:自分が面白いと思う歌ネタをお願いするのはもちろんなんですけど、この芸人さん・タレントさんが歌ってくれたら面白くなりそう、という逆算でキャスティングしている部分もあって。先ほども言ったように曲が上がってくるまでどうなるかが分からないんですが、皆さんすごいクオリティで仕上げてきてくれるんです。なので、全てオリジナルの場合が一番読めないですね。ゆりやん(レトリィバァ)さんなどは自分で作詞作曲してくれますから。今回も「爪の中に針が刺さる」をテーマにした歌なので、これだけ聞かされると、どんな曲になるか想像もつきませんよね。タイトルは「想像☆」なんですけど。

――音楽に強いこだわりを持った芸人さんはいらっしゃいますか?

田村:そうですね。塚地(武雅/ドランクドラゴン)さんとかは「もっとジャスティン・ビーバーっぽくしてほしい」とリクエストがあったりするので、その時はやりとりしていますね。だから、芸人さんというよりはアーティストと仕事してる感覚があります。「ギターの音をもう少しこうして」とか細かい部分まで気にされる方もいますし。

関連記事