J. Lamotta すずめが考える“自由”とは何か 「曲を書くことは、私が精神的に安定するための方法」
「自分にとっての“自由”は何なのか、日々学んでいる気がする」
ーーこのEPは家でもRed Bull Studiosでもレコーディングしたんですよね。そのプロセスはどう違いましたか？
すずめ：Red Bull Studios Tokyoでは素晴らしい経験ができました。特にサウンドエンジニアとの仕事がとてもインスパイアリングでした。Ryu Kawashimaさん（エンジニア）はプロフェッショナルで、私に裁量を与えてくれました。家だと、時間が自由に使えるし、プレッシャーも感じずに好きなようにできる。でも、（Red Bull Studiosでのレコーディングには）計画を持って臨まなければならない。どうレコーディングするか、どうテイクを録るか、どういうハーモニーを作るか……私がフィードバックを求めるといつも、Ryuさんは親切に意見をくれました。そこで、どうやって全部自分でできるようになるかを学ぶことができました。どの曲もボーカルの層がたくさんあるなか、期間は4日しかないから、Abeltonにドラフトを作って臨みました。時には外からの視点が必要になることもあるし、こんなにプロデューサーを招いての共同作業は初めてだったけど、本当に勉強になりました。
ーー「すずめ」という名前は日本語、Twitterのヘッダーも日本の商店街、今作のアートワークにも日本語のカリグラフィがフィーチャーされていますが、日本のオーディエンスも気に入ってくれているそうですね。日本と他の国ではオーディエンスがだいぶ違うと思いますが、そのあたりはどう感じていますか？ （日本のファンが）真剣に聴いてくれるから好きだと言う人もいれば、とても静かだと言う人もいますが……。
すずめ：私は日本のオーディエンスとたくさんコミュニケーションを取るようにしてきました。彼らに会話や曲に参加してもらいたいときは、私がどうにかする。私が日本でパフォーマンスした経験からいえば、彼らは私がフィードバックを求めればちゃんと反応してくれました。それに、日本のオーディエンスの忍耐強さと時間を払って聴いてくれている感じが本当に好きなんです。彼らはアーティストやアート一般の価値を本当に重んじていて、コンサートのあとに話しかけてくれるときも心が温まるし、エナジーを貰える。ライブ以外でも、毎日何かしらメッセージや写真が送られてきてエナジーをもらっているんです。
実はテルアビブでも私は「すずめ」って呼ばれ始めています。面白いでしょ？ そう呼ばれるのは好きです。「ス…ズ…メ」って感じだけど（笑）。こうしてアーティストとオーディエンスがお互いのことを知るのは健全な関係だと思うから、この関係が続くことを願っています。
ーー「すずめ」ってヘブライ語だと“dror”で、「自由」と「すずめ」の2つの意味があるんですね。抽象的な質問ですが、「すずめ」として、どんな「自由」へと飛び立っていきたいですか？
すずめ：いい質問をありがとう。最近、仏教や瞑想、精神療法についての本を読んでいます。「自由」がどんなものなのか、自分にとっての「自由」は何なのか、日々学んでいる気がする。毎日少しずつ違うんだけれど、たとえば今日学んだのは「頼ること」について。みんな「頼る」ことを恐れているんじゃないかと思うことがあるけど、健全な人間関係というものを考えたら、人に頼らずに生活していくのは決してネガティブなことではない。だから、アーティストとして、オーディエンスや他のクリエイターに頼ること、恋愛関係においても相手に頼ること、友達に頼ることを学ぼうとしています。だって、私たちは生まれた時からお母さんに抱かれて、それが人生の始まりだから。「いや、私は誰にも頼らない。全部自分でできる」と考えている人がいたら、もっと周りの人に頼ることを学ぶべきだと思うし、頼ることはなにも悪いことじゃないってもっとたくさんの人に伝えていきたいですね。
『Brand New Choice』
発売：2020年7月3日（金）
価格：￥2,400（税抜）
TRACK LIST :
1. Hope So Premaster
2. Brand New Choice Premaster
3. Can't Refuse Premaster
4. Trust Me Premaster
5. Take Your Time Premaster
6. More_Skit Premaster
7. Fire Mix_Dec27
8. Shugah Boi (Sweet William Remix) from EP "Suzume Remixed"
9. Turning (Flofilz Remix) from EP "Suzume Remixed"
10. If You Wanna (Gianni Brezzo Remix) from EP "Suzume Remixed"