NiziU MAYA、様々な色の涙とともに広げた表現の域 感受性豊かな人となりにメンバーからの信頼も
豊かな感受性による卓越した表現力というアドバンテージと共に、パフォーマンスの控えめさといったウィークポイントを見いだし、第2ステージへ駒を進めたMAYA。
しかし韓国合宿を待つ準備期間もダンスレッスンを欠かさなかったという彼女が、課題点の克服とともに長所を伸ばしていったことをうかがわせたのが、個人レベルテストにおいて披露した「Touch」(miss A)だ。
トレーナー陣から“가을(カウル/秋を意味する言葉)ちゃん”という愛称で呼ばれていることが象徴する、持ち前の艶やかで繊細な印象を、大胆かつ深みのあるパフォーマンスによって見事に表し、見る者の心を掴んだ。
また『Nizi Project』におけるMAYAのパフォーマンスを語るうえで忘れてはならないのが、本人が「一番記憶に残っている」と語るとともに、ファンからも“ベストアクト”の一つとして呼び声の高いチームミッション評価における「Swing Baby」(J.Y. Park)だろう。
しっとりとした「Touch」から一転、遊ぶように弾むスウィングビートに乗って華麗に歌いながらも、力強いマニッシュな表情とダンスでみせたその圧倒的なステージングは、J.Y. Parkからも「僕が一番驚いたのはMAYAさんでした。目つき自体が変わっていた」と絶賛の声が上がった。そして、同パフォーマンスで初の個人評価1位を獲得したMAYAが流したその涙には、彼女が課題点と魅力と向き合い続けた末に勝ち取った喜びが映し出されているように感じたのだった。
彼女自身の豊かな表現力に繋がっている感受性にあふれたMAYAの人となりは、メンバーたちから「本当にお母さんみたいに優しくてあったかい」「何か悩んだらとりあえずMAYAに相談する(RIO)」、「自分でも悩んでいることに気づかなかったのに、MAYA姉さんが“最近どう?何か悩んでるでしょう”と聞いてくれて、すごくありがたい(NINA)」と信頼が寄せられているように、今やグループにとって欠かせない“NiziUの保護者”的存在となっているようだ。
オーディション過程において、笑顔とともに様々な色の涙を流しながら自分の可能性に挑戦することで、表現の域を広げていったMAYA。ステージの上で視線を集めるアーティストとして、そしてメンバーを優しく包み込む心の宿り木として、今後さらにその魅力が発揮されていくだろう。
■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter
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